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不妊治療はいつから始めるべきか? リスクと問題点について

不妊治療はいつから始めるべきか? リスクと問題点について
河村 寿宏 先生

田園都市レディースクリニック 理事長、田園都市レディースクリニック あざみ野本院 院長

河村 寿宏 先生

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不妊治療はいつから始めたほうがよいのでしょうか。また、不妊治療にはどのようなリスクがあり、どのような問題点があるのでしょうか。不妊治療を受ける前に知っておきたいことを、田園都市レディースクリニック理事長の河村寿宏先生にお聞きしました。

日本産科婦人科学会では不妊(症)を、

「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という。その一定期間については1年というのが一般的である。なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない」

と定義しています。つまり、子作りをスタートしてから1年間妊娠しなければ検査・治療を開始するのが一般的です。

しかし、年齢が高い場合(特に女性の年齢が30歳代後半以降)は、1年が経過していなくても早い段階から不妊治療を開始してみてもよいのではないでしょうか。また、40歳代で妊娠を希望する方は、最初から婦人科を受診するという選択肢もあります。

日本産科婦人科学会の定義の中に、「妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない」と記載されています。排卵障害で月経不順無月経の方、子宮内膜症がある方などは、妊娠したいと思ったらすぐに受診されるほうがよいと思います。

不妊治療の問題として、「不妊治療を行えば、必ずしも赤ちゃんができるわけではない」という点が挙げられます。そのため、「出口の見えないトンネル」にたとえられることもあります。

もちろん、不妊治療を繰り返すことによって妊娠・出産する方のほうが多数です。しかし、残念ながら治療を繰り返し行っても、最終的に成果が出ない方もいらっしゃいます。

妊娠するかしないかは、毎月の月経で白黒がはっきりとつきます。実際には妊娠しない周期のほうが多く、妊娠率の高い高度生殖医療(生殖補助医療)でも1回の治療での妊娠率は平均すると30%ほどです。タイミング法や人工授精では、数%~10%ほどとなります。

不妊治療の問題点として、多胎の頻度が増加することがあります。

体外受精や顕微授精などの不妊治療による妊娠では一度に複数の胚を移植することにより、また、一般不妊治療による妊娠では排卵誘発剤で排卵する卵子の数を増やすことにより、多胎(双胎が双子で、品胎が三つ子)の頻度が増加するという問題点があります。

また、体外受精では、自然妊娠に比べ一卵性多胎の頻度がやや増加します。
 

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患者さんの中には、双子や三つ子を望む方もいらっしゃいます。しかし、多胎にはさまざまな問題点があります。

母体側では、妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病をはじめとする合併症を起こしやすくなります。また、頸管縫縮術(けいかんほうしゅくじゅつ)や帝王切開術、産後の異常出血の頻度が上昇します。そして、切迫早産になりやすいため、長期の入院・安静、治療を余儀なくされる方も少なくありません。

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胎児に発生する問題点としては、流早産のリスクが上昇します。そして、胎児の発育遅延や低出生体重児(2,500g未満)の出生、先天異常が多く、新生児の死亡率が高くなります。また、障害の発症の可能性も否定できません。

日本産科婦人科学会の報告によると、双胎の約42%、品胎の約75%が早産となっています。また、双胎の半分以上、品胎の9割以上が低出生体重児であり、生まれる前後に赤ちゃんが死亡する割合は、単胎(ひとりの赤ちゃんを妊娠)と比較して、双胎では5倍以上、品胎では10倍以上です。

その中でも特に脳性麻痺*の発生頻度は単胎分娩に比べて、双胎で4倍以上、品胎で17倍以上になるといわれています。

*脳性麻痺:妊娠中や出産前後、生後4週間以内に何らかの原因により脳が損傷を受け、運動障害や姿勢障害を発症する病気。

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上記のように、不妊治療の方法によっては、多胎を発生させてしまう可能性が高くなります。実際日本では、不妊治療の増加とともに、多胎妊娠数が増加していきました。その後、日本産科婦人科学会により、胚移植数を原則3個以下にするよう会告が出されました。しかし、移植する胚の数が多いほうが妊娠に至る確率が高くなるといったことから胚移植数は変わらず、増加が続きました。

そのため、多胎妊娠に伴う母子のリスクを回避するために、日本産科婦人科学会と日本生殖医学会は、学会員に向けて体外受精における移植胚数を原則1個にするように指示を出しました。その結果、移植胚を1個にする単一胚移植(SET)の実施率は年々上昇しました。そして、2021年現在、胚移植の多くは単一胚移植となりました。

日本産科婦人科学会より
日本産科婦人科学会より

また、このことにより、体外受精における多胎妊娠の頻度も以下のグラフのとおり、大きく減少しました。

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