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海外渡航時の予防接種について――接種すべきワクチンの選び方とは

海外渡航時の予防接種について――接種すべきワクチンの選び方とは
メディカルノート編集部 [医師監修]

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転勤や留学など、海外渡航する際にはワクチンによる予防接種が推奨されています。それは、現地で流行している感染症から身を守るためです。

本記事では、海外渡航時の予防接種について解説します。

ワクチンとは、感染症の予防接種に用いられる薬液を指します。感染症に罹患すると、その病原体に対する抵抗力が体内に生成されます。この原理を応用したものがワクチンです。病原体の毒性を弱めたり無毒化したワクチンを接種することで免疫ができ、感染を予防したり、感染した場合であっても軽症で終わらせることが可能になります。

なぜ海外渡航時にはワクチンによる予防接種を受ける必要があるのでしょうか。まず、何よりも感染症を予防するとともに、感染したとしても重篤な状態を防ぐ効果があります。仮に何らかの病原体に感染したとしても、ワクチンを接種しておけば軽症で済む可能性が高いです。

写真:PIXTA
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特に、感染し発症すると重篤な状態になりかねない病気が海外には多数存在しています。たとえば、狂犬病は、発症したら致死率はほぼ100%であるといわれています。もちろん、感染した方全てが発症するとは限りません。しかし、発症した場合、ほぼ100%の確率で亡くなる危険性があるのです。このような危険性の高い感染症に対しては、特に予防接種を受けておく必要があるでしょう。

また、渡航先によっては、予防接種の証明書を要求される場合があります。その場合には、前もって予防接種を受け、証明書を提出する必要があるでしょう。

現在、日本で行われている予防接種には、主に以下のような種類があります。

厚生労働省検疫所の予防接種情報を発表しているFORTHでは、滞在地域ごとに検討すべき予防接種の目安をまとめていますが、これは1つの目安にすぎません。

実際には渡航先に加え、渡航予定日やライフスタイルなどを総合的に考慮し、接種するワクチンが決定されます。

写真:PIXTA
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転勤や留学など、海外渡航が決定次第、できるだけ早くワクチン接種のスケジュールを立てた方がよいでしょう。厚生労働省のサイト“FORTH”などから、事前に渡航先でかかる可能性のある感染症と打つべき予防接種を調べたり、医療機関へ相談にいくことをおすすめします。

日本の予防接種ガイドラインに沿ったスケジュールを立てると、渡航先にもよりますが、全ての予防接種を受け終わるまでには3か月や半年間かかってしまうケースも少なくありません。ワクチンの中には、複数回の接種を必要とするものもあるからです。

希望する予防接種が渡航日まで間に合わないという事態を防ぐためには、海外渡航の予定が決定次第、予防接種の計画を立てたほうがよいでしょう。

しかし、いくら早めがよいといっても、留学や海外赴任は、決定から出発まで日が浅い例も多々あります。直前に決定するケースも少なくないからです。その場合には、取捨選択が重要になります。渡航時期やライフスタイルなども考慮しながら、個人個人に合わせた接種スケジュールをいかに立てるかが重要になるでしょう。

なお、予防接種は自由診療であり、費用は医療機関により異なります。

繰り返しになりますが、予防接種を受ける際には、スケジューリングをきちんとできるかが重要になります。渡航する地域や接種するワクチンにもよりますが、数回に分けて接種しなければいけないなど、全ての予防接種が完了するまでに時間を要することもあるからです。

PIXTA
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そのため、予防接種を受ける医療機関を選ぶ際には、スケジュールの相談に適切に乗ってくれるかどうかを重視して選ぶとよいでしょう。

また、渡航先によっては、提出する書類が複数にわたるケースもあり、そのような相談にも対応可能かどうかも重要になります。渡航先はもちろんのこと、個別のライフスタイルも加味し、状況に応じた対応ができる医療機関を選ぶとよいでしょう。

世界的に見ると、日本ではワクチンの薬事承認が進んでおらず、ワクチンの分野では後進国であるといえます。

一方、インドなど昔から感染症が流行しているような国ではワクチン接種が進んでいます。

このため、渡航前に日本でワクチンを全て接種する必要は必ずしもないと考えられます。たとえば、必要最小限のワクチンのみ国内で接種し、渡航後に現地の医療機関で予防接種を受けることも選択肢の1つとして検討してみてもよいのではないでしょうか。

写真:PIXTA
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現地で予防接種を受ける場合には、現地医師を採用している医療機関をおすすめします。それは、現地の経験が長い医師ほど、その国で流行している病気の治療に長けているからです。

現地医師と聞くと、言語を心配する方もいらっしゃるかもしれませんが、通訳が在籍していることも多く過度な不安は必要ないでしょう。

また、渡航時には、ガイドブック等についている自己記入式カルテにあらかじめ記入しておけば、何かあったときに現地の方であっても状況を把握することができます。

ほかにも、日本旅行医学会は自己記入式安全カルテというものを発行しており、こちらを購入し記入することも有効であるでしょう。

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