【疾患啓発(スポンサード)】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 959c2fe7 1aa2 4124 88e7 b6c4ef795a48
糖尿病治療と仕事の両立を考える
合併症など糖尿病の重症化を防ぐためには継続的に治療を受ける必要があります。しかしその一方で、糖尿病は、未治療・治療中断の患者さんが数多くいます。糖尿病を放置することで、失明や足切断など、患者さん...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

糖尿病治療と仕事の両立を考える

公開日 2017 年 07 月 01 日 | 更新日 2017 年 10 月 24 日

糖尿病治療と仕事の両立を考える
浜野 久美子 先生

関東労災病院 糖尿病・内分泌内科 部長

浜野 久美子 先生

目次

合併症など糖尿病の重症化を防ぐためには継続的に治療を受ける必要があります。しかしその一方で、糖尿病は、未治療・治療中断の患者さんが数多くいます。

糖尿病を放置することで、失明や足切断など、患者さんのQOL(生活の質)に大きく影響を及ぼす事態を招きかねません。糖尿病患者さんが仕事と糖尿病治療を両立するために、今後はどのような取り組みが必要となってくるのでしょうか。

引き続き、関東労災病院 糖尿病・内分泌内科の部長である浜野 久美子先生に、糖尿病患者さんの就労支援のための今後の展望についてお話しいただきました。

*糖尿病の合併症や後遺症・治療継続のための取り組みは記事2『糖尿病の合併症や後遺症を防ぐための就労支援―糖尿病を治療しないとどうなる?』をご覧ください。

原則として糖尿病患者さんに就労制限はない

私は、糖尿病の患者さんが就いてはいけない職業は、原則としてないと伝えています。たとえば、プロスポーツ選手のなかには糖尿病の方が多数いらっしゃいますし、諸外国の例になりますが、近年では国際線のパイロットに糖尿病の方が選ばれたというニュースもあります。

スポーツ選手

しかし、糖尿病が悪化するリスクを高める仕事が存在することも確かです。たとえば、不規則な生活になりやすい長距離トラックの運転手や営業職などは代表的でしょう。特に生活が不規則になりがちな仕事には、十分な注意と意識が重要になります。

また、糖尿病が悪化し足切断した方が立ちっぱなしの仕事はできませんし、失明した方が就くことができない仕事もあります。このように悪化した場合を除き、私は、糖尿病を理由に職業の選択に制限があってはいけないと考えています。

お話ししたような疾患の進行のリスクを高める職業を希望する場合には、正しい知識と治療の継続が重要になるでしょう。

 

関連記事

職場で糖尿病であることを公表した方がいいの?

職場に糖尿病であることを伝えた方がいいか否かに関して疑問を持つ方もいるかもしれません。職場の雰囲気や上司の理解などにもよるかもしれませんが、患者さんが職場に伝えたほうが、ストレスが減少するという場合には、伝えることをお勧めします。

記事1『糖尿病の合併症を防ぐには継続的な治療が重要-未治療・治療中断の実態からみる糖尿病』でお話ししたように、通院のために休暇を取得することが高いハードルとなっている場合もあります。また、疾患を伝えていない場合、職場の飲み会でアルコールを勧められたり、お土産のお菓子がまわってきたりするようなこともあるでしょう。

これらの状況を回避するために、糖尿病により食事のコントロールをしていることを伝えておくことは有効であるかもしれません。

職場で糖尿病の正しい知識を広めてほしい

職場で交流する方たち

また、糖尿病の予防活動を職場で展開することも効果的であると考えています。記事2『糖尿病の合併症や後遺症を防ぐための就労支援―糖尿病を治療しないとどうなる?』でご紹介した糖尿病の教育入院でお伝えしているのは、「糖尿病の正しい知識を広めてください」ということです。

たとえば、教育入院で5名の方に糖尿病の知識を伝えしたとしても、その5名にしか正しい知識は広がらないのです。しかし、その5名が職場や家族に伝えることで、知識は広がっていき、さらなる予防につながっていくでしょう。

仕事と糖尿病治療の両立のために:アプリを用いた遠隔診療

2017年度から糖尿病患者さんの就労を支援する試験的な取り組みとして、遠隔診療をはじめました。これは、アプリを用いることで、通院時間や待ち時間のない診療を可能にしています。

平成30年には、遠隔診療にも診療報酬(医療保険から医療機関に支払われる治療費)がつくといわれています。このため、将来的に遠隔診療が一般的な診療スタイルとして実現する可能性が高いと考えています。

通院することなく多職種のサポートを受けることができる

遠隔診療はお話ししたように試験的な段階ではありますが、実際にアプリを使用していただいている患者さんがいます。なかには産業医から入院を勧められ、就労制限を受け入院を検討していたような方もいらっしゃいます。

遠隔診療は、就労と糖尿病の治療の両立を望む方に向いた治療法です。糖尿病の患者さんは、可能であれば入院せず、仕事をしながら通院し治療したいと望まれる方が非常に多いからです。

スマートフォン

私たちはアプリを活用し、遠隔診療という形で在宅や職場で糖尿病の治療を受けていただくことを試行しています。たとえばこのアプリでは、自宅で血糖値を計り、結果を入力するだけで、一目でわかるようなグラフを作成してくれます。また、食事の写真を撮影し記録していくだけで栄養士からアドバイスをもらえます。

遠隔診療のよいところは、栄養士や保健師、医師など多職種の専門家からフィードバッグを受けることができる点です。通院する必要がなく仕事を続けながら治療を継続できる点が特徴であり、今後、広く適応されるよう取り組んでいます。

糖尿病の早期治療のためには啓発が重要である

糖尿病は、4人に1人が罹患する国民病です。これほど罹患率が高い疾患であるなら、啓発が何よりも重要であると考えています。しかしその一方で、血糖値が何であり、高血糖になるとどのような弊害が現れるか知らない方も少なくありません。

マスコミによる普及も大切ですが、小学校や中学校からの教育も重要な意味を持つでしょう。子どもの頃から糖尿病について知り、正しい知識を身につけておけば、食事にも気をつけるようになるのではないでしょうか。このように、糖尿病に罹患する前の予防活動も非常に重要であり、今後はさらに力を入れていきたいと考えています。

世界糖尿病デー

啓発活動の一環として、11月14日を世界糖尿病デーと定めています。ブルーサークルという青の円が糖尿病予防の象徴です。11月14日には、世界中の建物がブルーになります。糖尿病の啓発の意味を込めて一年に一度活動しており、日本でもさらに広く知られることを望んでいます。

 

関連記事

妊娠糖尿病への取り組み-糖尿病予防を目指して

糖尿病の治療に関して、近年、当院が注力しているものに妊娠糖尿病の治療があります。妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常を指します。当院に受診される妊婦さんの約2割の方が、この妊娠糖尿病の診断を受けています。

母体が高血糖な状態であると、胎児も高血糖になり、以下のようなさまざまな合併症が起こる危険性があります。

妊婦さん

  • 母体:妊娠高血圧症候群、羊水量の異常、肩甲難産、網膜症、腎症など
  • 胎児:流産、形態異常、巨大児、心臓の肥大、低血糖、多血症、電解質異常、黄疸、胎児死亡など

胎児からの健康管理、つまり妊婦さんが適切な食事など正しい生活を送ることで胎児への影響があるというスタンスで、当院では診療を実施しています。

妊娠糖尿病を改善することで糖尿病を予防したい

妊娠糖尿病に罹患すると、生まれてくる子どもの糖尿病のリスクも高くなるといわれています。子どもが大きく生まれても小さく生まれても、肥満などになりやすいという特徴があるのです。

また、妊娠糖尿病の方は、将来の糖尿病発症率が通常よりも7・8倍ほど高くなるということも明らかになっています。そのため、妊娠糖尿病は早期に治療をすることが重要です。それは、子どもが生まれてから、自分自身のために病院を受診するお母さんは非常に少ないからです。生まれる前に適切な治療を施すことで糖尿病を予防することができます。

当院では、産後一年まで妊娠糖尿病のフォローをしています。特に小さなお子さんがいる患者さんにとって定期的な通院は大きなハードルになる場合もありますので、今後はお話ししたような遠隔診療によるフォロー体制も検討しています。。

そのため、遠隔診療によって通院することなく治療を受ける体制を実現することができれば、今後はますます適切な予防につなげることができるでしょう。

 

関連記事

糖尿病患者さんの仕事と治療の両立をさらに後押ししたい

浜野先生

私は、長年糖尿病の治療に取り組むなかで、治療せず放置してしまう患者さんを数多く見てきました。お話ししたように、ここ数10年で糖尿病の治療は大きく進歩しました。しかし、その一方で治療を中断したために重症化する糖尿病患者さんは後を絶ちません。

私たち関東労災病院でも、お話ししてきたような様々な支援により糖尿病患者さんの仕事と治療の両立を後押ししています。

また、当院では、患者さんの予約が途切れた際には、看護師が電話で問い合わせをしています。これらはマンパワーがかかる取り組みでもあるのですが、可能な限り治療中断を防ぎ疾患の進行を止めたいという思いがあるからです。

繰り返しになりますが、糖尿病の治療は、大きく進歩しています。治療を継続さえすれば重篤な状態を防ぐことが十分に可能なのです。今後は、糖尿病患者さんの遠隔診療の普及や予約の簡便化など、さらに両立しやすい体制を築いていきたいと考えています。

 

東京大学医学部を卒業後、エール大学(アメリカ)内分泌代謝内科、東京大学病院やNTT関東病院などで経験を積む。糖尿病の治療に携わるなかで未治療や治療中断の実態を知り、糖尿病患者さんの就労支援に携わることを決意。患者さんに寄り添った診療とともに、糖尿病患者さんが治療を継続しやすい体制づくりに尽力している。

関連記事