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不整脈のカテーテルアブレーション治療-治療の効果やリスクは?
不整脈の根治を目指す治療方法としてカテーテルアブレーション治療があります。カテーテルアブレーション治療とは、カテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入し、不整脈の発生源まで到達させ、その部分を焼き...
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不整脈のカテーテルアブレーション治療-治療の効果やリスクは?

公開日 2018 年 04 月 01 日 | 更新日 2018 年 04 月 16 日

不整脈のカテーテルアブレーション治療-治療の効果やリスクは?
山城 啓 先生

池上総合病院 非常勤

山城 啓 先生

目次

不整脈の根治を目指す治療方法としてカテーテルアブレーション治療があります。カテーテルアブレーション治療とは、カテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入し、不整脈の発生源まで到達させ、その部分を焼き切ることによって不整脈を治す治療方法です。カテーテルアブレーション治療は患者さんの心身への負担が少ない治療方法であるうえ、病気を根本的に治すことを目指せる一方、不整脈の種類や重症度によっては適さない場合もあるため選択には検討が必要です。

今回は、カテーテルアブレーション治療の効果やリスク、治療の流れについて池上総合病院循環器内科の山城啓先生にお話を伺いました。

カテーテルアブレーション治療とは?

心臓・心電図

血管に細い管を通し、不整脈の発生源を焼き切る治療

カテーテルアブレーション治療とは不整脈の発生源を焼き切る治療です。血管に細い管を通し、不整脈の発生源まで到達させ、その先端から高周波電流を流すことによって治療を行います。細い管は「カテーテル」と呼ばれ、またアブレーションとは英語で「取り除くこと・切除すること」という意味を持ちます。最近では、病気の種類に応じて冷凍アブレーションという液体窒素を用いて低温で焼灼する治療も行われています。

アブレーション治療について

カテーテルアブレーション治療で用いられる熱源や手段はさまざまです。40〜43℃程度の高温で焼き切る手段もあれば、-40〜-60℃程度の低温で壊死させる手段(冷凍焼灼術)もあります。これらの選択は医療機関や不整脈の種類に応じても異なります。

高温で焼き切る場合、対象となる組織が40℃以上になるまで、熱源をしっかり当てる必要があります。そうすることによって発生源が壊死し、再発を防ぐことができます。

患者さんの心身への負担が少なく、適応年齢が幅広い

1994年に日本でカテーテルアブレーション治療が保険適応されるまでは、不整脈の非薬物療法として主に開胸手術が行われていました。開胸手術による不整脈治療は全身麻酔を伴い、傷も大きくなるため、合併症*や患者さんへの大きな負担が懸念されます。

それに対し、カテーテルアブレーションは開胸手術と比較すると患者さんの心身への負担が少ないといえます。なぜなら局所麻酔で治療を行うことができ、合併症も開胸手術と比較すると格段に少ないからです。多くの場合、治療の翌日から歩行・食事などの日常生活が送れます。また、小児からご高齢者まで幅広い年齢層に対応できる治療です。

合併症…ある病気や、手術や検査が原因となって起こる別の症状

カテーテルアブレーション治療の適応

医師と患者

不整脈の種類によって判断される

不整脈の治療は、不整脈の種類やその他の心疾患の有無によって選択肢が異なります。なぜなら、これらの条件によって治療の向き不向き、再発率や有効性が異なるからです。

カテーテルアブレーション治療は特に下記のような不整脈に用いられます。

<カテーテルアブレーション治療を特に検討する不整脈>

  • 発作性上室性頻拍
  • WPW症候群
  • 心房粗動
  • 一部の心室性期外収縮
  • 薬剤抵抗性の発作性心房細動
  • 持続性心房細動(2年以内、左房拡大がないか、あったとしても軽度の場合)

また上記以外の不整脈に対しても、状況に応じてカテーテルアブレーション治療を検討することがあります。

一方で、カテーテルアブレーション治療ではなく、薬物治療やその他の非薬物治療を特に検討する不整脈は下記のとおりです。

<カテーテルアブレーション治療以外の治療方法を特に検討する不整脈>

  • 長期持続性心房細動(慢性心房細動)
  • 心疾患を持つ患者さんの心室頻拍や期外収縮
  • 心室細動

カテーテルアブレーション治療の効果

薬

第一目的は病気を根本的に治すこと、しかし薬物治療と併用することも

カテーテルアブレーション治療は基本的に不整脈根治を目的とした治療方法です。ここでいう根治とは、治療後不整脈に対する治療薬の服用やその他の治療を行わずに生活できるようになるという意味です。しかし、不整脈の種類*や程度によっては、カテーテルアブレーション治療をもってしても根本的な治療ができないケースもあります。その場合には、カテーテルアブレーション治療後にも薬の服用*を継続することがあります。

不整脈の種類に関しては記事2『不整脈の症状・種類・検査』、薬物治療に関しては記事3『不整脈の治療方法-治療の決め手や再発などのリスクは?』も併せてご覧ください。

カテーテルアブレーション治療のリスク

先ほどカテーテルアブレーション治療は開胸手術に比べ患者さんの心身への負担が少ないと述べましたが、カテーテルアブレーション治療にもリスクはあります。主なリスクは下記の通りです。

<カテーテルアブレーション治療で考えられる主なリスク>

  • 出血
  • 心タンポナーデ
  • 刺激伝導系への影響
  • 治療時の薬剤による副作用やアレルギー(抗凝固薬・造影剤・鎮静剤) など

出血

カテーテルアブレーション治療ではカテーテル挿入部の出血、あるいは血管損傷による出血が懸念されます。後述しますが、この治療では抗凝固薬を使用するため、通常時よりも出血しやすくなっていることもあります。

カテーテルは足の付根、鼠径部に位置する大腿静脈(だいたいじょうみゃく)や頚部にある内頚静脈(ないけいじょうみゃく)などの太い血管から挿入され、心臓へと行き着きます。治療完了後、カテーテルを完全に抜き取ったあとで挿入部の止血を行いますが、治療後しばらくは出血を考慮し、ベッド上安静にて確認することが大切です。

カテーテルの進路

また、カテーテル挿入中に強い力で管を進めていくと、血管に穴があくなど血管損傷の恐れがあります。特にご高齢の方など、血管の壁が薄い患者さんの場合には施術時注意が必要です。

心タンポナーデ

心タンポナーデとは心膜腔*に液体がたまることによって心臓が圧迫されてしまい、心臓の拡張が不十分になる状態を指します。カテーテルアブレーション治療は熱を使用した治療であるため、心臓周辺がやけど状態となり、水が溜まってしまうことがあります。この水が心臓を圧迫すると、血圧が下がり、心タンポナーデを引き起こします。

カテーテルアブレーション治療によって心タンポナーデを引き起こす確率は、1995〜2006年までの調査によれば1.28%*ほどといわれています。心臓の壁が薄くなりがちなご高齢の患者さんに対しては、特に注意が必要です。

心膜腔……心臓を包み込んでいる心嚢と、心臓の間にある空間。

「カテーテルアブレーションの適応と手技に関するガイドライン(2012年)」より。

刺激伝導系の影響

記事2『不整脈の症状・種類・検査』でもお伝えしましたが、心臓の筋肉には刺激伝導系という電気の通り道のようなものが張り巡らされており、ここから電気信号を送ることによって正常な脈拍を保っています。

刺激伝導系

カテーテルアブレーション治療によって不整脈を治療する際に、正常な刺激伝導系の通り道を傷つけてしまうと、それが原因で徐脈性不整脈が生じてしまうことがあります。そのため、不整脈の発生源が正常な刺激伝達系の通り道に近い場合は、カテーテルアブレーション治療を無理に行わないほうがいいと考えられるケースもあります。

また、カテーテルアブレーション治療では、焼き切る部位や範囲を最小限に留める必要があります。なぜなら、心機能を保つためにより多くの部分を温存すべきだからです。不整脈の発生源が多く、カテーテルアブレーション治療で焼き切る部位が多い場合には、広い範囲を焼約する必要がでてきてしまいさらなる不整脈を招く恐れもあります。このようなケースではカテーテルアブレーション治療と薬物治療を併用することも視野に入れ、検討します。

治療時の薬剤管理

カテーテルアブレーション治療にはいくつかの薬剤が使用されます。これらの薬剤によるリスクも考慮する必要があります。

<カテーテルアブレーション治療に用いられることのある薬剤>

  • 抗凝固薬
  • 鎮静剤
  • 造影剤

抗凝固薬

カテーテルアブレーション治療では血管のなかに異物が挿入されるため、血液が異物反応を起こし、血栓が発生してしまうことがあります。そのため、治療前に抗凝固薬を投与し、血液をサラサラにしてから治療を開始します。

抗凝固薬は投与しすぎても出血しやすくなるなどリスクが高まります。そのため、治療中は30分おきに採血を行い、血液の凝固時間を計測しながら適宜薬剤を投与します。また、治療後も薬の効果が数時間ほど継続するため、治療後の管理も大切です。

鎮静剤

カテーテルアブレーション治療は局所麻酔によって行われるため、患者さんの意識がある状態で治療を行う医療施設と、鎮静剤で患者さんの意識レベルを下げてから治療を行う医療施設とがあります。池上総合病院では患者さんの針を刺される恐怖心や、血管内を焼かれているときに感じる熱を緩和するため、鎮静剤を使用して治療を行っています。

鎮静剤はその投与量や患者さんの体質に応じて、意識レベルの低下度合いに差が生じます。その差は自発呼吸が保たれた、眠ったような状態のレベルから、自発呼吸ができず人工呼吸器が必要となる状態のレベルまでさまざまです。また、投与量が多いと血圧が下がってしまうケースもあるため、十分な配慮が必要です。

造影剤

カテーテルアブレーション治療では、レントゲン撮影で血管や心臓の状態を映し出すために造影剤を使用します。この造影剤は患者さんによっては体質的に薬物アレルギーを引き起こすこともあります。

治療には医師の技術が必要

血管や心臓は繊細なつくりをしており、さらに個体差があります。そのため、カテーテルアブレーション治療はカテーテルを血管に挿入する際の力の具合や、不整脈の発生源に高周波電流を流す際の押し付ける圧などの調節が難しく、経験を積んだ医師の技術が必要です。

2018年1月現在、より多くの医師が安定した治療を行うため、機器にもさまざまな試行錯誤が重ねられています。

カテーテルアブレーション治療の流れ

病室・ベッド

まずは術前検査を行う

不整脈に対する治療としてカテーテルアブレーション治療が適応と判断された場合、まずは治療前に術前検査を行います。この術前検査は、採血等の一般検査や心臓超音波検査などを中心に行います。加えてカテーテルアブレーション治療適応の心房細動に対しては、さらに詳しい検査を行います。まず、通常の心臓超音波検査に加え経食道心臓超音波検査*も行います。これは、食道側からも心臓を診ることで血栓の有無をより確実に検査するためです。次に造影剤によるCT検査も行い、心臓の形状を模した3D画像を作成します。この画像は術中にも使用します。

経食道心臓超音波検査……口から検査器具を入れて撮影する心臓超音波検査のこと。

治療までの主な流れ

カテーテルアブレーション治療の場合、入院は治療の前日か当日です。当日は欠食し、点滴で栄養を摂取します。

カテーテルアブレーション治療前は下記のような準備を行います。

<カテーテルアブレーション治療前>

  • 尿バルーンの挿入……治療中・治療直後はお手洗いに行けないため
  • 心電図モニター装着
  • カテーテル挿入部の消毒
  • 局所麻酔
  • 鎮静剤の投与*……患者さんの恐怖を和らげ、安心して治療に臨めるようにするため

鎮静剤は使用しない医療機関もあります。

カテーテルアブレーション治療の治療時間は?

カテーテルアブレーション治療は、不整脈の重症度や種類に応じてかかる治療時間が異なります。通常は1〜3時間程度で完了することがほとんどですが、治りにくい不整脈の場合には4〜5時間ほどかかることもあります。

カテーテルアブレーション治療後

術後4〜8時間は安静に

カテーテルアブレーション治療直後、特に術後4〜8時間ほどは安静に過ごすよう指示しています。麻酔から覚めて意識がはっきりしてきたら、食事は可能となります。歩行が可能となるのは治療翌日に止血が確認されてからです。

退院は治療から数日後

退院は、カテーテルアブレーション治療後に止血が完了し、通常の日常生活が送れるようになってからです。通常の入院期間はおよそ4~5日間です。

治療は患者さんが納得した上で行うことが望ましい

先生

カテーテルアブレーション治療を行うことで、不整脈による定期的な通院が不要になるなど、負担が軽くなる患者さんもいます。また、いつ発作が起こるかわからないという不安や運動制限、薬物の内服からの解放が一番の利点です。ケースによっては、カテーテルアブレーション治療にかかわらず、多くの治療には患者さん側の肉体的・時間的・金銭的な負担が生じます。そのため、それぞれの治療方法について十分な説明を受け、選択するのがよいでしょう。

不整脈(山城啓先生)の連載記事

1992年琉球大学医学部卒業。2017年より池上総合病院でカテーテルアブレーション治療に取り組む。専門分野は頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療 心房細動に対する肺静脈隔離術。

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