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小児型GISTってどんな病気? 小児型GISTの特徴と治療
GIST(消化管間質腫瘍)の多くは、50〜60歳代で発症するといわれています。しかし、なかには10〜30歳代の若年で発症するケースもあり、これらは小児型GISTと呼ばれています。今回は、国立がん...
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小児型GISTってどんな病気? 小児型GISTの特徴と治療

公開日 2018 年 05 月 24 日 | 更新日 2018 年 05 月 24 日

小児型GISTってどんな病気? 小児型GISTの特徴と治療
西田 俊朗 先生

国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 病院長

西田 俊朗 先生

目次

GIST(消化管間質腫瘍)の多くは、50〜60歳代で発症するといわれています。しかし、なかには10〜30歳代の若年で発症するケースもあり、これらは小児型GISTと呼ばれています。今回は、国立がん研究センター中央病院の西田 俊朗先生に、小児型GISTの特徴と治療についてお話しいただきました。

GIST(消化管間質腫瘍)の概要と希少変異をもつ野生型GISTについては、記事1『GIST(消化管間質腫瘍)の概要と「野生型GIST」について解説』をご覧ください。

GIST(消化管間質腫瘍)とは?

消化管壁の粘膜下に発生する肉腫のひとつ

GIST(消化管間質腫瘍)とは、胃や腸などの消化管壁の粘膜下に発生する肉腫(骨や脂肪、筋肉などから発生する悪性腫瘍)のひとつです。胃に発生することがもっとも多く、ほかにも小腸、大腸、胃などに起こることがあります。

日本では、GISTの発生頻度は年間10万人に1〜2人程度といわれており、希少がんのひとつに分類されています。

胃がんや大腸がんなど一般的な「がん」とは異なる

GISTは、大腸がんや胃がんなどの一般的な「がん」とは、発生する場所や性質が異なります。たとえば、大腸がんや胃がんが粘膜から発生するのに対し、GISTは粘膜の下の筋肉や結合組織から発生します。

小児型GISTとは?

10〜30歳代の若年に発症するGIST

中学生

GISTは50〜60歳代に発症しやすいことがわかっています。しかし、頻度は少ないですが小児や若年で発症することもあります。中高年のGISTと区別して、主に10〜30歳代という若年で発症するGISTを小児型GISTと呼んでいます。

c-kitやPDGFRA遺伝子変異がなく発生するケースが多い

中高年のGISTの大半はc-kitあるいはPDGFRA遺伝子変異が原因ですが、小児型GISTの多くには、そういった遺伝子変異が認められません。特に、他の病気を合併せずGISTのみが単体で発症した場合は、遺伝子変異が認められないことが多いといわれています。

それでは、何がGISTを発生しやすくしているのでしょうか。2018年4月現在、小児型GISTの原因としてSDH遺伝子群の変化がもっとも有望で多いとされていますが、残念ながらその因子のすべてはわかっておらず研究が続けられています。

中高年のGISTと小児型GISTの違い

通常のGISTと細胞や腫瘍の形が異なる

小児型GISTは、中高年のGISTと同様に胃に発生しやすいことがわかっています。

胃

しかし、細胞の形や腫瘍の形は、中高年で発症するGISTとは少し異なります。また、肺の病気やパラガングリオーマ(褐色細胞腫)などを合併することが多いです。

リンパ節や肝臓への転移を起こしやすい

中高年で発症するGISTでは、リンパ節への転移が起こることは少ないといわれています。一方、小児型GISTは、リンパ節転移を起こしやすいことがわかっています。また、肝臓に転移しやすいという特徴もあります。

進行がゆるやか

小児型GISTには、進行がゆるやかであるという特徴もあります。腫瘍がゆっくりと大きくなるため、経過観察をしながら必要に応じて適切な治療を行っていくことが多いです。

小児型GISTの症状

吐血や下血、貧血がきっかけで発見されることが多い

ぐったりとした10代

記事1『GIST(消化管間質腫瘍)の概要と「野生型GIST」について解説』でお話ししましたが、GISTは、胃がん検診などで発見されることが多いといわれています。しかし、小児や若年で胃がん検診を受ける方は少ないため、小児型GISTは吐血や下血、貧血などの症状から発見されることがほとんどです。

子どもの貧血があれば、GISTも考える

一般的に、子どもが貧血を起こすことは少ないといわれています。よほどの偏食でない限り、貧血になることは少ないはずです。

子どもに貧血がみられた場合、まずは骨髄系の病気や白血病の可能性を考え、GISTの可能性を考える方は少ないかもしれません。しかし、子どもの貧血は小児型GISTの重要なサインです。

GISTは無症状なことも多く、症状が現れるということは病気の進行を意味します。そのため、症状が現れてからでは治療が難しいこともあります。早期発見のためにも、小児で貧血を起こした際は、GISTの可能性も考えてほしいと思います。

小児型GISTの診断

内視鏡・術後の検査で診断するケースが多い

小児型GISTは、CTか内視鏡検査をきっかけに発見されることが多いでしょう。しかし、術前にGISTの診断がつくことは少ない点が特徴です。疑いを確認するために手術し、細胞組織を調べた結果、小児型GISTの診断がつくケースが多いです。

小児型GISTの治療

初発の場合には、まず、外科手術を考えます。転移や再発したGISTは、病気の進行を抑える治療が基本です。薬によって腫瘍をなくしたり腫瘍を小さくしたりする根治療法は、2018年4月現在では開発されていません。

経過観察をしながら病気をおさえる治療を

症状が現れている場合には、手術を行い腫瘍の切除を行うことが多いでしょう。しかし、小児や若年のGISTは転移していることが多く、その場合、手術で完全に腫瘍をとりきることは困難です。経過観察をしながら、必要があれば薬や手術などを用いて病気の進行をおさえることもあります。

患者さんへのメッセージ

より効果的な治療法の確立のため、臨床試験に参加してほしい

西田先生

記事1『GIST(消化管間質腫瘍)の概要と「野生型GIST」について解説』でもお話ししましたが、私は、GISTのような希少がんの患者さんには、可能であれば臨床試験(新しい薬や治療法を開発するために、人で効果や安全性を調べる試験)に参加してほしいと考えています。臨床試験への参加が、将来の患者さんの治療法確立のために役立つからです。

小児型GISTは、希少がんであるGISTのなかでも、さらに発症頻度が少ないといわれています。病気の発症メカニズムや治療法については解明されていないことも多く、2018年4月現在も研究が続けられています。私は、今後も治療法の確立に向けて、研究や診療を続けていくつもりです。

GIST (西田 俊朗 先生)の連載記事

1981年に大阪大学の医学部を卒業し、大阪大学医学部附属病院教授、大阪警察病院の副院長・外科系統括部長、国立がん研究センター東病院院長などを歴任し、現在は国立がん研究センター中央病院の院長を務める。病院をあげて、希少がんの克服やがんの支持療法の確立、正確ながんデータの集約のための電子カルテ開発に取り組んでいる。

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