インタビュー

緑内障とは?徐々に視野が欠けていく症状・原因・失明につながる理由

緑内障とは?徐々に視野が欠けていく症状・原因・失明につながる理由
木内 良明 先生

広島大学視覚病態学教室(眼科) 教授

木内 良明 先生

この記事の最終更新は2017年08月09日です。

緑内障とは、なんらかの原因によって視神経が弱化し視野が徐々に欠けていく疾患です。視神経は一度死滅するともとには戻らないため、弱化を防ぐことで治療を行います。緑内障の原因と症状について、広島大学眼科学教室教授の木内良明先生にお話を伺いました。

緑内障とは、なんらかの原因によって視神経が弱り、徐々に視野が欠けていく疾患です。視神経は人が生まれた時点で100万本ほどあり、時間経過とともに自然と死滅していきます。そのスピードは1年間に5,000本ずつといわれますが、緑内障はこのスピードが早まる病気とも捉えることができます。40歳以上の5%が緑内障を有病しているといわれています。高齢化の進むなか、この数値は徐々に増加していると予測されます。

緑内障と白内障は名前が似ていますが、まったく異なる病気です。緑内障は視神経の弱化によって起こる疾患、白内障は目の水晶体(レンズ)がにごることによって起こる疾患です。現在、緑内障は失明の最大の原因とされています。一度死滅した視神経は再生不能であるため、緑内障の治療ではその進行速度を抑え、悪化を防ぎます。(治療の詳しい情報については記事2『緑内障の検査・治療・分類—点眼薬とレーザーによる治療』でご説明します。)

緑内障は自覚症状がほとんどなく、早期発見が難しい疾患です。そのため患者さんが症状を感じた時点で、病状がかなり進行しているケースが多くみられます。先述のように視神経は死滅すると再生できないため、病状の進行を抑えるためには、緑内障をなるべく早期に発見し迅速に治療を開始することが重要です。

緑内障は先に述べたように早期発見の難しい疾患ですから、定期的な検診によってできるだけ早く異常をみつけることが非常に重要です。近年の研究結果によると、緑内障を早期発見するためには、40歳から検診を開始し、4年に一度の検診を70歳まで行うことが理想的であるとわかりました。

緑内障の明確な原因は、未だ解明されていません。しかしながら研究の結果、緑内障の発症と関連性が高いと考えられる疾患は多岐にわたって存在することがわかりました。たとえば2008年、アメリカのメイヨークリニックで27年間ぶんのデータをもとに緑内障の調査が行われ、緑内障には眼圧と脳脊髄液圧が関係していることが判明しました。

眼圧とは、房水(ぼうすい:目のなかを循環する液体)の循環によって保たれている圧力です。眼圧が上昇すると眼球が硬くなり、視神経の弱化が起こり、緑内障のリスクが高まります。また頭蓋内に存在する脳脊髄液圧(のうせきずいえきあつ)と眼圧のバランスが崩れると、緑内障になるといわれています。

緑内障のおもな症状は、視野障害です。緑内障によってみえない部分ができ、徐々に進行していきます。脳は緑内障の視野障害によってみえないはずの部分を、周辺の視覚情報から補完します。この機能によって視野がかける症状を自覚しにくくなり、症状の早期発見が難しくなるのです。

症状の進行スピードは眼圧の高さに比例し、眼圧が25〜30mmHg(水銀柱ミリメートル)以上になると、症状悪化が早まる傾向にあります。そのため緑内障と診断を受けたら、眼圧の検査とともに早期に治療を開始しなくてはなりません。

2000年9月から2001年10月にかけ、3,021名を対象に行われた疫学調査(人の集団を調査し病気の広がりや原因を解明するための研究)の結果、年齢・近視緑内障のリスクファクターになりうることがわかりました。

【緑内障のリスクファクター】

  • 加齢:先述の通り、目の硬さ(眼圧)が上昇するほど緑内障のリスクは上がります。

加齢とともに角膜をはじめとする目の組織は硬くなるため、加齢は緑内障における1つのリスクファクターであるといえます。目の奥には、神経と血管を通すための篩状板(しじょうばん)と呼ばれる穴があります。篩状板はほぼすべてがコラーゲンで生成されているため、加齢によるコラーゲン減少の影響をじかに受けるのです。コラーゲンの減少によって篩状板が薄くなると、緑内障のリスクが高まることがわかっています。

  • 近視:眼球が引き伸ばされることによる機能的な負荷が視神経に加わるため、近視は緑内障のリスクファクターであるといえます。また、詳しいメカニズムは解明されていません

記事2『緑内障の検査・治療・分類—点眼薬とレーザーによる治療』では、緑内障の分類・検査・治療についてご説明します。

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