【インタビュー】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 d891fadd 9b30 401a b187 2265ff28c855
細菌とウイルスの違いとは?
感染症とは、細菌やウイルスなどが体に入り増殖することによって起きる病気です。感染症には風邪、インフルエンザなど比較的軽症なものから結核、敗血症など症状の重いものまでさまざまな種類があります。細菌...
Male consulter resolved
クリップに失敗しました

細菌とウイルスの違いとは?

公開日 2018 年 05 月 09 日 | 更新日 2018 年 05 月 09 日

細菌とウイルスの違いとは?
阿部 克昭 先生

千葉市立海浜病院

阿部 克昭 先生

目次

感染症とは、細菌やウイルスなどが体に入り増殖することによって起きる病気です。感染症には風邪、インフルエンザなど比較的軽症なものから結核、敗血症など症状の重いものまでさまざまな種類があります。細菌とウイルスは同じく感染症を引き起こす病原体として捉えられがちですが、実は全く異なる構造を持っています。この違いを正しく理解して治療に臨むことが大切です。

今回は細菌とウイルスの違いについて、千葉市立海浜病院小児科部長兼感染症内科の阿部 克昭先生にお話を伺いました。

感染症を引き起こす「細菌」と「ウイルス」の違いは?

決定的な違いは、生き物かそうでないか

細菌とウイルスは、どちらも人間に感染症を引き起こす微生物です。感染症とは細菌やウイルスなどの病原体が体に入り増殖することによって、さまざまな症状をもたらす病気です。

細菌とウイルスはその大きさや増殖能力の有無など、さまざまな観点から違いを表すことができます。なかでも決定的な違いとしては、細菌は生物であり、ウイルスは生物とはいい切れないところです。

細菌とは?

顕微鏡

細胞を持ち、エネルギー生産をする「生物」

細菌は下記3つの理由から「生物」であるといえます。

  • 細胞を持つ
  • 栄養を摂取し、そこからエネルギーを生産している
  • 細胞分裂を繰り返すことによって生存・増殖もおこなっている

細胞とは生物を形成する基本単位となるもので、私たち人間を含めたすべての生物が細胞によって構成されています。単細胞生物を除いたすべての生物は複数の細胞によって成り立っており、複数の細胞は基本的には細胞膜や細胞壁によって1つ1つが区切られています。細菌はウイルスより大きく、光学顕微鏡によって観察することができます。

尿の大腸菌
尿の大腸菌(先生ご提供)

細菌は原核生物、動植物は真核生物

細菌の細胞は、人間を含めた動物・植物の細胞とは大きく異なります。細菌でも動植物でも遺伝情報はDNAという物質の構造に記録されていますが、動植物ではこのDNAがタンパク質に巻き付いて染色体という構造を作り、その染色体が核という部分に収まっています。核を持つ細胞でできている生物を「真核生物」といいます。一方で細菌の細胞には核がなく、DNAがその他の物質とともに細胞膜内をただよっています。このような細胞を持つ生物のことを「原核生物」といいます。

また、細菌の細胞の多くは植物と同じように細胞膜・細胞壁によって区切られていますが、マイコプラズマなどの一部の細菌では、例外的に細胞壁のないものもあります。

DNA……生物の遺伝情報を引き継ぐ役目を持つ生体物質。4種類の核酸という物質が決まった配列で並ぶことで、文字で書かれた文章のように遺伝情報を記録している。

原核生物・真核生物の違い

細菌が原因となる代表的な感染症

細菌が原因となる感染症には下記のようなものが挙げられます。

<代表的な細菌性感染症>

細菌感染症のなかでも百日咳・梅毒・結核などは原因となる菌が明確で、それに感染することで特徴的な病気にかかります。しかし、なかには同じ1つの細菌でもどこに感染するかによって、呼吸器感染症・尿路感染症・敗血症・髄膜炎などと異なる病気を引き起こすものもあります。また、感染症を起こす危険性のある細菌でも、感染する臓器や個人の免疫力によっては無症状で保菌されることもあります。

保菌……病原体、細菌などを体のなかに持っていても症状を示さないこと

ウイルスとは?

マスク

生物と似たような構造を持つが、細胞を作らない「物質」

ウイルスが生物であるかどうかは研究者によって意見の別れるところです。しかし下記の理由から「生物である」といい切れないことは事実です。

  • 細胞がない
  • 栄養を摂取したり、エネルギーを生産したりしない
  • 自力で動くことはできない
  • ウイルス単体は自力で増殖できない

ウイルスは細胞がなく、細菌よりさらに単純な構造です。タンパク質でできた「カプシド」という殻のなかに遺伝子情報となる核酸が収められています。また、インフルエンザウイルスなど一部のウイルスには、カプシドの外に「エンベロープ」という膜がついているものもあります。

ウイルスの基本構造

またウイルスは細胞よりも小さく、光学顕微鏡でみることはできません。電子顕微鏡で観察することができます。

ウイルスはなぜ増殖する?

ウイルスは自力で増殖することができません。しかしウイルスは動植物の細胞のなかに入りこむことができます。どの生物のどの種類の細胞に入り込めるかは、ウイルスの種類によって異なっています。動植物の細胞に入り込んだウイルスは、その細胞の機能を使って自身のコピーを増やしていきます。

ウイルスが原因となる代表的な感染症

ウイルスが原因となる感染症の代表例は下記のとおりです。

<主なウイルス性感染症>

  • 風邪
  • インフルエンザ
  • 水疱瘡(みずぼうそう)
  • おたふくかぜ
  • 麻疹(はしか)
  • 風疹
  • ウイルス性肝炎(A型・B型・C型)
  • 破傷風
  • デング熱
  • エボラ出血熱 など

ウイルス性感染症は、水疱瘡、おたふくかぜなど特徴的な病気を起こすものがよく知られています。また、いわゆる「風邪」を引き起こすウイルスとしてはライノウイルス、コロナウイルスなどが代表的です。いくつかのウイルスに同時に感染することによって、風邪の症状があらわれることもあります。

感染症(阿部 克昭先生)の連載記事

千葉市立海浜病院に勤める小児科医。小児の感染症をメインに研究を行う。優しい人柄で子どもやその親御さんから慕われ、信頼されている。

関連記事