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画像でみる鼠径ヘルニア(脱腸)の症状
 鼠径ヘルニアとはいわゆる「脱腸」のことで、特に男性に多く、日本では年間15万件以上も手術が行われている病気です。鼠径ヘルニアを発症すると、鼠径部(大腿の付け根)に柔らかい腫れが生じます。また、...
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画像でみる鼠径ヘルニア(脱腸)の症状

公開日 2018 年 04 月 19 日 | 更新日 2018 年 06 月 15 日

画像でみる鼠径ヘルニア(脱腸)の症状
大橋 直樹 先生

東京外科クリニック 院長

大橋 直樹 先生

目次

 

鼠径ヘルニアとはいわゆる「脱腸」のことで、特に男性に多く、日本では年間15万件以上も手術が行われている病気です。鼠径ヘルニアを発症すると、鼠径部(大腿の付け根)に柔らかい腫れが生じます。また、患者さんによっては違和感や痛みを覚える方もいらっしゃいます。その他にはどのような症状が現れるのでしょうか。本記事では鼠径ヘルニアの症状について東京外科クリニック院長 大橋直樹先生にお話しいただきました。

鼠径ヘルニア(脱腸)の症状とは

年齢や性別に関係なく鼠径部が腫れる

鼠径ヘルニアとは、鼠径部(大腿の付け根)に生じるヘルニアで、いわゆる「脱腸」のことを指します。

小児の鼠径ヘルニアの場合は先天的な要因で発症しますが、成人の場合、加齢によって身体の組織が弱まることなどが原因で、鼠径部の腹膜にヘルニア嚢(のう)と呼ばれる袋状の穴ができ、そこに腸が入り込むことで発症します。

鼠径ヘルニア

鼠径ヘルニアの特徴として、鼠径部が腫れるという症状が現れます。この腫れは柔らかく、指で押したり仰向けになったりすると、一時的に消えてなくなります。また、違和感や痛みを伴う方もいらっしゃいますが、腫れ以外の症状はないのが一般的です。

鼠径ヘルニアは患者さんご自身で症状を自覚することができるというのも特徴で、診断をつけるのも容易です。以下のような症状に当てはまる場合、鼠径ヘルニアの疑いがあります。

<鼠径ヘルニアの症状>

  • 鼠径部に柔らかい腫れやしこりのようなものがある
  • 鼠径部に違和感や痛みがある
  • お腹に力を入れると突っ張るような感覚がある
  • 陰嚢に腫れがある

鼠径ヘルニアの分類

鼠径ヘルニアは、発症した場所によって3種類に分けられます。

鼠径ヘルニア

外鼠径ヘルニア

外鼠径ヘルニアは、鼠径靭帯の上部、外側が腫れるヘルニアです。進行すると陰嚢が腫れるケースもあります。鼠径ヘルニアのなかでもっとも多いタイプで、小児・成人問わず発症する鼠径ヘルニアです。

内鼠径ヘルニア

内鼠径ヘルニアは、鼠径部のやや外側が腫れるヘルニアです。小児には少なく、中年以降の男性に多くみられるタイプです。

大腿ヘルニア

大腿ヘルニアは、鼠径部の下部、太腿が腫れるヘルニアです。出産経験のある高齢女性に多いタイプです。鼠径ヘルニアのなかでは発生率は低いタイプですが、嵌頓(かんとん)と呼ばれる重症化した状態になる可能性が高いと考えられており、早急に治療が必要です。

いずれも手術適応

外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアのいずれのタイプであるかは、体表からの診察だけでは判断できません。そのため、手術中に診断し、適切な治療を行うのが一般的です。まれに分類を要すときにCTを撮影することもありますが、そのようなケースはほとんどありません。

腫れの大きさと痛みに相関関係はない

鼠径ヘルニアの腫れの大きさと痛みには相関関係はありません。つまり、腫れが小さくても痛みを感じる患者さんもいらっしゃいますし、反対に腫れが大きくてもほとんど痛みがなく、日常生活を送れる患者さんもいらっしゃいます。私が医療ボランティアで発展途上国を訪れたときには、かぼちゃくらいの大きさまでに腫れ上がった鼠径ヘルニアの患者さんに出会ったこともあります。

日本では、腫れがある程度の大きさになるとほとんどの方が医療機関を受診されますが、なかには痛みがないため、腫れがどんどん大きくなっても放置してしまう患者さんもいらっしゃるのが現状です。

小児の鼠径ヘルニア

小児の鼠径ヘルニアの場合も、成人と同様に鼠径部が腫れたり、違和感や痛みが現れたりという症状が起こります。ただし注意しなくてはならないのが、小さなお子さんは言葉だけではうまく症状を伝えられないこともあるということです。小さなお子さんの「お腹が痛い」という訴えだけでは、どこがどのように痛むのか詳しく把握するのが難しく、親御さんがただの腹痛であると判断してしまった場合には、鼠径ヘルニアの発見が遅れてしまうこともあります。鼠径ヘルニアの症状を理解して、日頃からお子さんの様子をチェックすることが大切です。

子ども

女性の鼠径ヘルニア

鼠径ヘルニアは男性の患者さんが大多数を占めますが、もちろん女性の患者さんもいらっしゃいます。女性の鼠径ヘルニアは非常にデリケートな問題で、下腹部に症状が現れることから、まず婦人科にかかる患者さんも少なくありません。

女性の患者さんの場合、鼠径ヘルニアの症状を訴えていらっしゃった場合でもあらゆる病気の可能性を視野に入れて診察することが大切だと考えます。

たとえば子宮内膜症もそのひとつです。子宮内膜症とは、子宮内腔にあるはずの組織が子宮以外にできる病気で、鼠径部にできる場合があります。実は患者さんによっては、鼠径ヘルニアと子宮内膜症が併存していることもあり、より慎重な診察が求められます。

また、近年はNuck(ヌック)管水腫と診断される患者さんも多くなってきました。これも鼠径ヘルニアの亜型ですが、慎重な対応が必要です。

鼠径ヘルニア(脱腸)の進行症状?嵌頓(かんとん)とは

脱腸した部分が元に戻らなくなる

鼠径ヘルニアを放置しておくと嵌頓(かんとん)と呼ばれる状態になることがあります。

嵌頓とは、腫れが固くなって、ヘルニア嚢から飛び出した腸を指で押しても戻らなくなる状態です。

嵌頓の状態になると、脱腸した部分が筋肉によって締め付けられ、腸閉塞を起こしたり、血流障害が起きて腸が壊死したりする危険があります。そのため、嵌頓になると緊急手術が必要になります。

以下のような場合は嵌頓になっている可能性があるため早急に医療機関を受診してください。

<嵌頓(かんとん)が疑われる症状>

  • 脱腸している部分を指で押したり仰向けになったりしても元に戻らない
  • 脱腸している部分が固くなっている
  • 腹痛がある
  • 吐き気がある

嵌頓

嵌頓になるかどうかは人それぞれ

嵌頓は罹病期間の長さにかかわらず、ヘルニア嚢の入り口が狭く、奥行きがある場合に起こりやすいと考えられます。鼠径ヘルニアを発症後、嵌頓になりやすいかどうか(ヘルニア嚢の入り口の大きさ)を正確に把握することはできません。しかし鼠径ヘルニアの種類によって嵌頓になりやすいかどうかをある程度判断することが可能です。一般的には男性の外鼠径ヘルニアと、女性の大腿ヘルニアの患者さんは嵌頓になりやすいと考えられています。

画像でみる鼠径ヘルニア(脱腸)の症状

ここからは実際に鼠径ヘルニアの症状を写真でご覧いただきます。

鼠径ヘルニアの典型的な症状−鼠径部の腫れ

鼠径部の腫れ

鼠径ヘルニアでは鼠径部にこのような腫れがみられます。

外鼠径ヘルニア−鼠径ヘルニアの患者さんの大半を占める

男性の右側の外鼠径ヘルニアです。下腹壁血管の外側にヘルニアがみられます。

内鼠径ヘルニア−中年以降の男性によくみられる

内鼠径ヘルニア

男性の右側の内鼠径ヘルニアです。下腹壁血管よりも正中寄り、つまり内側にヘルニアがあるタイプです。

大腿ヘルニア−出産を経験した女性によくみられる

女性の左側の大腿ヘルニアです。外腸骨動脈及び静脈が大腿へ向かう通り道にあたる「大腿裂孔」が開大しヘルニアになっています。

鼠径ヘルニアを放置するとどうなる?

鼠径ヘルニアは手術によって治療しなければ根治できない

鼠径ヘルニアは患者さんによってはほとんど痛みを感じません。そのため、鼠径部の腫れがどんどん大きくなっているにもかかわらず、医療機関を受診せず、そのまま放置してしまう患者さんもいらっしゃいます。しかし鼠径ヘルニアは、小児の軽度なものを除けば、基本的に一度診断がついたら手術によって治療を行わなければ根治できません。疑わしい症状がある場合はまず医療機関を受診してください。

患者さんによっては、ヘルニアバンドや脱腸帯などで一時的に脱腸部分を圧迫している場合もあります。しかし、この方法では鼠径ヘルニアを根本的に治療することは不可能ですし、場合によっては内臓に負担がかかってかえって悪影響が出る可能性もあります。

早期診断・治療を行うことが望ましい

鼠径ヘルニアは手術によって治療しますが、可能な限り早めに手術を行うことが望ましいと考えられます。なぜなら、鼠径ヘルニアにかかっている期間が長くなると、ヘルニア嚢の穴の周囲の組織が固くなり、その部分を切開して治療するというのは技量が必要となるため、手術の難易度が上がるためです。また、罹病期間が長い鼠径ヘルニアは、手術後に漿液腫(しょうえきしゅ:ヘルニア嚢に体液が溜まる)などの合併症が起こりやすく、術後の通院期間が延びてしまう患者さんもいらっしゃいますので、やはり早期診断・治療を行うことが望ましいといえます。

「嵌頓」の状態になる前に手術を行う

また、前述したように患者さんによっては、症状を放置していると脱腸している部分が固くなり戻らなくなってしまう「嵌頓」の状態になる可能性があります。

鼠径ヘルニアが嵌頓の状態になると、患者さんは痛みを訴えて緊急で来院しますが、治療が遅れてしまうと脱腸した部分が締め付けられて血流障害を起こしてしまい、最悪の場合には壊死してしまいます。鼠径ヘルニアは、急速に病状が進行・悪化するような病気ではありませんが、嵌頓のような危険な状態を予防するためにも、疑わしい症状がある場合には速やかに医療機関を受診することが大切です。

鼠径ヘルニア (大橋直樹先生)の連載記事

日本外科学会認定外科専門医。
慶応義塾大学医学部外科学教室助教を勤めた後平成27年独立。
現在は腹腔鏡手術、小児外科、乳腺外科の日帰り手術専門クリニックを運営し多くのスペシャリストに活躍の場を提供している。成人鼠径ヘルニア手術の専門家として業績多数。

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