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子どもの蕁麻疹で考えられる原因とは〜対処法と受診の目安〜

子どもの蕁麻疹で考えられる原因とは〜対処法と受診の目安〜
佐藤 佐由里 先生

山王病院 皮膚科部長

佐藤 佐由里 先生

目次
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蕁麻疹(じんましん)とは、アレルギー反応によって皮膚の一部に膨疹(ぼうしん)(少し膨らんだ発疹)が現れる状態を指します。

蕁麻疹は強いかゆみを伴いますが、よく見られるものであるため軽く考えられがちです。しかし、全身に蕁麻疹が急激に現れる場合は、アナフィラキシーショックと呼ばれる重篤なアレルギー反応の可能性もあります。これは命に関わることもあるため、急ぎの受診が必要な場合があります。

この記事では、子どもに蕁麻疹が現れる原因、発症時の対処の仕方についてお伝えします。

子どもが蕁麻疹になる原因は多岐にわたります。また、原因が特定されないことも少なくありません。

蕁麻疹が起きる原因のひとつとして、食物に対するアレルギーがあります。原因となる食物としては、子どもであれば鶏卵、牛乳、小麦が多い傾向にあります。ほかにも、そばや甲殻類などもアレルギーの原因となります。

そのほか、食物アレルギーを発症したことがないケースでも、通常の食事では発症せず、特定の食物を摂取した後に運動をすることで蕁麻疹やアナフィラキシーが誘発される食物依存性運動誘発アナフィラキシーと呼ばれるタイプのアレルギー反応もあります。このタイプのアレルギーは小麦や甲殻類などで引き起こされるケースが90%を占めています。これらが含まれた給食を食べた後の体育などの時間に発症することががあるため注意が必要です。

抗生物質、造影剤、解熱鎮痛剤などの特定の薬剤が原因で発症することもあります。普段飲みなれていない薬を飲んだ後に蕁麻疹が出たような場合には、念のため処方を受けた病院や薬局へ問い合わせるとよいでしょう。

気温の変動、日光、振動、風邪などの感染症や、受験などの精神的ストレスなどがきっかけで発症することもあります。

化学物質など

ゴムの原料であるラテックスなど、特定の化学物質が原因で発症することもあります。

昆虫ではハチやアリなどに刺されて発症することもあります。

遺伝性血管性浮腫など遺伝性の病気が原因となっている場合もあります。

蕁麻疹を引き起こす原因は多岐にわたります。しかし、原因を特定できるケースばかりではなく、原因不明が分からないままのことも多くあります。

子どもに蕁麻疹ができたとき、このまま様子を見てよいのか、それともすぐに医療機関に受診したほうがよいのか迷う場面も多いのではないでしょうか。

どんどん広がっていく皮膚の蕁麻疹とともに、以下の症状が現れた場合は、早急に受診しましょう。

声のかすれ、喉のかゆみ、止まらない咳、ゼイゼイとした喘鳴(ぜんめい)など、呼吸状態に異常があると感じた場合

腹痛、吐き気、下痢などの症状を伴う場合

顔が青白い、呼びかけに応じない、反応が鈍いなど

夜間、蕁麻疹を生じて、上のような皮膚以外の症状が出て苦しそうな場合は救急受診を検討するのがよいでしょう。病院に行くか、救急車を呼ぶべきかを悩んだときは#7119(救急相談センター)にかけると相談ができます。

蕁麻疹は皮膚にできるため皮膚科と思いがちですが、感染症などほかの病気によって蕁麻疹が出ていることもあるので、子どもであれば小児科がよいでしょう。しかし、アナフィラキシーによる呼吸困難などが生じているなど、緊急性がある場合は救急受診を検討しましょう。

食品を口から出し、すすぎましょう。また、食べた直後であれば誤嚥に十分注意して吐かせるのも有効です。

アレルギーの原因となるものを触った手は速やかに洗いましょう。

原因となる物質が付着した手で目や口を触ると、アレルギーを起こすことがあるので注意が必要です。

アレルギーの原因となるものが目に入った場合は、目を水で洗い流すとよいでしょう。ただ、体の蕁麻疹の症状のひとつとして目に症状が現れることもあります。その時の目の症状には抗アレルギー薬の点眼剤を使用することもありますが、まずは体の症状の治療を優先するようにしましょう。

息が苦しそう、呼びかけに応じないなど、症状が重いときはすぐに病院に受診が必要な(場合によっては救急車を呼ぶ)場合があります。また、アナフィラキシーの既往がある方でアドレナリン自己注射を携帯している場合は、医師から受けている指示に沿って投与することを検討し、注射をした場合はすぐに病院を受診するようにしましょう。

蕁麻疹が重症でない場合、入浴することは原則として問題ありませんが、蕁麻疹は温めるとかゆみなどが悪化することがあります。蕁麻疹の症状が出ているときは、熱いお風呂は控えるとよいでしょう。

また、患部を冷やすことでかゆみが少し楽になります。ただし、まれに悪化することもあるので、その場合はすぐに冷やすのを止めましょう。また、蕁麻疹をこすったりするとひどくなることがあるので、冷やすときはできるだけ刺激を与えないようにしましょう。

蕁麻疹の原因が明らかな場合には、発症を防ぐために原因を避ける生活を心がけることが重要です。しかし、原因不明の蕁麻疹も少なくありません。

原因の有無にかかわらず、蕁麻疹を発症した場合の治療は共通しています。

数時間でかゆみと膨疹が治まる場合は、患部を軽く冷やしてかかないようにするだけで治ってしまうこともあります。あるいは、かかないようにするために市販のかゆみを抑える作用のある塗り薬を使用するのもよいでしょう。

軽症でもかゆみや皮膚症状が長時間続いてどんどんかいてしまう場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の飲み薬を使用します。体調の変化もなく、市販の抗アレルギー剤内服で治ってしまえば経過をそのまま見てもかまいません。

皮膚以外の症状はないものの、これで改善しない場合や、膨疹やかゆみが短時間で広範囲に広がる場合は、病院でよりアレルギーを抑える力が強いステロイドの飲み薬を処方されることもあります。

さらに、先に述べたもっとも重症型の場合は、救急受診を要します。

また、原因の明らかな蕁麻疹で過去に同じようなエピソードを生じている場合はあらかじめ医師より薬が処方されてすぐ対処できるようになっている患者もいます。

蕁麻疹は、アナフィラキシーショックを発症することもあり、命に関わることもあります。アレルギーに効く市販薬もありますが、これらを使用しても改善がなければ、医療機関への受診を検討しましょう。

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