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気概のある医師よ、来たれ-患者さんの声に耳を傾ける、松波総合病院の総合...
松波総合病院の総合内科は若手医師の育成に注力した診療科です。部長である村山正憲先生の指導のもと「総合プロブレム方式」という、合理的に診療を行うための診療形式を用いて、診断が困難とされる多種多様な...
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気概のある医師よ、来たれ-患者さんの声に耳を傾ける、松波総合病院の総合内科とは

公開日 2018 年 01 月 11 日 | 更新日 2018 年 01 月 11 日

気概のある医師よ、来たれ-患者さんの声に耳を傾ける、松波総合病院の総合内科とは
村山 正憲 先生

社会医療法人蘇西厚生会 松波総合病院

村山 正憲 先生

松波総合病院の総合内科は若手医師の育成に注力した診療科です。部長である村山正憲先生の指導のもと「総合プロブレム方式」という、合理的に診療を行うための診療形式を用いて、診断が困難とされる多種多様な疾患を抱える患者さんの診療を行っています。

 

今回は松波総合病院の総合内科の特徴や、研修制度、総合プロブレム方式の概要について松波総合病院 副院長・内科部長・総合内科部長・地域医療介護連携センター長の村山正憲先生にお話を伺いました。

そもそも、総合内科とは?

疑問

専門診療内科と対の存在である、「全身を診る」診療科

総合内科は循環器内科、呼吸器内科といった専門診療内科と対となる役割を担う診療科です。たとえば専門診療内科では、循環器内科であれば虚血性心疾患、呼吸器内科であれば肺がんといったように、その診療科の専門分野である疾患に罹患している患者さんを診ることが一般的です。一方、総合内科ではほとんどすべての専門診療内科に関わる幅広い患者さんを診ています。

 

総合内科には主に下記のような患者さんが受診されます。

<総合内科を受診する患者さんの例>

・代謝病、膠原病などの全身病に罹患している方

・複数の疾患に罹患している方

・どの疾患に罹患しているか明らかでない方

 

総合内科の特徴的な診療としては、体の不調があるにもかかわらず病名が診断できない方に対して、「どんな疾患がいくつあるのか」「本当に疾患があるのか」という視点で診療します。また代謝病・膠原病など全身に症状があらわれるような疾患に罹患している方を診療します。さらに複数の疾患を発症し、いくつかの治療が必要になる方では、複数の専門診療科を受診されていることがあります。その場合、患者さんはご自身で、各診療科の医師からの治療方針や治療の内容を理解していかなければなりません。これは患者さんにとって大きな負担になり、適切な治療を進めていくうえで問題が生じてくる可能性もあります。そうした診療上の問題点を解決するために、患者さんに総合内科へ受診いただき、そこですべての治療のトータルマネジメントを担っていく場合があります。それを我々は「主治医機能を果たす」と呼んでいます。そうした役割も、全身を診ることができる総合内科における、ひとつの大切な役割でしょう。

 

また、当院の総合内科は他の専門診療科の溝を埋める診療を行っています。たとえばマンパワーが不足している専門診療科のサポートを行うこともあります。専門診療科で治療を終えた患者さんを受け入れ、退院できるようになるまで当科で管理することがあります。

松波総合病院の総合内科

若手医師

専門診療科の間を埋めるべく立ち上がった診療科

当科には2017年9月現在18名の医師が在籍しています。うち15名が病棟に入院する患者さんを担当し、3名が病棟を持たず、外来の患者さんの診療、学生・研修医の外来診療指導を行っています。

また現在5名の女性医師が在籍しており、女性も活躍できる診療科であるといえます。出産や家庭事情などによる働き方の選択も可能です。

さまざまな経歴を持つ医師のクロスポイント

当院の総合内科にはさまざまな志を持つ医師が集まっています。すでに専門を持つ医師がくることもありますし、「まずは全身を診られる医師になりたい」と若手のうちからやってくる医師もいます。そのため、現在では非常にさまざまなスキルをもつ医師がおり、私がこれまで専門としてきた内分泌代謝分野を専門として極めていく医師もいれば、地域医療で必要となる総合診療医を目指してやってくる医師もいます。このように、さまざまなバックグラウンドを持つ医師が集うことで互いに刺激しあい、知識を共有することができます。

松波総合病院総合内科で実践されている「総合プロブレム方式」とは?

問診

診療の羅針盤となる「考え方」を学ぶことができる

松波総合病院総合内科の最大の特徴は、診療の考え方の基礎を学ぶことができるところです。

疾患は1つの専門分野を治療するにあたっても膨大な知識が必要となるにもかかわらず、総合内科では実に多種多様な疾患の診療スキルを網羅しなければなりません。そうした診療のスキルを身に付けるためにまず必要となるのは「診療の基本となる考え方」です。この考え方を身につけることによって、複数の疾患を体系的に診療できるようになります。

 

そこで、当科で導入しているのは「総合プロブレム方式」という診療形式です。総合プロブレム方式とは、患者の抱える病態が複雑であったとしても、プロブレムリストというリストを作成していく過程を経ることで、適切に病態を整理して理解することができるという診療形式です。これは、私が岐阜県立岐阜病院(現在の岐阜県総合医療センター)に勤務していた時のボスであった栗本秀彦先生が、診療形式の命名は後の事になりますが、名古屋大学病院に勤務されていた1977年春ごろに提唱されたものです。

総合プロブレム方式ではまず病態生理学的な考え方を身につけ、患者さんへの問診・身体所見を基にプロブレム(ここでは病気・疾患)を抽出できるようにします。さらに患者さん1人1人から抽出したプロブレムを時系列にまとめ、その患者さんの「プロブレムリスト」を作成することで「この患者さんにはどんな治療が適切か」を判断し、複数の疾患をマネジメントすることができます。

大切なのは問診・身体所見をきちんと取ること

総合プロブレム方式を行うためにまず必要なことは、問診・身体所見を取れるようになることです。これはどの診療科でも必要となる医師の基礎となる技術です。患者さん自身に症状をご自身の言葉で語っていただき、それを基に全身を診ることで、どの部位に、どのような異常があるのかといった「診断の手掛かり」を集めていきます。

総合プロブレム方式を身につければリスクを回避できる

私は若手のまだまだ臨床経験が比較的少ない医師にこそ総合プロブレム方式を早期に学んでほしいと思っています。総合プロブレム方式はあくまで診療に当たっての考え方の診療形式ですが、これを理解し、これに従って診療を行っていれば、経験値の少ない若手の医師であっても診療時に適切でない判断を防ぐことにつながると考えられます。

また疾患によってはやはり経験値が物をいうようなケースもあります。そのようなときも総合プロブレム方式によって、今患者さんが置かれている状況を把握することができます。必要に応じて専門診療科との連携をとり、協力して治療を行うことが大切です。

 

研修医の育成について

医師 研修

当科は初期研修医・後期研修医の育成も行っています。私は研修管理委員長として後進の指導に当たっています。

初期研修

当院は2018年度、8名の初期研修医を募集します。初期研修を希望する方はもともと岐阜出身の方が多く出身大学は半数ほどが岐阜大学ですが、その他全国さまざまな大学からお越しになる方もいます。

後期研修

後期研修では最初の1年間、総合内科を経験していただき、総合プロブレム方式をしっかり身につけていただきます。総合プロブレム方式は考え方の様式なので、単純な知識の習得とは少し勝手が異なります。先輩医師と実際の症例などを診ながら、自身で臨床像の掴み方を習得していただくことが大切です。

特に身体所見を観察する際などは、言葉では教えることのできない部分が多々あります。先輩医師との1対1の指導のなかで、体感的に学んでいくことになります。

総合プロブレム方式を身につけたあと2〜3年目には他の診療科や在宅医療、地域医療などを経験していただきます。

総合内科を目指す医師の方へメッセージ

村山正憲先生

総合内科に適しているのは「好奇心旺盛な人」

総合内科は問診・身体所見や検査による事実の積み重ねによって診療を行います。しかし臨床の現場では、体の仕組み、病態の在り方、さらに私たち医師の考え方にも曖昧な要素は非常に多いです。ですから、正しい診療を行っていくために事実を積み重ねていくという作業は、時として困難を極める場合もしばしばあります。

そのため総合内科医はその曖昧さを明確にしていく根気強さが必要です。曖昧なことに対して問題意識を持ち、「どうしてこうなったんだろう?」「どこが曖昧なんだろう?」と問いを立てながら進んでいける好奇心旺盛な方に向いている診療科といえるでしょう。

 

 

1980年より内科医師としてキャリアをはじめる。1987年に岐阜大学第三内科内分泌代謝科助手。その後1992年岐阜県立岐阜病院(現岐阜県総合医療センター)総合内科に移動し、総合内科診療をはじめた。2009年から現職。