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鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)とは?―鼠径部から腸などが飛び出す病気
鼠径ヘルニアとは、鼠径部(足の付根)の筋肉の隙間から、腸や脂肪などお腹のなかの内容物が飛び出し、膨らみが生じてしまう病気です。腸が飛び出してしまうことから「脱腸」と呼ばれることもあります。鼠径ヘ...
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鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)とは?―鼠径部から腸などが飛び出す病気

公開日 2018 年 04 月 13 日 | 更新日 2018 年 04 月 13 日

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)とは?―鼠径部から腸などが飛び出す病気
金平 文 先生

メディカルトピア草加病院 外科・ヘルニアセンター長

金平 文 先生

目次

鼠径ヘルニアとは、鼠径部(足の付根)の筋肉の隙間から、腸や脂肪などお腹のなかの内容物が飛び出し、膨らみが生じてしまう病気です。腸が飛び出してしまうことから「脱腸」と呼ばれることもあります。鼠径ヘルニアには生まれたときからのもの(小児鼠径ヘルニア)と、成長してから起きるもの(成人鼠径ヘルニア)とがあり、それぞれに原因が異なるという特徴があります。

今回は鼠径ヘルニアの概要や種類、かかりやすい方の特徴について、メディカルトピア草加病院外科・ヘルニアセンター長の金平 文先生にお話を伺いました。

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)とは?

腸

筋肉の隙間から腸や脂肪が飛び出す病気

鼠径ヘルニア(脱腸)は、鼠径部の筋肉と筋肉の隙間より腹膜が押し出され、そこから腸や脂肪が飛び出してしまう病気です。

人のお腹は大きく分けると内側から臓器、臓器を守る腹膜、筋肉、皮膚と層があり、その間を血管や神経が通っています。鼠径ヘルニアでは元来筋肉の内側にとどまっているはずの腸や脂肪が、何らかの理由で筋肉の隙間から外に飛び出してしまうことによって、痛みや違和感などさまざまな症状を引き起こします。

鼠径ヘルニアの病態

鼠径部(そけいぶ)とは?

鼠径部とは、足の付根部分のことを指します。鼠径部にはいくつかの筋肉が集合しており、鼠径管という、腹腔内と精巣をつなげる大事なトンネルを形成しています。もともと小さなすきまがあることや、常に体重がかかりやすいことから、鼠径部には負担がかかりやすいという特徴があります。これらの影響で筋肉と筋肉の隙間から腹膜が押し出されて筋肉の外側に袋を作ってしまうことがあります。この袋のなかに腸や脂肪が飛び出すことを鼠径ヘルニア(脱腸)といいます。

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の種類

部位によって異なる

鼠径部には、隙間ができやすい場所が大きく3箇所あります。鼠径ヘルニアにはこれらの名称に合わせ、部位別に3つの種類に区別されます。

ヘルニアの種類

<鼠径ヘルニアの種類>

  • 外鼠径ヘルニア
  • 内鼠径ヘルニア
  • 大腿ヘルニア

先天性・後天性がある

また鼠径ヘルニアには先天性(小児鼠径ヘルニアと成人鼠径ヘルニアの一部)と後天性があります。次項では先天性と後天性(成人鼠径ヘルニア)の特徴についてご説明します。

先天性の鼠径ヘルニア

赤ちゃん

外鼠径ヘルニアが多い

先天性鼠径ヘルニアのほとんどは、外鼠径ヘルニアです。これは、胎児期の腹膜鞘状突起(ふくまくしょうじょうとっき)のはたらきに関連しています。

腹膜鞘状突起(ふくまくしょうじょうとっき)とは?

腹膜鞘状突起とは、内鼠径輪という鼠径部の筋肉と筋肉の隙間のひとつから陰嚢、陰唇へ伸びた腹膜の袋状の突起です。腹膜鞘状突起には、男性特有の生殖器である睾丸を陰嚢に届けるなどの役割があります。睾丸は生まれてくるとき陰嚢に位置します。しかし、実は最初から陰嚢にあるわけではなく、胎児期にお腹のなかで形成されたあと、腹膜鞘状突起を通って陰嚢に到達します。

腹膜鞘状突起は、胎児がお母さんのお腹のなかにいる頃にでき、睾丸などの構造物ができあがった際にそれを陰嚢へと届ける役目があります。そして、腹膜鞘状突起はその役目を果たすと、多くの場合生まれる前に閉じます。

しかし、誕生後も腹膜鞘状突起が開いたまま残ってしまうことがあります。この突起に腸や脂肪が飛び出ることを外鼠径ヘルニアといいます。小児の鼠径ヘルニアのほとんどがこの先天性の外鼠径ヘルニアにあたります。日本小児外科学会によれば、子どもの先天性鼠径ヘルニアの発生率は1〜5%程度といわれ、小さいお子さんにはよくみられる病気です。

先天性外鼠径ヘルニアのなりたち

また女性の場合にも、お腹のなかから陰唇へ移動する構造物があるため(ヌック管)、男性と同じように先天性の外鼠径ヘルニアを発症する可能性があります。

後天性の鼠径ヘルニア

内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアも考えられる

一方で後天性の鼠径ヘルニアには、外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニア、どの鼠径ヘルニアも考えられます。

内鼠径ヘルニアはお腹の内側の筋肉が薄くなることによって、腸や脂肪が筋肉の外側に押し出されるヘルニアです。また大腿ヘルニアは、大腿部の筋肉と筋肉の隙間から腸や脂肪が飛び出てしまうヘルニアです。大腿部の筋肉と筋肉の隙間は、大腿部から足に向かって大きな血管が通っており、その穴の隙間に腸管が入り込むことによってヘルニアを引き起こすことを大腿ヘルニアといいます。

後天性鼠径ヘルニアの原因については記事2『鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の原因-立ち仕事、力仕事をしている方は特に注意』を併せてご覧ください。

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)はどんな人がかかる?

男女比は種類にもよる

まず、外鼠径ヘルニアは小児でも成人でも男性に多く、全体の70~80%ともいわれています。また内鼠径ヘルニアは中年男性に多く、一方で大腿ヘルニアは、女性に多いことが明らかになっています。

先天性は1〜2歳、後天性は中高年〜高齢

小児の先天性鼠径ヘルニアの場合、0〜2歳のうちに症状が出現します。特に思い切り泣いたときなどに腹圧がかかり、膨らみがわかるようになります。しかし、先天性鼠径ヘルニアの場合、2歳くらいまでは自然治癒することもあるため、必ずしも治療が必要になるとは限りません。医師の指示の下、経過をみることもあります。また、大人になってから先天性の鼠径ヘルニアが発見されることもあります。

一方、後天性の鼠径ヘルニアの場合は、長年腹圧がかかり筋肉と筋肉の隙間が広がることによって発症するので、中高年〜高齢者に多いという特徴があります。

2004年北海道大学医学部卒業。2014年よりメディカルトピア草加病院外科にて勤務。2018年現在はヘルニアセンター長を務め、主に消化器外科並びに鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術に従事する。特に細径鉗子を用いた小さな傷の腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の安全な普及に努めており、全国で講演や執筆活動を行っている。

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