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脊椎圧迫骨折の検査と治療方法。脊椎圧迫骨折を起こしたらどうする?
 脊椎圧迫骨折は突然起こります。また日常の些細な動作から起こり、痛みが小さいこともあるので、骨折しているとは気が付かずに痛みを訴えて病院を受診される方も多いです。そのため専門の医療機関では綿密な...
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脊椎圧迫骨折の検査と治療方法。脊椎圧迫骨折を起こしたらどうする?

公開日 2018 年 02 月 21 日 | 更新日 2018 年 02 月 21 日

脊椎圧迫骨折の検査と治療方法。脊椎圧迫骨折を起こしたらどうする?
大橋 洋輝 先生

医療法人社団のう救会 脳神経外科東横浜病院/東京慈恵会医科大学脳神経外科 診療医長・講師 脳神経外科 

大橋 洋輝 先生

目次

 

脊椎圧迫骨折は突然起こります。また日常の些細な動作から起こり、痛みが小さいこともあるので、骨折しているとは気が付かずに痛みを訴えて病院を受診される方も多いです。そのため専門の医療機関では綿密な検査を行っています。

また検査の結果、脊椎圧迫骨折と診断された場合、保存療法、外科的固定術、BKP治療といった3つの治療方法があります。これらの治療方法は患者さんの容態や希望によって選択されます。

今回は脊椎圧迫骨折の検査の流れや治療方法について医療法人社団のう救会 脳神経外科東横浜病院 大橋洋輝先生にお話を伺いました。

まさか骨折とは思わず受診される方も

腰痛

記事1『突然背骨が潰れる脊椎圧迫骨折とは? 骨粗しょう症の患者さんは特に注意!』で述べてまいりましたように、脊椎圧迫骨折は転ぶ、ぶつけるなどの外的刺激によるものだけでなく、立ち上がったり、咳をしたり日常の些細な動きで起こってしまうこともあります。さらに圧壊*した骨の形状によっては、さほど痛みを感じないこともあります。そのため患者さんは自分がまさか骨折をしているとは思っていないケースもしばしばあります。

転倒によって痛みが生じた場合は大事を取って救急車を利用したり、ご家族に引率されたりして受診される方がほとんどです。しかしまさか骨折とは思っていない患者さんの中には、圧壊によって痛みが生じていても、歩いて病院に来院されることもしばしばあります。

そのため脳神経外科東横浜病院では背骨に痛みを感じて受診される患者さんに、詳しい検査を行います。

圧壊……骨密度が低下し、骨が体重を支えきれなくなることで押しつぶされてしまうこと

脊椎圧迫骨折の検査

画像診断

まずはレントゲン

病院を受診された患者さんに骨折の疑いがある場合、まずどこに痛みが生じているかを調べるため、患部を軽く叩くなどして最も響く場所を探します。痛みの原因となる箇所に見当がついたらその部位のレントゲンを撮影します。しかしここで注意が必要なのは、「これが初めての圧迫骨折かどうかはわからない」ということです。

記事1『突然背骨が潰れる脊椎圧迫骨折とは? 骨粗しょう症の患者さんは特に注意!』でも述べましたが、脊椎圧迫骨折には必ずしも痛みが伴うとは限りません。そのため痛みがなかったために患者さん本人が気づかず、治療されていない骨折がある可能性もあります。このような治療されずに時間が経過してしまっている骨折のことを「陳旧性骨折(ちんきゅうせいこっせつ)」といいます。

発見された骨折が陳旧性骨折の場合、外科治療などの積極的な治療は選択されないことがほとんどです。なぜなら、圧壊から一定の期間が経過してしまっている骨はすでに固まってしまっており、十分に治療の介入ができないからです。また外科治療を行う最大の目的は痛みの除去です。陳旧性骨折のほとんどは慢性的な痛みはあっても、激痛でないため保存療法を行いながら様子をみることが基本です。

先生ご提供画像:レントゲンでみた脊椎圧迫骨折

MRIの撮影

そこで、レントゲンに写っている骨折が新規の骨折なのか、陳旧性骨折なのかを判断するためにMRIを撮影します。MRIは磁気で体の断面写真を撮影する医療装置です。出血や筋肉、靱帯の様子などを把握することができるため、その骨折が新しいのか、以前からあったものなのか、推測することができるというわけです。

先生ご提供画像:MRIでみた新しい脊椎圧迫骨折(下)と陳旧性骨折(上)

それに加えMRIを撮影することで、この脊椎圧迫骨折が進行していくタイプであるかどうかも、ある程度予測をつけることができます。受診された際に続発する脊椎圧迫骨折の懸念がある患者さんに対しては、のちに述べるBKP治療などで早期に介入することによって事前に予防することも可能です。

CT

さらに骨の状態を詳しくみるためにCT検査が用いられることもあります。CTは放射線を使って撮影され、体の輪切り画像を作成できるうえ、それを再構成して3Dの画像を作成することもできます。CTは骨がはっきりと写りやすく、撮影することにより骨折のより詳しい形状やひびの有無をみることができます。

CTでみた脊髄圧迫骨折
先生ご提供画像:CTでみた脊椎圧迫骨折

脊椎圧迫骨折の治療方法

3つの治療選択肢

脊椎圧迫骨折には大きく分けて3つの治療方法があります。ここではそれぞれの治療方法についてご説明します。

<脊椎圧迫骨折の治療方法>

  • 保存療法
  • 従来の外科的治療(固定術)
  • BKP治療

コルセットを着用し骨が固まるのを待つ保存療法

安静

脊椎圧迫骨折は圧壊が起こってしばらくは椎骨のバランスが乱れ、ぐらつくことによって痛みが生じます。しかし一定期間安静にしていれば圧壊した骨が固まり、グラつきがなくなることで痛みも治まっていきます。骨が固まり、痛みがなくなるまで安静を保つ治療方法を「保存療法」といいます。

保存療法では安静期間中、痛み止めと骨粗しょう症の薬を処方します。また、骨が歪まずに固まるようコルセットを着用し、安静を保ちます。

保存療法の安静期間は患者さんによって大きく異なります。1〜2週間で痛みがなくなり徐々に普段の生活に復帰できる方もいれば、3か月以上痛みが残りなかなか復帰できない方もいます。このように安静期間が長期に渡ってしまうと、「廃用症候群」を起こす可能性があります。

廃用症候群とは

廃用症候群とは長期間体を動かさないことによって体の器官が衰え、もともとできていたことができなくなってしまう状態を指します。脊椎圧迫骨折の保存療法の場合には安静期間に筋肉・関節を動かす機会が激減することで、筋肉がやせ衰えたり、関節の動きが悪くなったりしてしまいます。また、この安静期間に認知症やうつ病などを引き起こすケースもあります。

ご高齢の患者さんであればあるほど体の器官の衰えは速いスピードで訪れます。なかには1週間の安静期間で廃用が進んでしまうこともあります。そのため安静期間からご家族や理学療法士さんなど専門の方が介入し、関節の曲げ伸ばしなどのリハビリ・ストレッチを行うことが大切です。

椎骨を固定する外科的治療

手術

脊椎圧迫骨折は手術によって治療されることもあります。従来の手術治療としてよく知られているのが「固定術」です。これは脊椎に骨を移植したり、金属製のネジや棒を入れたりすることで圧壊部分の骨を固定してしまう治療です。全身麻酔下で行われ、数週間ほどの入院も必要となります。

この治療は今ある脊椎圧迫骨折の治療方法のなかでは侵襲(体を傷つけること)が大きく、患者さんに負担がかかります。脊椎に金属を入れて固定するため、圧壊した椎骨の部位に合わせて、場合によっては背中を大きく切開しなければならないこともあります。傷が回復するまでは、骨折の痛みに加え切開した傷の痛みが生じます。また、圧迫骨折を起こした骨と同様の骨粗しょう症である上下の椎骨にネジを打つため、骨がネジに負けてネジが緩んでしまうこともあります。

しかし、固定術を行わなければ脊椎の役割を果たすことに支障が出ると判断された場合には進んで選択されます。たとえば脊椎は神経の塊である脊髄を守る役割があるため、椎骨の圧壊によって変形した脊椎が脊髄を圧迫してしまい、神経症状が出現してしまった場合などに行われます。

固定術後の画像

先生ご提供写真:固定術後の骨の様子

BKP治療(経皮的椎体形成術)

先生

BKP治療は「バルーン カイフォプラスティ治療」を略したもので、日本では2010年に厚生労働省に認可され2011年より保険適用の治療として行われるようになりました。BKP治療も従来の外科的治療である固定術と同様、全身麻酔下で行われます。しかし非常に治療時間が短く低侵襲であるため、回復が早く廃用症候群などを起こしにくいことで知られています。

 

【先生ご提供画像:実際の手術風景】​先生ご提供写真:BKP治療、実際の手術風景

BKP治療では椎骨の左右に5mm前後の小さな穴を開け、そこから針を刺して圧壊してしまった椎骨内の治療を行います。まず潰れている椎骨を針の先端に備え付けた医療用バルーンを膨らますことで持ち上げ、元来の椎骨の形態を復元します。そのうえでバルーンを膨らますことによってできた空洞に骨セメントを入れ、もとの椎骨の形態をキープできるようにする治療です。

BKP治療

脊椎圧迫骨折、治療方法はどのように選択する?

医師と高齢者

痛みを取り除くことが先決

上記でお話したように脊椎圧迫骨折には複数の治療方法があります。これらの治療方法の選択は患者さんの容態や生活環境、ご希望によって判断されます。

「痛みをとる」ことを治療のゴールとした場合、3つの治療方法のうちどれを選択しても、いずれ痛みは引くことが予想されます。しかし早く痛みを取り除き、体を動かせるようになるために患者さんと相談して治療方法を検討します。全身麻酔の難しい患者さんや老々介護などで数日間であっても入院の難しい患者さんなどは保存療法で長期的に経過を見守る場合もあります。

 

脊椎圧迫骨折・骨粗しょう症 (大橋 洋輝 先生)の連載記事

脳神経外科の中でも、脊椎・脊髄疾患全般、特に脊髄空洞症、脊髄腫瘍、脊椎変性疾患、脊髄内視鏡治療、脊椎外傷、骨粗鬆症性圧迫骨折などの外科治療を専門としている。その他社会活動として、スポーツ現場での頭頚部外傷特に、脳振盪の対応について啓発をおこなっている。

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