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遺伝性乳がんの診療 第26回日本乳癌学会学術総会レポート

遺伝性乳がんの診療 第26回日本乳癌学会学術総会レポート
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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この記事の最終更新は2018年06月25日です。

去る2018年5月16日(水)〜18日(金)、国立京都国際会館(京都市左京区)にて第26回日本乳癌学会学術総会が開催されました。本学会では、連日プレスリリースが実施され、注目演題の概要や乳がん領域におけるトピックが発表されました。座長は大会長である戸井雅和先生(京都大学大学院医学研究科外科学講座 乳腺外科学教授)が務められました。

本記事では、一般社団法人日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)の理事長を務めておられる、昭和大学医学部外科学講座乳腺外科学部門の中村清吾先生の発表をお伝えいたします。

遺伝性乳がんの原因としてBRCA1/2が報告されて約20年経過しましたが、日本の遺伝性乳がんの診療は、欧米に大きな遅れをとってきました。アメリカでは2014年にすでに、遺伝性乳がんの対側予防切除に関する20年間の長期経過観察を行った研究結果が出ていることからも、日本と欧米の差は顕著であるといえます。

そこで、私たちは日本人類遺伝学会、日本乳癌学会、日本産科婦人科学会の協力のもと、一般社団法人日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)を立ち上げました。JOHBOCでは、遺伝性乳がんや卵巣がんに関するデータベースの構築、施設認定、教育研修などを行っています。

JOHBOCの2017年時点のデータベースには、2366名の乳がん患者さんのうちBRCA1/2に変異を認める476名の方のデータが登録されています。これらのデータからリスク低減手術(乳房の予防切除)やMRIを含む乳がん検診など、遺伝性乳がんの予防的な対策に関するエビデンスが少しずつ出始めています。

BRCA1/2以外にも、遺伝性乳がんの発症に関わる遺伝子があることがわかっています。欧米ではすでに、BRCA1/2の遺伝子検査をする際には、遺伝性乳がんを起こす可能性が高いほかの遺伝子群を同時に検査することが主流となっています。

今後は日本でも、遺伝性乳がんを起こしやすい日本人特有の遺伝子について調査し、またその対策方法も検討していかなければならないと考えています。

2018年現在、世界では年間約170万人の方が乳がんを発症しているといわれています。今後は年率1.59%で増加するといわれており、2030年には約320万人にまで膨れ上がることが予想されています。また、遺伝性乳がんのように発症原因となる遺伝子がわかってきています。そのため、今後は早期発見・早期治療だけではなく、乳がんの発症リスクが高い方に対しては発症を予防することが重要だと考えます。

たとえば、乳がんの家族歴がある方などは乳がん検診のタイミングを早めて、25歳以上でMRI、30歳以上でMRI・マンモグラフィ・超音波検査を行うなどです。

また、乳房を予防的に切除するリスク低減手術はすでに行っている病院もありますが、2018年現在、自由診療のため高額な手術費用がかかります。現在の日本の医療保険制度は治療のためにあるものですが、将来的には予防的に行う診療行為の保険適用が望まれます。

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