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側弯症の治療法。経過観察中の注意点や装具治療について
脊柱(背骨)が何らかの原因で側方に変形する側弯症では、経過観察・装具治療・手術治療からいずれかの治療法が選択されます。本記事では経過観察中の注意点や、保存的な治療である装具治療について、社会医療...
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側弯症の治療法。経過観察中の注意点や装具治療について

公開日 2018 年 03 月 07 日 | 更新日 2018 年 06 月 13 日

側弯症の治療法。経過観察中の注意点や装具治療について
小谷 善久 先生

社会医療法人 製鉄記念室蘭病院 副院長・理事、整形外科長 脊椎脊髄センター長 リハビリテーション部長

小谷 善久 先生

目次

脊柱(背骨)が何らかの原因で側方に変形する側弯症では、経過観察・装具治療・手術治療からいずれかの治療法が選択されます。本記事では経過観察中の注意点や、保存的な治療である装具治療について、社会医療法人製鉄記念室蘭病院 脊椎脊髄センター長・整形外科科長の小谷善久先生にお話を伺いました。

側弯症の治療法

背骨

側弯症の治療は患者さんの年齢(骨成熟度)や変形の角度(コブ角)、症状などによって以下から選択します。

<側弯症の治療法>

経過観察…側弯症の進行がみられないか経過を追い、症状があれば対処する

装具治療…装具により側弯症の進行を抑制したり、変形による姿勢異常を矯正して痛みやバランス異常を緩和する

手術治療…変形した脊柱を金属で固定し矯正する

それでは、次項から経過観察・装具治療の適応や治療法について解説します。

(手術治療については記事4『側弯症の手術治療や術後の生活について−負担の少ない手術方法とは?』で解説します)

側弯症の経過観察−小児の場合

レントゲン撮影のための定期的な通院

小児側弯症が軽度であり経過観察と判断された場合には、一般的にはレントゲン撮影のための定期的な通院を行います。また、レントゲン撮影は、年齢などによる進行リスクによって以下の頻度を目安に行います。

<レントゲン撮影の頻度>

  • 骨成熟が未熟で進行リスクが高い場合…3〜4か月ごと
  • 骨成熟度が高く進行リスクが低い場合…6〜9か月ごと

日常生活に制限はない

小学校高学年くらいの男女が走っている姿

小児の場合、日常生活での禁止事項は特にありません。よく親御さんから「運動はしても大丈夫か」「カバンはどっちの手で持てばいいか」「食べてはいけないものはあるか」などの質問を受けることが多いのですが、そのような制限はありません。

育つ環境や食べるものによって小児・思春期側弯症が悪化するという医学的根拠はないので、あまり神経質にならずに、周りのお友達と同じような生活を送っていただければと思います。

ただし、通院を自己中断してしまうと、知らない間に側弯症が進行していることがあります。ですから、医師から決められた頻度できちんと通院をして、レントゲン撮影で経過を追っていくことが大切です。

側弯症の経過観察−成人の場合

症状に合わせた治療を行う

小児・思春期側弯症では、ほとんど自覚症状が出ないことに対し、成人では痛みの症状を訴える患者さんが多くいます。そのため手術の必要がないと判断された経過観察の場合には、主に痛みを緩和するための薬物治療を行います。

また、足の痛みや痺れなどの神経症状がみられる場合には、神経ブロック注射(末梢神経に局所麻酔薬を注入することで、神経機能を麻痺させ痛みを軽減させること)を行うこともあります。

経過観察中は体重増加に注意

成人の場合には、側弯症の悪化を防ぐために体重を増やさないように注意しましょう。脊柱(背骨)は全身を支える役割をしているため、極度な肥満になると脊柱に大きな負担がかかり曲がりやすい状態になってしまいます。

また、成人側弯症(成人脊柱変形)は脊柱を支えるための腹筋や背筋といった体幹筋の低下が原因となることがあります。そのため、体幹を鍛える筋力トレーニングを行うことも側弯症の進行抑制には有効であると考えます。

側弯症の装具治療

小児・思春期に発症する側弯症の場合には、装具治療を行うこともあります。それでは、装具治療の適応や具体的な治療法についてご説明します。

適応となるのは?

脊柱の変形が一定以上の角度となり、骨の成長に伴い側弯症が進行する可能性の高いお子さんには装具治療が選択されます。このとき適応となる角度は、変形している部位や患者さんの骨成熟度によって異なりますが、おおむね25〜35度で装具治療の適応となります。

50度以上の変形がみられる場合には、一般的に手術治療が選択されます。

治療目的−変形の進行抑制

装具治療は側弯症の進行を抑制するために行う治療法です。

なお、装具治療によって変形した脊柱が元通りの真っ直ぐな形に戻ることは基本的にはありません。患者さんのなかには、装具治療中に身長が伸びていく過程で徐々に変形が改善していくことがありますが、曲がった状態は残存するのが一般的です。

治療法や日常生活における注意点

側湾症の装具治療1

側湾症の装具治療2
装具治療の例 小谷善久先生ご提供

装具治療ではこのようなプラスチック製の装具をなるべく1日中装着していただきます。装具治療中も周囲のお子さんと同じように体育や部活動をしていただくことは可能で、運動中には装具を外していただくようにお伝えしています。

特にコンタクトスポーツ(バスケットボール、サッカー、柔道など)のような他人と接触するようなスポーツは、装具によって相手を傷つけてしまう可能性もありますので必ず装具は外していただきます。また器械体操やマット運動を行う際にも装具は外した状態で行うようにしましょう。

装具治療はどれくらい継続して行う?

装具治療を行う期間は患者さんによって異なりますが、小学5年生頃から成長終了する高校2年生頃まで治療を行うことが多いです。しかし、長期間装具治療を行うことで、腹筋や背筋といった体幹筋の衰えや装具の拘束によるストレスなど、いくつかの弊害をもたらすこともあります。

ですから、必要以上に装具治療を行うのではなく、治療期間をできるだけ短くすることも重要です。そのため、骨成長が進み側弯症が進行しやすい中学2年生頃から装具治療を導入することも多くあります。

装具治療は進行を抑えるために必要不可欠の治療ですが、治療開始時期については主治医と相談のうえ慎重に決めていくことが大切でしょう。

装具治療にかかる費用

装具は腰椎までをカバーするものが約9万円、胸椎までをカバーするものが約14万円です(製鉄記念室蘭病院、全額自費の場合)。しかし、小児側弯症の治療は、自立支援医療(育成医療)の医療費給付対象となりますので、患者さんの自己負担額は全体の1割の金額です(2018年1月現在)。

側弯症でリハビリテーションは行う?

成人であればストレッチや筋力トレーニングを行うことも

リハビリテーション

小児・思春期の側弯症に対して、有効と考えられるリハビリテーションやセルフケアは基本的にはありません。

しかし成人であれば、症状改善のためのリハビリテーションを実施することがあります。

たとえば後弯症では、前かがみの体勢が続くことで股関節が拘縮(こうしゅく)し、股関節を曲げた状態で固まってしまうことがあります。この拘縮を取り除くために、股関節周りのストレッチなどのリハビリテーションを行います。また、体幹筋の筋力低下が側弯症の原因となることもあるため、腹筋や背筋のトレーニングや下肢の筋力を鍛える歩行訓練を行うこともあります。

ただし、成人の側弯症の多くは痛みの症状を伴うため、痛み止めで症状を軽減しながら、無理のない範囲でリハビリテーションを行います。

 

一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会ウェブサイトも併せてご覧ください。

http://www.jssr.gr.jp/index.html

北海道大学医学部を卒業後、米国留学や北海道大学を中心とした道内の医療機関において、整形外科医としての研究・臨床経験を積む。脊椎脊髄疾患を専門とし高度な技術で低侵襲手術を行っている。2018年現在、北海道MISt研究会の代表も務める。

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