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高血圧を防ぐためには?広島県呉市の取り組みについて

高血圧を防ぐためには?広島県呉市の取り組みについて
松浦 秀夫 先生

社会福祉法人恩賜財団済生会支部 広島県済生会 済生会呉病院  院長

松浦 秀夫 先生

目次
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この記事の最終更新は2017年11月27日です。

高血圧狭心症脳梗塞などの心血管病の原因として知られていますが、生活習慣の改善で予防できることから、各個人が正しい知識を持つことが大切です。広島県呉市では地域の方に高血圧について正しい知識を持っていただき、減塩の観点から高血圧を予防するための取り組みを行っています。

今回は高血圧の予防や、広島県呉市の取り組みについて済生会呉病院 院長の松浦秀夫先生にお話を伺いました。

なお、高血圧の原因については記事1『高血圧の原因の1つに?マグネシウム不足と血圧の関係性』をご覧ください。

疑問

「血圧が高い」といわれると、「体に悪いこと」というイメージを持つ方が多いと思います。しかし、血圧が高くなることは必ずしも悪いことではありません。たとえば人の体は運動中には一時的に血圧が高くなります。これは運動中の筋肉に大量の血液が必要になるためです。このときに血圧が高くなることは、人間の体にとって自然で、必要な現象(生理的現象)であるといえます。

問題なのは一度上昇した血圧が、その役目が終わってもなお下がらず、高いまま保たれてしまうことです。この状態を一般的に「高血圧(症)」といいます。

高血圧とは血管内の圧力が高くなることですから、この状態が続いていると血管が傷みやすくなってしまいます。血管が傷み、柔軟性を失うことを「動脈硬化」といいます。動脈硬化は高血圧に加え、脂質異常症糖尿病の罹患、あるいは喫煙などの生活習慣があると悪化しやすく、最終的には狭心症脳梗塞などを引き起こすことになります。

素材提供:PIXTA

記事1『高血圧の原因の1つに?マグネシウム不足と血圧の関係性』でも述べたように、塩分の摂りすぎは高血圧のリスクとなりやすいことが分かっています。そのため日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインでは1日の塩分の摂取量を6g未満に収めることが理想であると述べています。

しかし、現在の日本の1日の食塩摂取量は男女を平均して9.9gといわれています(男性10.8g、女性9.2g『平成28年国民健康・栄養調査』)。そこでいきなり6g未満の食塩摂取量を目指すのは難しいため、現在国の方針では男性8g、女性7gの摂取量を目指すよう指導しています『日本人の食事摂取基準(2015年版)』

素材提供:PIXTA

日本高血圧学会では、高血圧の懸念がある方に野菜や果物を摂取するよう呼びかけています。これは、野菜や果物に含まれるカリウムに血圧を下げる作用があるためです。

しかし高血圧と併せて罹患しやすい糖尿病、腎機能障害のある方は野菜や果物の摂取にも注意が必要です。なぜなら、糖尿病の患者さんにとっては果物の糖分が悪影響となる可能性がありますし、腎機能障害を持つ患者さんはカリウムが上昇しやすく、“高カリウム血症”をきたしやすいからです。ご自身の体調に合わせて、バランスよく野菜や果物を摂取するよう心がけることが大切です。病気を持っている場合には医師にご相談ください。

素材提供:PIXTA

血管の筋肉、平滑筋(へいかつきん)をコントロールするカルシウムやマグネシウムは、日本人に不足しやすい栄養素です。そのため意識的に摂取する必要があります。特にマグネシウムを摂取するためには豆類や海藻類などを積極的に摂取することが大切です。マグネシウムが豊富に含まれる食材について、詳しくは『マグネシウムで糖尿病予防・改善』をご覧ください。

松浦秀夫先生

済生会呉病院が位置する広島県呉市では地域の方々の高血圧予防のために、地域が一丸となってさまざまな取り組みを行っています。この取り組みで呉市は厚生労働省の主催する『健康寿命延伸プログラム』において自治体部門賞を受賞したこともあります。ここではその取り組みの一例についてご説明します。

“減塩”と耳にすると「味が薄い」「水っぽい」など美味しくないというような先入観を持っている方が多いのではないでしょうか。そこでまず「美味しく減塩できる」ということを伝えるため、呉市では日本高血圧学会会員や循環器医師が中心となり2007年からいくつかのレストラン(フレンチ、イタリアン、インドなど)の協力を仰ぎ、『こだわりのヘルシーグルメダイエットレストラン』という取り組みを開始しました。現在では和食やラーメン店、お好み焼き店、コンビニなども加わって、広島市などでも活動を行っています。

減塩で美味しい料理を提供するためには、素材が新鮮であることと旨味成分の使用が不可欠です。そのためこの取り組みでは地域の新鮮な食材を使用することで、地域の方の健康だけでなく“地産地消”にも貢献しています。

また、2012年には日本高血圧学会主催の『減塩サミットin呉2012』を開催しました。この催しではシンポジウムや講演によって高血圧と食塩の関係性や正しい食生活の大切さを一般の方に理解していただきました。また美味しい減塩レシピの紹介やヘルシーグルメの屋台出店を行い、減塩を日々の生活のなかで心がけられるような指導も行いました。

このサミットが大成功を収めたため、その2年後には広島市で私が会長として開催した第2回臨床高血圧フォーラムに合わせて『減塩サミットin広島2014』も開催されました。こちらは県全域を対象に行われ、2日間で16,700名の参加がありました。学問的な組織と企業が協力することによって、一般の方に広く減塩や高血圧についての知識が広まったと自負しています。その後も日本高血圧学会やフォーラムに合わせて全国各地で減塩サミットが開催されています。

広島県呉市では、数年前より健康診断で食塩摂取量の推算を行っています。食塩摂取量は検尿時の尿を用いて推算することができます。この推算式に基づいて出た数値が8gを超えている受診者には、減塩指導を行っています。

この取り組みによって実際に減塩に成功した地域の方も多く、その成果について呉市職員が学会で発表も行っています。

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