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人工膝関節置換術のリハビリ。進め方や方法、注意点
 変形性膝関節症や関節リウマチによって膝が変形し痛みを感じることで、今まで通りの日常生活を送れなくなるケースは少なくありません。そういった場合に膝の痛みを緩和し、日常生活やスポーツ・趣味を楽しめ...
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人工膝関節置換術のリハビリ。進め方や方法、注意点

公開日 2018 年 02 月 07 日 | 更新日 2018 年 02 月 07 日

人工膝関節置換術のリハビリ。進め方や方法、注意点
山下 博樹 先生

社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 座間総合病院 人工関節・リウマチセンター 医長

山下 博樹 先生

目次

 

変形性膝関節症や関節リウマチによって膝が変形し痛みを感じることで、今まで通りの日常生活を送れなくなるケースは少なくありません。そういった場合に膝の痛みを緩和し、日常生活やスポーツ・趣味を楽しめるようにする治療法として「人工膝関節置換術」があります。

人工膝関節置換術を実施した後は、一次的に機能障害が起こるためリハビリが必要となります。

今回は記事1『人工膝関節置換術とは? 種類やメリット・デメリットについて詳しく解説』に引き続き社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 座間総合病院 人工関節・リウマチセンター医長の山下博樹先生に、術後の入院時に行うリハビリの内容や、自宅でのリハビリ方法についてお話しいただきました。

人工膝関節置換術後のリハビリを行う目的とは?

クエスチョンマークを頭に浮かべている方

人工膝関節置換術の手術後は、歩行障害といった機能障害が必ず起こります。また患者さんによっては手術前から脚(あし)の筋力が低下している方もいらっしゃいます。そういった症状を元の状態に戻すために、術後の約3週間はリハビリが必要となります。人工膝関節置換術を行ったからといって、すぐにすべてが良くなり普段の生活が送れるわけではありません。術後のリハビリは、患者さんの今後の生活のために非常に大切な治療過程の1つであり、整形外科の重要な役割だと私は考えています。

人工膝関節置換術後のリハビリの種類とは 

人口関節 患者さん
平行棒を使いリハビリを行う患者さん(提供:座間総合病院)
(キャプション:歩行器を使いリハビリを行う患者さん)  (提供:座間総合病院)
歩行器を使いリハビリを行う患者さん(提供:座間総合病院)

座間総合病院での人工膝関節置換術後のリハビリは、膝を動かすだけではなく患者さんの体全体を総合的にみながら行われています。

膝に負担をかけている根本を探し出し、リハビリを行う

人工膝関節置換術後のリハビリというと、膝に人工関節を入れたのだから、膝だけを動かす練習をすると考える方も多いと思います。しかし、手術をした箇所を動かすだけではリハビリとしては不十分です。

ご高齢の患者さんの体は、多岐にわたり機能障害が生じています。人間の体は運動連鎖でつながっているため、腰や股関節の変形から膝にも変形が生じていたり、膝の変形の影響で骨盤が傾いてしまっていたりします。このように膝以外の場所に障害があり膝に負担がかかっていたり、膝が変形していることが原因でどこか違う部位に負担がかかって変形していたりするのです。

そのため、座間総合病院では膝に対して集中的にリハビリを行うのではなく、上記のような膝に負担をかけている根本的な原因を、理学療法士の先生が見つけ1人1人の患者さんに適したリハビリプログラムを組んでいます。

具体例の1つとして、インソール治療というリハビリが挙げられます。インソール治療とは靴のなかに中敷きを挿入することで体のバランスを改善するといった治療法です。体のゆがんでいる患者さんに対して中敷きを敷くことで、体の動きが安定し歩きやすくなることもよくあります。

腫れや痛みを考慮し患者さんの負担を減らす

また人工膝関節置換術の後は、膝の腫れや痛みが生じます。そのため、痛みのある膝をはじめから無理やり動かすわけではなく、膝への負担を軽くするリハビリを取り入れることで患者さんの苦痛を軽減させるという工夫も行っています。

人工膝関節置換術後の症状については、記事1『人工膝関節置換術とは? 種類やメリット・デメリットについて詳しく解説』をご参照ください。

人工膝関節置換術後のリハビリの進め方 

手術の翌日は車いすでの移動ですが、回復が早い患者さんですと術後2、3日で立つことが可能です。その後歩行訓練などを実施し、術後10日程度で松葉杖や歩行器を使っての歩行ができるようになります。そして手術から2週間後には、術後のもっとも激しい痛みは治まり、ほとんどの患者さんが杖を使いながら病棟内を歩く練習ができるようになります。

帰宅後もリハビリは大切

多くの患者さんが術後3週間で入院でのリハビリを終え、ご自宅へ帰られます。しかし、退院後もリハビリは必要なため、週に1回から2回、外来でのリハビリを行います。またご自宅でのリハビリも重要です。

家に帰ると病院での生活とは違い、食事の準備をしたり洗濯物を干したりといった家事をしなくてはいけないため、必然的に活動性が上がり、入院時よりも膝に負担がかかって腫れや痛みが増加することもあります。退院後約1か月は、日常生活動作を1つのリハビリと考え、体を自宅での生活に少しずつなじませるようにしましょう。

自宅でのリハビリの注意点 

膝に痛みを抱えている高齢者

痛みを我慢してやりすぎない

退院してから患者さんがご自宅でリハビリを行う際の注意としては、痛みを我慢してやり過ぎないことです。実際に私がみている患者さんでも、手術後自宅に戻り調子もよかったため、リハビリとしていきなり1時間も歩いてしまった方がいらっしゃいました。その患者さんの脚(あし)はひどく腫れてしまったため治療が必要となり、退院から2週間後くらいに再度病院を受診しなければならなくなりました。

痛みは体から脳へ危険を知らせるシグナルでもあります。そのためご自宅でリハビリを行っている最中に痛みを感じた場合は、決して無理をして続けないでください。退院当初、リハビリとして歩く時間は、1日15~20分程度が丁度よいと思われます。

リハビリ期間は全体でどのくらい必要?

入院時のリハビリは約3週間実施します。その後外来でのリハビリや、患者さんのご自宅でも定期的にリハビリをしていただき、膝の痛みや腫れがほとんど引く3か月から6か月後に外来でのリハビリは終了となります。膝の痛みや腫れが引いたあとも膝周囲の筋力を保つことが重要なため、筋力トレーニングを行ったり、散歩などを継続することを心掛けてください。

記事3『人工膝関節置換術を受けた患者さんが日常生活で気をつけるべき点とは』では、人工膝関節置換術後の生活で患者さんが気を付けるべき姿勢や、楽しむことのできるスポーツの範囲などについて詳しくご説明します。

 

人工膝関節置換術 (山下 博樹 先生)の連載記事

昭和大学医学部を卒業した後、数々の病院での経験を経て、現在は座間総合病院人工関節・リウマチセンターの医長を務める。「人にやさしく」を信条としており、患者さんに安心してもらえる医療を提供するために日々邁進している。

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