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CDA(先天性赤血球形成異常性貧血)の症状と治療
生まれつき赤芽球(せきがきゅう)という血液細胞に異常があり、正常な赤血球が作られないCDA(先天性赤血球形成異常性貧血)。この病気を持つ患者さんのなかには、輸血治療を必要とする貧血を抱えているお...
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CDA(先天性赤血球形成異常性貧血)の症状と治療

公開日 2018 年 08 月 03 日 | 更新日 2018 年 08 月 03 日

CDA(先天性赤血球形成異常性貧血)の症状と治療
真部 淳 先生

聖路加国際病院 小児科 医長(血液腫瘍担当)

真部 淳 先生

目次

生まれつき赤芽球(せきがきゅう)という血液細胞に異常があり、正常な赤血球が作られないCDA(先天性赤血球形成異常性貧血)。この病気を持つ患者さんのなかには、輸血治療を必要とする貧血を抱えているお子さんもいます。しかし、治療の進歩により輸血による重い合併症を防げるようになったことから、CDAは「怖い病気」ではなくなってきています。

CDAの症状と治療について、聖路加国際病院小児科医長(血液腫瘍担当)の真部淳先生に教えていただきました。

CDA(先天性赤血球形成異常性貧血)の症状

CDAの主な症状は、貧血と黄疸(おうだん)の2つです。

慢性的な貧血

小児期から貧血がみられることが多く、なかには生後1か月以内から貧血が認められる患者さんもいます。

CDAによる貧血は、以下の理由で赤血球数が十分に保たれないため起こります。

  • 赤芽球に異形成があるため、赤血球が通常より早く壊れてしまう(赤血球の成熟障害)
  • 骨髄の中で幼若な血液細胞が壊れてしまい、赤血球が作られない(無効造血)

貧血の程度は一人ひとり異なり、輸血治療が必要になる例もあれば、治療介入する必要がない例もあります。このほかに、小児期には輸血治療を要としていた患者さんでも、思春期以降に改善がみられることがあります。

軽症~中等度の貧血が多い

赤血球数が不十分な状態であるため、多くの場合貧血は生涯にわたりみられますが、程度に関しては「軽症~中等度」がほとんどです。血液の難病と聞くと不安に思われる方もいらっしゃると思われますが、重大な症状が現れることは少ない病気と考えていただいてよいでしょう。

※サラセミアの合併症としてCDAを発症した場合、重い貧血を呈する傾向があります。ただし、サラセミアにCDAを合併する例は日本ではほぼみられません。

白血球や血小板への影響はほぼない

古典的な3病型に分類されるCDAにより影響が生じるのは、血液細胞のうち赤血球のみです。白血球や血小板など、他の血液細胞には問題が生じないため、感染症のリスクが高まったり、血液が止まりにくくなったりすることはありません。

※VARIANTSの一部では血小板減少がみられます。

黄疸(おうだん)

結膜(白目の部分)が黄色くなる黄疸がみられることがあります。ただし、CDAによる黄疸は比較的軽症にとどまる傾向があります。

なぜCDAの黄疸は重症化しにくいのか?

黄疸の発症には、赤血球が壊れる際に作られるビリルビンという物質が関わっています。皮膚や結膜が黄色くなる黄疸には、「間接ビリルビン」が関与するもの、「直接ビリルビン」が関与するものとの2つがあります。

赤血球が壊れるときに生じる間接ビリルビンは、肝臓でグルクロン酸と結合し、直接ビリルビンとなります。

直接ビリルビンの増加による黄疸は、肝臓や脳の病気につながるリスクが高いことで知られていますが、CDAにより増加するビリルビンは間接ビリルビン※であるため、比較的軽い症状で済むことが多くなっています。

※間接ビリルビンは、赤血球の寿命短縮などにより、産生されるビリルビンが過剰になることで増加します。

その他の症状

冒頭でも述べたように、過去には輸血治療により起こる続発性ヘモクロマトーシス(鉄過剰症)が、CDAにおける課題となっていました。経口投与可能な鉄キレート剤の登場以前は、続発性ヘモクロマトーシスの合併症により死に至る例も多かったとされています。

しかし、治療薬の開発により、現在では続発性ヘモクロマトーシスによる重大な合併症を防げるようになっています。

CDA(先天性赤血球形成異常性貧血)の治療

輸血治療

治療介入が必要な貧血がみられる場合、1か月に1回ほどの間隔で輸血治療を行います。

鉄欠乏性貧血とは異なり、CDAによる貧血の場合、鉄剤の使用は禁忌とされています。

除鉄治療

鉄が体内に過剰に蓄積しないよう、定期的に血清フェリチン値の測定が行い、必要に応じて鉄キレート剤を使用します。特に輸血治療を要する例では、積極的な使用を考えます。

脾臓摘出術(手術)

脾臓(ひぞう)は古くなった赤血球を壊して除去する役割を持つ臓器です。そのため、脾臓摘出術を行うことで、輸血治療の回数が大きく減少することや、不要となることがあります。

脾臓は、乳幼児期においては免疫組織として重要な役割を果たしているため、脾臓摘出術は原則として5歳以上の患者さんが適応となります。そのため、幼い頃から貧血がみられる患者さんの場合、まずは輸血治療を選択し、小学校にあがるタイミングなどで計画的に脾臓摘出術を実施することがあります。

日常生活に特別な制限はない

CDAを抱えていても、日常生活に何らかの制限がかかるということはありません。定期的な輸血治療のため、通院が必要になるケースもありますが、基本的には健常なお子さんと変わらない生活を送ることができます。

軽度~中等度の貧血は生涯にわたりみられるため、妊娠・出産の際などには輸血を行うこともありますが、妊娠・出産自体はもちろん可能です。

また、一般的な貧血と同じように、運動は体調をみながら無理をせず行うことが大切です。激しい運動に取り組みたいという場合は、治療によりあらかじめ赤血球数を増やしておくこともできるため、主治医の先生に相談することをお勧めします。

先天性赤血球形成異常性貧血(真部淳先生)の連載記事

ローマ・カトリック大学小児腫瘍科、セント・ジュード小児研究病院血液腫瘍科などで研鑽を積み、現在は聖路加国際病院小児科にて医長(血液腫瘍担当)を務めている。小児のがん、血液の病気を専門とし、骨髄異形成症候群(MDS)や小児再生不良性貧血などを抱える患者さん・保護者の方に寄り添う治療と診療体制の確立に尽力している。

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