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脊椎圧迫骨折のBKP治療。適応範囲や治療の特徴
  脊椎圧迫骨折には保存療法、外科的固定術、そしてBKP治療という3つの治療選択肢があります。なかでもBKP治療は比較的新しい治療です。BKP治療は背中から骨に向かって針を指し、潰れてしまった骨...
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脊椎圧迫骨折のBKP治療。適応範囲や治療の特徴

公開日 2018 年 02 月 21 日 | 更新日 2018 年 02 月 21 日

脊椎圧迫骨折のBKP治療。適応範囲や治療の特徴
大橋 洋輝 先生

医療法人社団のう救会 脳神経外科東横浜病院/東京慈恵会医科大学脳神経外科 診療医長・講師 脳神経外科 

大橋 洋輝 先生

目次

 

 

脊椎圧迫骨折には保存療法、外科的固定術、そしてBKP治療という3つの治療選択肢があります。なかでもBKP治療は比較的新しい治療です。

BKP治療は背中から骨に向かって針を指し、潰れてしまった骨をバルーンで膨らませ、そこに骨セメントを入れることで骨を正しい位置に固定する治療です。患者さんの回復が早く、正しい位置で骨を安定化させることができるところが魅力です。

今回は脊椎圧迫骨折に対するBKP治療について医療法人社団のう救会 脳神経外科東横浜病院 大橋洋輝先生にお話を伺いました。

脊椎圧迫骨折に対するBKP治療とは?

手術

BKP治療は正式名称をBalloon Kyphoplasty(バルーンカイフォプラスティ)治療といいます。また日本語では経皮的椎体形成術もしくは経皮的後弯矯正術と呼ばれています。BKP治療は1990年代にアメリカで開発され、2017年現在全世界で80万人以上の方に行われている治療方法です。日本では2010年に厚生労働省の認可を受け、2011年より保険が適用される治療となりました。

BKP治療は椎体形成術の一種です。椎体形成術とは、圧壊してしまった椎骨に骨セメントを注入して骨を安定化させる治療のことです。椎体形成術にはBKP治療以外にもさまざまな手段がありますが、なかでもBKP治療はバルーンを使用することが特徴的です。

BKP治療ではまず圧壊した椎骨に針を挿入し、針先端の医療用バルーンを膨らませることで、椎骨本来の高さを復元します。バルーンが膨らんだことによって生じる空洞に骨セメントを注入することで、元来の椎骨の形態を復元した状態での安定化を図ります。

 

BKP治療

先生ご提供画像:手術中の3D画像

BKP治療は傷が小さい

BKP治療は固定術と同様、全身麻酔で治療されます。しかし広範囲に渡る切開が必要な固定術と比較すると、傷のサイズはとても小さいです。椎骨の左右に5mm程度の穴を2箇所開けるのみで済みます。抜糸の必要もありません。そのため治療後の回復も早く、早期に体を動かせるようになります。

また治療時間はおよそ30〜40分前後で、麻酔をかけ、覚ます時間を含めても1.5時間程度が一般的です。

骨セメントとは

骨セメントとは骨と骨の間を埋め、固定する充填剤のような役割を果たすものです。骨セメントは椎体形成術施術時には柔らかいペースト状をしていますが、骨の間に注入し一定の時間が経過することで硬化し、骨を固定します。

骨セメントには「ポリメタクリル系骨セメント」「リン酸カルシウム系骨セメント」などいくつかの種類があります。

脊椎圧迫骨折のBKP治療、適応範囲は?

骨

さまざまな患者さんに適応可能

BKP治療は脊椎圧迫骨折を起こした患者さんのほとんどに適応が可能です。BKP治療が難しい例としては大きく2つ考えられます。

1つめは骨の圧壊が強すぎて椎骨のなかに針をさすことができない場合です。椎骨1つが完全に潰れきってしまっている場合、このようなことが起こります。

2つめは皮質骨や骨膜といった骨の表面に当たる部分に、圧壊により亀裂が走ってしまっている場合です。記事2『骨粗しょう症とは? 脊椎圧迫骨折など骨折の原因となる病気』でも述べましたとおり、骨はいくつかの層で構成されています。その外側の強靭な膜に穴が空いてしまうと、骨セメントを注入した際にセメントが外に漏れ出てしまう恐れがあります。椎骨の周辺には血管なども隣接しており、万一それらにセメントが誤って入ってしまうことなどがあると危険です。

脊椎圧迫骨折を起こした際、それがBKP治療の適応となるかどうかはレントゲン、MRI、CTの検査結果によって専門の医師が判断します。レントゲンは脊椎の全体像を、MRIは周辺の筋肉や出血の様子を、CTは骨の詳しい状態を診ることができます。

脊椎圧迫骨折に対するBKP治療の特徴

先生

BKP治療は日本での認可が下りた当初、保存療法で痛みが取れなかった患者さんに対して二次的に行われる治療方法でした。しかし近年、整形外科領域の研究によればなるべく早期にこの治療を行うほうが患者さんのその後のQOL(Quality of life=生活の質)がよくなるとも発表されています。ここではBKP治療の特徴についてご紹介します。

<BKP治療の特徴>

  • 治療後の回復が早い
  • 骨が歪みにくい
  • 圧迫骨折の続発を防げる

回復が早い

BKP治療の最大の特徴はなんといっても回復が早いことです。BKP治療が他の治療と比較して回復が早い理由は2つあります。

1つめは保存療法と比較して安静期間が短くて済むからです。BKP治療は圧壊してしまった椎骨に骨セメントを注入することで骨を固定してしまうため、骨が自然に固まるのを待つよりも早く安定します。

2つめは治療による侵襲が少ないからです。BKP治療は従来の外科的治療である固定術と比べると切開範囲も少なく、治療時間、入院期間も短いため、治療から数日で患者さんは動き出せるようになります。

骨が歪みにくい

まずBKP治療は脊椎の形状をある程度正しい形に戻すことができます。これはバルーンを駆使して圧壊してしまった椎骨を従来の形状に近い形で復元することができるからです。

先生ご提供写真:BKP治療後のCT画像

記事1『突然背骨が潰れる脊椎圧迫骨折とは? 骨粗しょう症の患者さんは特に注意!』でも述べましたが、人の脊椎は側面からみるとなだらかにカーブを描いています。BKP治療では椎骨の圧壊によって歪んでしまった脊椎のカーブをある程度正しい位置に戻し、固定することができます。そのため、身長が縮んでしまうことも、背骨が丸まってしまうことも最低限にとどめることができます。

脊椎圧迫骨折の続発を防げる

またBKP治療を行うことで、続発しやすい脊椎圧迫骨折の進行を食い止めることにもつながります。脊椎圧迫骨折は一度生じると、1年以内に別の椎骨で圧壊する確率が5倍高まるともいわれています。これは、1つの椎骨が圧壊したことによって他の椎骨に掛かる負担が強くなるということも原因の1つに挙げられています。そのためBKP治療によって圧壊した椎骨をもとの形状に復元することは、脊椎圧迫骨折続発の予防にもつながるのです。

しかしBKP治療を行うだけでは脊椎圧迫骨折続発への予防として十分ではありません。併せて脊椎圧迫骨折を引き起こす大本の原因となる骨粗しょう症の治療も大切です。骨粗しょう症の治療、予防方法については記事2『骨粗しょう症とは? 脊椎圧迫骨折など骨折の原因となる病気』で詳しく述べています。また、ある程度高齢の患者さんの場合には転倒のリスクを防ぐため、居住環境をバリアフリーにすることも有効であるといえます。

脊椎圧迫骨折のBKP治療はどこで受けられる?

整形外科・脊椎外科指導医の在籍する医療施設

脊椎圧迫骨折のBKP治療は整形外科指導医、脳神経外科の脊髄外科指導医のもとで行われます。BKP治療を行うために医師が講義や実技などの研修を行う必要があり、2017年現在は治療の行える施設が限られているのが現状です。

実は脊椎はもともと整形外科と脳神経外科の境界領域であり、どちらの診療科でも治療されます。脊椎は骨の一部であるため、整形外科領域であると認識する方が多いと思います。しかし、脊椎には人間にとって重要な神経である「脊髄(せきずい)」を守る役割があるため、脳と関わりの深い脳神経外科の脊髄外科医によっても専門的な治療が行われているのです。実際、海外では脊椎・脊髄の治療は脳神経外科医が行うことが一般的です。近年は「脊椎センター」などの名称で、整形外科医と脳神経外科脊髄外科医が共同で治療をしている医療機関もあります。

東横浜病院の取り組み

脳神経外科東横浜病院はもともと脳卒中を専門に診療しておりましたが、2014年から脊椎・脊髄外科治療を開始し、2016年より脊椎圧迫骨折の患者さんの治療に従事しています。脳卒中も脊椎圧迫骨折も高齢の患者さんが多いため、当院では脳卒中で受診された患者さんに脊椎圧迫骨折や骨粗しょう症についての啓発、治療のインフォメーションを届けるよう努めています。

またひとりでも多くの患者さんに治療の選択肢を提供できるよう、地域の開業医の先生を招いた勉強会なども積極的に行っています。当院でBKP治療を行い、地域のかかりつけの先生のもとで骨粗しょう症を治療することで、地域全体で脊椎圧迫骨折に苦しむ患者さんを守っていきたいと考えています。

腰や背中に痛みを感じたら

今までに感じたことのない腰痛、背中の痛みを感じても「歳のせいだから」と特に病院を受診しない方もいらっしゃいます。しかし痛みは急性期疾患の症状とは違い、本人から訴えがなければ医療が介入することができません。ですからそのようなことがあればまずはぜひ、脊椎専門の病院を受診してほしいと思います。これは整形外科でも脳神経外科でも構いません。

検査の結果、脊椎圧迫骨折という診断が出た場合、治療方法はかかりつけの先生と相談し、よりご自身の希望に合うものを選択しましょう。また長期的に痛みが継続する場合は、他の治療方法を検討するのもよいでしょう。

 

脳神経外科の中でも、脊椎・脊髄疾患全般、特に脊髄空洞症、脊髄腫瘍、脊椎変性疾患、脊髄内視鏡治療、脊椎外傷、骨粗鬆症性圧迫骨折などの外科治療を専門としている。その他社会活動として、スポーツ現場での頭頚部外傷特に、脳振盪の対応について啓発をおこなっている。

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