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睡眠時無呼吸症候群の治療
睡眠時無呼吸症候群(SAS:SleepApneaSyndrome)とは、眠っているときに無呼吸(10秒以上呼吸が停止すること)または低呼吸(もう少しで止まりそうな弱い呼吸)の状態になる病気です。...
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睡眠時無呼吸症候群の治療

公開日 2018 年 05 月 29 日 | 更新日 2018 年 05 月 29 日

睡眠時無呼吸症候群の治療
石渡 庸夫 先生

国家公務員共済組合連合会九段坂病院 内科部長

石渡 庸夫 先生

目次

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、眠っているときに無呼吸(10秒以上呼吸が停止すること)または低呼吸(もう少しで止まりそうな弱い呼吸)の状態になる病気です。睡眠時無呼吸症候群は、症状や重度、患者さんの希望に応じて、CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)、外科的治療、マウスピースを用いた治療などを選択します。本記事では、おもに閉塞型の睡眠時無呼吸症候群の治療について、国家公務員共済組合連合会 九段坂病院の石渡庸夫(いしわた のぶお)先生にお話を伺います。

睡眠時無呼吸症候群の治療

記事3『睡眠時無呼吸症候群の対策・検査』でお話ししたように、睡眠時無呼吸症候群を疑う場合には、問診による臨床症状の確認、アプノモニターを用いた簡易検査を経て、ポリソムノグラフィー(睡眠ポリグラフ検査)によって確定診断を行います。

以上の検査を経て、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合には、症状や重度、患者さんの希望に応じて治療を選択します。

睡眠時無呼吸症候群の治療の選択肢は、以下の通りいくつかあります。

  • CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)
  • 外科的治療(手術)
  • マウスピース(口腔内装具)を用いた治療

CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)

閉塞型の睡眠時無呼吸症候群の治療では、CPAP療法(シーパップ:経鼻的持続陽圧呼吸療法)を行います。CPAP療法とは、睡眠中、鼻につけたマスクから持続的に一定の空気を流し圧力をかけることで気道を広げ、無呼吸の状態を除去する治療法です。

CPAPは、15~20cmほどのCPAP機器本体と、あらかじめ設定した圧力で空気を送るチューブ、鼻に当てるマスクからなります。CPAPの圧力の大きさは、常時一定の圧力を保つ場合と、無呼吸のとき自動的に圧力が増す場合の2パターンにわかれ、患者さんの病状に応じて設定します。

CPAP療法は保険適用で、一般的には3割負担で1か月に5,000円ほどの費用がかかります。(2018年現在)

CPAP療法の様子

CPAP療法の鼻マスクにはさまざまな形状がある

CPAP療法に用いるマスクには、さまざまな形状があります。鼻にマスクをつけて一定の空気圧をかけて気道にスペースを確保するため、慣れないうちは眠りにくいこともあります。その際には、マスクの形状を変更する、睡眠中に加湿器をつけるなどして、CPAP療法をスムーズに行えるよう徐々に工夫を重ねます。

CPAP療法のマスクが早い段階でフィットすれば、そのぶん調節の時間は短くて済みます。一方で、マスクがうまくフィットしない場合には、調節に数か月かかることもあります。マスクの調節にかかる時間は、患者さんそれぞれです。

CPAP療法は睡眠中にマスクを装着するため、患者さんの生活の一部に入り込む治療といえるでしょう。治療を始めてすぐは、マスクをつけて寝ることに慣れない、治療自体が不安という患者さんもいます。そのような場合には、患者さんによりフィットするマスクを検討したり、定期的な通院で状況を確認したりすることで、患者さんの負担を軽減し、治療の継続をサポートしています。

CPAP療法を行うときには治療の効果を定期的に確認する

CPAP療法の装置には、睡眠中の状態を測定したデータを内蔵のSDカードに記録する機能が備わっており、治療効果を数値で確認できます。CPAP療法を行う際には、定期的な通院を行い、AHI(無呼吸亭呼吸指数)を患者さんとともに確認し、治療の効果をチェックします。

定期的な通院は通常1か月ごとを目安に行い、慣れてきたら徐々に通院の間隔を長くできる可能性があります。

もしCPAP療法による効果が確認できない場合には、患者さんの状態をよく聞き出し、解決を試みます。CPAP療法が効果を発揮している場合、日中の眠気や寝足りない感じといった症状は、比較的早い段階で実感できる可能性があります。

外科的治療

記事1『睡眠時無呼吸症候群の原因』でお話ししたように睡眠時無呼吸症候群の原因には、形態的なもの(舌が大きい、顎が小さい、扁桃が大きい、肥満による気道周辺の脂肪沈着など)と、機能的なもの(睡眠導入剤やアルコールによって口腔内の筋肉が弛緩し、気道が狭窄・閉塞するなど)の2つがあります。

そのうち、顎が小さい、扁桃肥大といった形態的な原因による睡眠時無呼吸症候群に対して、外科的治療を行うことがあります。また、ほかの治療が効果を示さない場合にも、外科的治療を選択することがあります。

口蓋垂口蓋咽頭形成術(UPPP)

睡眠時無呼吸症候群に対する外科的治療でもっとも多く用いられるのは、口蓋垂口蓋咽頭形成術(UPPP)です。口蓋垂口蓋咽頭形成術では、扁桃やアデノイド(上咽頭に存在するリンパ組織)といった上気道の周辺組織(扁桃やアデノイドなど)を切除します。

マウスピース(口腔内装具)を用いた治療

睡眠時無呼吸症候群のうち比較的軽症〜中程度の症例では、歯科医師が調節した取り外し可能なマウスピース(口腔内装具)を用いた治療を選択することがあります。

就寝時にマウスピースを装着し、下顎を少しずらすことで、気道を確保します。噛み合わせを少しずらすようなイメージです。そのほかに、舌を前方に保持する形のマウスピースもあります。

マウスピースを用いた治療を選択した場合、歯科口腔外科を紹介し、マウスピースを製作します。ただし、マウスピースを装着することによって歯や歯肉に負担がかかることもあるため、治療を選択する際には主治医とよく相談しましょう。

睡眠時無呼吸症候群の治療中に注意すべきこと

CPAP療法と並行して生活改善などを行うことが大切

CPAP療法は、閉塞型の睡眠時無呼吸症候群の治療として有効です。しかし、CPAP療法だけを継続すれば徐々に状態が改善される、というわけではありません。

閉塞型の睡眠時無呼吸症候群は、気道を狭窄・閉塞させている原因、たとえば肥満などを改善させることで、徐々に症状を軽減できる可能性があります。そのため、閉塞型の睡眠時無呼吸症候群の治療では、CPAP療法と並行して生活改善を行うことも大切です。

具体的には、主治医の指導のもと栄養バランスの整った食事、適度な運動習慣などを心がけるとよいでしょう。睡眠時無呼吸症候群の治療では、主治医が栄養指導などを行い、生活習慣の改善をバックアップしています。

ジョギングしている男女

合併症がある場合には、それぞれの病気に対する治療を並行して行う

記事1『睡眠時無呼吸症候群の原因』でお話ししたように、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは高血圧や糖尿病などを合併していることが多いです。そのような場合には、それぞれの病気に対する治療も並行して行う必要があります。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんの予後

高血圧、脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす可能性が高くなる

成人の睡眠時無呼吸症候群の場合、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす危険性が約3~4倍高くなるとされています。特に、AHI30以上の重症例では、心血管系疾患発症の危険性が約5倍になるため、早期に診断を行い、治療を開始することが望まれます。

CPAP療法を行うことで死亡率を低下させることが明らかになっています。

睡眠時無呼吸症候群の治療についてメッセージ

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が軽症ならば、減量や生活習慣を整えることで症状が改善することもあります。しかし、SASの症状が進行してしまうと、昼間の傾眠傾向によりその取り組みができません。このような場合にはCPAP療法が有効です。

また、SASにはさまざまな生活習慣病が合併しますが、SASを適切に治療することで合併症の改善が認められたデータが報告されています。

Hypertension 2001;19:331-337

Circulation 2003;107:107:66

Am J Respir Crit Catr Med 2005;172:1590-1595

Am J Respir Crit Catr Med 2006;173:910-916

石渡先生とスタッフの方々

睡眠時無呼吸症候群(石渡 庸夫先生)の連載記事

山形大学医学部卒業後、東京医科歯科大学の第二内科に入局。2005年より国家公務員共済組合連合会九段坂病院の内科にて部長を務め、幅広い呼吸器疾患に対応している。病気やリハビリテーションに対する理解を深めることを大切にし、チーム一丸となって患者さんやそのご家族をサポートしている。

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