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鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術-reduced port surgeryとは?
鼠径ヘルニアとは、鼠径部の筋肉の隙間から腸や脂肪などお腹のなかの内容物が飛び出し、膨らみが生じてしまう病気です。鼠径ヘルニアを根本的に治療する方法は、2018年2月現在手術治療のみとされています...
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鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術-reduced port surgeryとは?

公開日 2018 年 04 月 13 日 | 更新日 2018 年 04 月 13 日

鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術-reduced port surgeryとは?
金平 文 先生

メディカルトピア草加病院 外科・ヘルニアセンター長

金平 文 先生

目次

鼠径ヘルニアとは、鼠径部の筋肉の隙間から腸や脂肪などお腹のなかの内容物が飛び出し、膨らみが生じてしまう病気です。鼠径ヘルニアを根本的に治療する方法は、2018年2月現在手術治療のみとされています。鼠径ヘルニアの手術方法はいくつかあります。特に腹腔鏡*下手術は、より小さい傷でより安全に手術できるようさまざまな工夫・研究が行われています。

今回は鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術の概要や発展について、メディカルトピア草加病院 外科ヘルニアセンター長金平文先生にお話を伺いました。

腹腔鏡……腹壁を通じて腹腔内を見ることのできる内視鏡

腹腔鏡下手術

手術器具を持つ先生

腹腔鏡下手術はお腹に小さな穴を開け、そこから器具をつかって行う手術方法です。この手術ではお腹の穴から「ポート」という筒を差し、その筒から器具を挿入することで治療を行います。そのため残る傷が小さく回復が早いため、術後早期に日常生活に戻ることができます。

鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術では、多くはおへそを含む3箇所に穴を開けポートを挿入します。ポートの太さは施設によって異なりますが、標準的には5~12mm程度です。

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を行っている様子

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を行っている様子

より傷の小さな手術にするために

reduced port surgeryという考え

記事2『鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の原因-立ち仕事、力仕事をしている方は特に注意』でも述べましたが、鼠径ヘルニアの手術治療にはいくつかの種類があります。腹腔鏡下手術は、その他の鼠径部を直接切り開く手術よりは傷が小さく痛みも小さいといわれていますが、さらに傷を小さくし、術後の痛みを和らげるために医療施設ごとに工夫が行われています。このような手術方式を「reduced port surgery」といいます。

reduced port surgeryは大きく2つに分類することができます。1つめはお腹に開ける穴の数を一か所に集める方法です。これは単孔式手術と呼ばれ、お臍だけで手術をする方法があります。この場合傷がお臍の創部(穴)1か所のみとなることが利点ですが、この1か所から数本の器具を通すため、お臍の傷はやや大きくなりやすく、創部をきれいに残すには工夫が必要です。

2つ目は、3つの穴それぞれをより細くし、細径器具を使用して手術を行う方法です。細径器具とは通常腹腔鏡下手術を行う器具より細い直径2~3mmの器具のことを指します。

穴をより細くするNeedlescopic Surgery

メディカルトピア草加病院では、後者の手法でより傷の小さい腹腔鏡下手術を目指しています。鼠径ヘルニアの手術は臓器の摘出など、何かを取り出す処置は行わないため、適応さえあれば小さな穴からでも治療を行うことが可能です。細径器具で行う腹腔鏡手術は「Needlescopic Surgery」とも呼ばれています。

Needlescopic Surgeryはその患者さんの体型、病気の状態などに合わせて器具の細さを決めるため、傷の大きさは患者さんによってそれぞれです。たとえば、当院では最小でおへそ5mm、それ以外の穴各2mmで治療を行うことがあります。

2mm、5mm、2mmの器具で行う腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術

2mm、5mm、2mmの器具で行う腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術

術後の創部写真

術後の創部写真

Needlescopic Surgeryの適応

その人に合わせた器具を使用する

当院では「極力傷を目立たせたくない」「手術後、早く日常生活やスポーツに復帰したい」という希望のある患者さんに対し、Needlescopic Surgeryを検討するようにしています。しかし、細径器具は通常の腹腔鏡下手術の器具と比較すると繊細な器具ではあるため、患者さんの体型やヘルニアの状態に応じてより適した器具を選択しています。

たとえば、痩せた方やヘルニアが小さい患者さんに対する手術の場合、細い器具で治療をするのに適しています。その一方で、体格のよい方やヘルニアの大きい方、嵌頓(かんとん)*が見受けられる方への手術の場合、器具の細さを考慮する必要があります。

*嵌頓……腸管がヘルニアにはまり込んで抜けなくなってしまうこと

Needlescopic Surgeryに実際用いられる器具

Needlescopic Surgeryに実際用いられる器具

腹腔鏡下手術の流れ-入院から退院まで

治療時間は30分ほど

鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術は、手術時間そのものはおよそ30分程度です。麻酔をかけてから覚ますまでは1時間弱です。

メディカルトピア草加病院の手術室。リラックスできる華やかな壁紙が印象的。

メディカルトピア草加病院の手術室。リラックスできる華やかな壁紙が印象的。

病院によっては日帰りで手術をおこなうところもありますが、当院は全身麻酔をかけることも考慮し、手術当日は入院して頂くことが患者さんの安心につながると考え、最短で1泊2日の入院で手術を行っています。

メディカルトピア草加病院のプレミアムフロア病室。

メディカルトピア草加病院のプレミアムフロア病室。

手術後は、個人差はありますが2〜3時間後には立ち上がり、歩くなど日常的な動作ができるようになります。

退院後の注意点

運動

激しい運動、飲酒は控える

退院後は1〜2週間ほど激しい運動や肉体労働を避けるようにお伝えしています。とくに大きなヘルニアを治療した場合は注意が必要です。また術後は微出血しやすくなるため、飲酒は1週間程度控えたがよいでしょう。

早期発見・早期治療で日常の不安を取り除く

鼠径ヘルニアは、鼠径部の病気なので部位的に医師にも相談しづらく、受診を見送ってしまい、症状が悪化してしまう患者さんが多くいます。また、治療方法も手術しか選択肢がなく「手術は怖い」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、鼠径ヘルニアは早期に発見し、早期に治療することで、嵌頓などの重い症状を防ぐことができます。手術も小さな傷で安全にできる方法が徐々に増えてきています。

ですから、気になる症状のある方には是非一度病院で診療を受けていただきたいと思います。

2004年北海道大学医学部卒業。2014年よりメディカルトピア草加病院外科にて勤務。2018年現在はヘルニアセンター長を務め、主に消化器外科並びに鼠径ヘルニアの腹腔鏡下手術に従事する。特に細径鉗子を用いた小さな傷の腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の安全な普及に努めており、全国で講演や執筆活動を行っている。

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