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心疾患患者さんの突然死リスクとマグネシウム

心疾患患者さんの突然死リスクとマグネシウム
菊池 健次郎 先生

札幌南一条病院 循環器・肝臓内科 顧問、旭川医科大学 名誉教授

菊池 健次郎 先生

この記事の最終更新は2017年07月09日です。

記事1『マグネシウム不足の影響-インスリン抵抗性を介して糖尿病の原因に!そして突然死にも関連』記事2『マグネシウム不足に拍車をかける従来の糖尿病治療の問題点とは?』では、マグネシウム不足が糖尿病を招き、そのうえ糖尿病の治療によってさらなるマグネシウム不足が助長されるメカニズムについてお話しいただきました。しかし、マグネシウムの不足が悪影響を及ぼすのは糖尿病患者さんだけではありません。実は循環器領域では以前よりマグネシウム不足が突然死のリスクを高めることが明示されています。

今回はマグネシウム不足と心疾患患者さんの突然死のリスクについて、引き続き旭川医大名誉教授・札幌南一条病院 循環器・腎臓内科 顧問の菊池健次郎先生にお話しいただきました。

心電図

循環器領域では、マグネシウムが不足すると突然死のリスクを高めることはよく知られています。今回はこのメカニズムについてご説明します。

まず、血中のマグネシウムには2種類の形態が存在します。

・アルブミンや塩と結合したマグネシウム

・(上記のようなものと結合していない)イオン化したマグネシウム

実はこのうち、体内で生理的に役割を果たす(生理活性を持つ)のは、イオン化したマグネシウムです。この血中イオン化マグネシウムが低い(マグネシウム不足)と心電図のQTc(心拍補正QT時間)とそのばらつき(QTc dispersion:QTcd)が大きくなることが明らかにされています。

心電図にはP波、Q波、R波、S波、T波という5つの波があります。QTcは、このうちのQ波の始まりからT波の終わりまでの時間をRR間隔で補正計算したもので、心筋が電気的に脱分極(興奮)し、次いで、再分極(回復)するまでの時間で、QTcdはこのQTc時間の心筋の部位(心電図の電極:通常は12誘導の部位)の間のばらつきを表します。QTcdが大きくなることは、心筋に異常があり、部位による再分極(回復)時間・不応期(心筋が刺激に反応できない時間)が一様でなく、致死的な心室性不整脈が出易くなることを意味し、突然死につながることが知られています。

DM合併急性心筋梗塞とMg治療
菊池先生ご提供

血中イオン化Mg濃度とQTcのばらつき

上記のグラフは健常成人と心疾患を持つ患者さんの血中イオン化マグネシウムとQTcdの相関を示したものです。ご覧の通り赤点で示された心疾患を持つ患者さんも水色点の健常者のいずれにおいても、イオン化マグネシウムが低い例ほどQTcdが大きい関係が認められ、かつ、健常者に比べ、心疾患患者さんでは同じイオン化マグネシウム値であってもQTcdが大きくなることがわかります。つまり、血中マグネシウム値が低いと突然死に繋がる致死的な不整脈・トルサード・ポワン(TdP)の出現リスクが高まり、特に、心疾患を持つ患者さんでそのリスクがより強まるといえます。

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