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日本の「あるべき医療の姿」を考えるとき-日本医学会 会長 門田守人先生
日本医学会は、2018年4月現在、128学会が所属する学術団体です。日本医学会の活動は主に学術研究になりますが、医学・医療に関する諸問題に対し意見表明および提言も行っています。2017年6月から...
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日本の「あるべき医療の姿」を考えるとき-日本医学会 会長 門田守人先生

公開日 2018 年 04 月 12 日 | 更新日 2018 年 04 月 12 日

日本の「あるべき医療の姿」を考えるとき-日本医学会 会長 門田守人先生
門田 守人 先生

日本医学会長/堺市立病院機構 理事長

門田 守人 先生

日本医学会は、2018年4月現在、128学会が所属する学術団体です。日本医学会の活動は主に学術研究になりますが、医学・医療に関する諸問題に対し意見表明および提言も行っています。

2017年6月から日本医学会の会長に就任した門田 守人先生は、「今後はさらに情報発信にも力を入れていきたい」とおっしゃいます。

今回は、門田 守人先生に、日本医学会会長としての新年度にあたってのメッセージをいただきました。

日本医学会と医学・医療の進歩

115年の間に医学・医療は大きく進歩した

日本医学会は、1902年(明治35年)に創立された長い歴史をもつ団体です。創立年である1902年は、ちょうど日本の医学・医療がひとり立ちしたタイミングであったといわれています。それはつまり、日本に西洋医学が入り発展を遂げ、いくつかの専門分野にわかれた時期だったのです。それぞれの専門家たちが集まりつくられた日本聯合(れんごう)医学会。それこそが日本医学会の始まりです。

2017年には、日本医学会は創立から115年を迎えました。この115年の間に医学・医療は大きく発展したといえるでしょう。医療技術の進歩も日本が長寿国になるために大きく貢献しました。

しかし、近年の日本の医学・医療には、まださまざまな問題が潜んでいると考えています。改めて立ち止まり、何が問題であるのか考える必要があるのではないでしょうか。

専門の細分化に伴う問題

近年、医学・医療が抱える問題の一つとして、専門の細分化に伴う問題を挙げたいと思います。

発展とともに進んだ専門の細分化

医学・医療の発展とともに、医師には高い専門性が求められるようになりました。特に近年は、専門領域が次々と細分化される傾向にあります。この結果、医師の専門領域が非常に狭まってしまっているのです。

分厚い本

患者さんのニーズにこたえた専門分化になっているのか

専門領域が細分化されることによって、医師がある一点では深い知識や技術を身につけられる点は、よい点であるかもしれません。

しかし、すべての臨床医が細分化された専門性を持ち、それに特化していくことが「本当に患者さんのためになっているのか」という疑問が残ります。医師の専門領域が学術重視で細分化され過ぎてしまうと、患者さんがおいてきぼりになってしまう可能性があるのではないでしょうか。

患者さんにとって何よりも大切なものは、「病気による苦痛を把握し、解決してくれる医師かどうか」です。本当に患者さんのニーズに合致するような専門分化がされているのか、患者さんに混乱が起こっていないかなど、専門分化とその定義については、議論の余地があると考えています。

「医療は患者さんのためにある」ことを忘れてはならない

専門の細分化に伴う問題は、一つの例に過ぎません。日本の医学教育を考えてみても、「患者さんのための医学教育になっているのか」ということに疑問を感じるときがあります。専門的な技術や知識の習得に気をとられ、患者さんを「人間」としてみずに「病気」としてみる医師が増えているように感じるのです。

さらに、論文の評価ばかりを気にし、「自身が行っている研究が患者さんのためになるのか」などと考えずに研究に従事する研究者もいます。

私は、どんなときでも「医療は患者さんのためにある」という本質を忘れてはならないと考えています。目先の利益ではなく、今一度「医療のあるべき姿」を再考する必要があるのではないでしょうか。

患者さんの診療を行う医師

長期的な視点で日本の「医療のあるべき姿」を考える必要がある

長期的な視点が大切になる

「医療のあるべき姿」を考えるとき、大切になるのは長期的な視点です。近視眼的にものごとを考えるのではなく、長期的な視点で問題点と解決策を考えることが重要です。

「今のための今」ではなく、「未来のために、今何をしなければならないのか」を議論する必要があるでしょう。

目先の結果よりも日本全体の医療をよくしていくために

さらに、個人の損得ではなく日本全体の医療を考える、広い視点を持つことも大切でしょう。日本全体の問題点を浮き彫りにし、解決策を探り、それに向かって行動を起こす必要性があると考えています。「日本全体の、正しい医療のあるべき姿」を考え、方向性を示すために活動していくことが大切です。

情報発信にも力を入れていきたい

長期的な視点で国をより良い方向に導いていくために

門田先生

日本医学会の活動は主に学術研究になりますが、医学・医療に関する諸問題に対し意見表明および提言も行っています。

専門家には、それぞれの専門性を高める責任があります。しかし、私は、それだけでは専門家としての責任を果たしていないと考えています。学んだことを外に広めることも重要な仕事なのではないでしょうか。

私たち日本医学会では、情報発信にも力を入れていきたいと考えています。繰り返しになりますが、医学・医療が抱える問題点をきちんと把握し、どうしたら解決することができるのか、方向性を示すことが大切です。長期的な視点で国をしっかりとした方向に導くべく、正しいと信じることを主張していくつもりです。

1970年に大阪大学医学部を卒業。地方独立行政法人堺市立病院機構理事長やがん研究会理事、がん対策推進協議会会長(厚生労働省)を兼任し、医療者目線と一般の患者目線、双方に立ち、がん予防の推進など、国をあげたがん対策を牽引している。2017年6月には、128の学会を統括する日本医学会の会長に就任した。