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鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の症状-痛みや違和感、鼠径部の膨らみなど
鼠径ヘルニアとは、鼠径部の筋肉の隙間から腸や脂肪などお腹のなかの内容物が飛び出し、膨らみが生じてしまう病気です。腸や脂肪が飛び出すと、筋肉の隙間が広がることによって痛みが生じたり、目でみたり、手...
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鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の症状-痛みや違和感、鼠径部の膨らみなど

公開日 2018 年 04 月 13 日 | 更新日 2018 年 04 月 13 日

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の症状-痛みや違和感、鼠径部の膨らみなど
金平 文 先生

メディカルトピア草加病院 外科・ヘルニアセンター長

金平 文 先生

目次

鼠径ヘルニアとは、鼠径部の筋肉の隙間から腸や脂肪などお腹のなかの内容物が飛び出し、膨らみが生じてしまう病気です。腸や脂肪が飛び出すと、筋肉の隙間が広がることによって痛みが生じたり、目でみたり、手で触ってもわかるような鼠径部の膨らみが生じるようになったりします。

今回は鼠径ヘルニアの症状について、メディカルトピア草加病院 外科ヘルニアセンター長の金平 文先生にお話を伺いました。

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の初期症状

腹部痛み

ある場合とない場合とがある

鼠径ヘルニアの初期症状の多くは、鼠径部の痛みや違和感です。

痛みの特徴は、長時間立っていると徐々に痛むこと、力仕事やスポーツをするとズキズキと痛むこと等が挙げられます。たとえば、朝起きたときは痛みがなくても、1日立ち続けて、夕方になると痛むときなどは鼠径ヘルニアの初期段階が疑われます。

一方で初期症状がなく、膨らみがはっきりとしてくるまで無症状で気がつかないという方もいます。

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の進行症状

鼠径部の膨らみがはっきりしてくる

鼠径ヘルニアは進行してくると、徐々に腸や脂肪が筋肉の外へ飛び出たことによる膨らみがはっきりとしてきます。最初のうちは膨らみが小さいので、自覚できないことが多いのですが、膨らみが大きくなったところで気がつく方が多いです。

鼠径ヘルニアの膨らみは、出たり入ったりする

ヘルニアの膨らみの特徴は、膨らみがあるとき・ないときがあることです。腹圧がかかった際には、腸や脂肪が押し出されることで膨らみが生じ、そうでないときには膨らみがなくなります。また、記事1『鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)とは?-鼠径部から腸などが飛び出す病気』でも述べましたように、鼠径ヘルニアにはその部位に応じて3つの種類があります。しかし、どの種類も似たような場所に生じるため、自分では区別することは難しいと思います。

進行すると痛みがなくなることもある

鼠径部の膨らみが明確になる頃には、初期症状で挙げられたような鼠径部のズキズキした痛みはなくなっていることもあります。なぜなら、この痛みは筋肉と筋肉の隙間が腹圧によって押し広げられる際の痛みだからです。しかし鼠径ヘルニアが進行し、膨らみがかなり大きくなってくると、今度は飛び出た腸管による圧迫症状があり、再度痛みが現れることもあります。

最終的には嵌頓(かんとん)を起こし、壊死が起きることも

鼠径ヘルニアを放置していると、鼠径部の膨らみが徐々に大きくなっていくことが多く、放置期間が長い場合には乳児の頭のサイズくらい大きな膨らみになることもあります。それほどまで大きくなってしまった場合、腸がその膨らみのなかで癒着*を起こし、腹圧がかからないときでも常に膨らんだ状態になります。

また、記事2『鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の原因-立ち仕事、力仕事をしている方は特に注意』でお話したように、飛び出た腸管が腹腔内に戻ることができなくなり、ヘルニア内にはまり込んでしまうことを「嵌頓」といいます。嵌頓を引き起こすと、押し出された腸の血液の循環が悪くなり、腸の壊死を引き起こすこともあります。この状態まで進行してしまうと、鼠径部や腹部に激しい激痛が走り、腸閉塞の症状も出現するため、直ちに手術が必要になります。

一方で鼠径ヘルニアは進行しても、その大きさがほとんど変わらないケースもあります。また大きくなっても自覚症状はあまりない場合もあります。しかし、大きさや自覚症状に関わらず、鼠径ヘルニアが嵌頓を引き起こすリスクは常にあるため、原則としては、どんな鼠径ヘルニアでも治療をすることが望ましいです。

鼠径ヘルニアの治療方法については記事4『鼠径ヘルニアの治療方法-手術で筋肉の隙間をふさぐ』も併せてご覧ください。

癒着……皮膚や臓器、膜などが炎症をおこすことでくっついてしまうこと

先天性・後天性による症状の違いは?

成人の鼠径ヘルニアの方が、大きくなることが多い

記事1『鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)とは?-鼠径部から腸などが飛び出す病気』でもお話ししましたように、鼠径ヘルニアには先天性と後天性とがあります。先天性の鼠径ヘルニアは膨らみが小さく、比較的軽症である場合が多いといえます。また、2歳前後までは自然治癒することもあります。

しかし、成人に多い後天性の鼠径ヘルニアは放置されてしまうことも多いためか、最終的に大きな膨らみになってしまうことも多く、嵌頓を引き起こし、より大きな治療が必要になることがあります。

病気にかかる期間、性別による症状の違いは?

放置期間が長いと重症化する可能性がある

後天性の鼠径ヘルニアの場合、記事2『鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の原因-立ち仕事、力仕事をしている方は特に注意』でも述べましたように腹圧がかかることによって発症、進行してしまいます。そのため、治療せずに日常生活を送ることでさらに進行してしまう可能性があり、放置期間が長ければ長いほど、膨らみが大きくなったり嵌頓のリスクがあがったりと、症状が重症化することがあります。

嵌頓……腸管がヘルニアにはまり込んで抜けなくなってしまうこと

女性の方が小さいヘルニアであることが多い

一方性別の観点では、男性の方がヘルニアのサイズが大きくなりやすく、女性の方が小さいサイズで止まりやすい傾向にあります。これは記事1『鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)とは?-鼠径部から腸などが飛び出す病気』で述べたような、腹膜鞘状突起(ふくまくしょうじょうとっき)のはたらきの性差があるためです。

しかし、ヘルニアのサイズが小さいからといって治療をしなくてよい訳ではありません。小さくても嵌頓を引き起こすリスクはあるため、治療が必要になります。

どんな症状があれば病院で診療を受けるべきか

痛みや膨らみがあれば一度受診

鼠径部の痛みや膨らみを感じた場合には、他の病気がないかどうかを確認するためにも一度病院で診療を受けることをお勧めします。

症状が痛みのみで、膨らみがない場合は、鼠径ヘルニアにかかっていたとしても、初期であるために診療で明らかにならないこともあります。しかし、超音波検査やCT検査*を用いることで早期発見につながるケースや、別の病気が発見されるケースもあるため、一度受診されるのがよいでしょう。

一方で鼠径部に膨らみがある場合には、鼠径ヘルニアや、何らかの病気である可能性が高いので、できる限り早めに病院で診療を受けることを推奨します。

鼠径ヘルニアの診察では、鼠径部のリンパ節の腫れ、精巣腫瘍、陰嚢水腫などとの鑑別が必要です。これらを見分けるには診察や検査はもちろんですが、膨らみの様子を患者さんご自身が把握することも大切です。膨らみは出たり入ったりするか、どんなときに膨らみが生じるかなど、日常の生活で感じることを医師に明確に説明するようにしてください。

CT検査……X線を使って体の断面を撮影する検査

2004年北海道大学医学部卒業。2014年よりメディカルトピア草加病院外科にて勤務。2018年現在はヘルニアセンター長を務め、主に消化器外科並びに鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術に従事する。特に細径鉗子を用いた小さな傷の腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の安全な普及に努めており、全国で講演や執筆活動を行っている。

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