うつ病(うつびょう)

うつ病とは

うつ病とは、気分の落ち込みや喜び・興味の減退などの症状が長い間持続し、日常生活にも支障を来すようになった状態を指します。気分の落ち込みを感じることは誰にでもあることですが、うつ病では時間を経ても気分が晴れることがなく、強い抑うつ感が続くことになります。
うつ病の患者さんの数は、日本においては100万人を超えると報告されています。また、一生涯の有病率は3~7%ほどであり誰でもかかる可能性のある病気です。

うつ病を発症するとその苦痛は堪え難いものであり、なかには自殺をしてしまう方もいます。先に挙げた有病率は欧米諸国に比較すると低いですが、逆に日本における自殺率は高いとの報告もあります。
うつ病は比較的広く知られた病気であり、早期に治療を開始できている方が増えている一方、まだ多くの方が受診に至っておらず、最後の手段に手を出してしまう方がいることが、精神科・社会学領域において大きな課題となっています。

原因

うつ病の発症原因は一つではなく、それぞれの人の持つ性格的な背景や環境要因によるストレス(経済的な要因・社会的な要因・個人的な要因・周囲の要因)などが複雑に関与していると考えられています。同じようなストレスにさらされてもうつ病になる方とならない方がいますし、たとえ生まれつきストレスに強い方であっても、離婚・倒産・解雇など大きな問題に直面すればうつ病を発症するリスクとなりえます。

病気のなかには、原因となる遺伝子が特定されているものもあり、ある程度の確率で発症を予防できるものがあります。しかしながら、うつ病についてはそうではなく、うつ病になりやすいか・なりにくいかということを事前にみつけるのは非常に難しいのが現実です(2017年時点)。
とはいえ、うつ病になりやすい傾向といえるものはあります。性格的なものであれば、生真面目で何をするにも徹底するような方・完璧主義者はうつ病になりやすいと考えられています。また、社交的すぎる方も他人に気を遣いすぎる傾向があり、同じくうつ病発症の要因となりえます。

うつ病の原因となるイベントは仕事関係としてはリストラ、昇進(仕事に対する不安が強くなります)、単身赴任などがあります。また、ライフイベントでは、死別や離別、子どもの独立、出産などが考えられ、これら多くの環境変化がうつ病の原因となりえます。

症状

うつ病では気分の落ち込みや喜び・興味の減退などの症状が長い間持続し、日常生活に悪影響を及ぼすようになります。具体的に生じうる自覚症状としては、抑うつ気分、今まで好きであったものに対して楽しさを感じることができない、集中力が続かない、不安を感じてイライラする、等です。
他人からわかる変化としては、見た目に元気がなく表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、といったものが挙げられます。

うつ病では身体症状も出現します。たとえば、食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛・肩こりがする、口が渇く、などの症状です。
身体症状から始まるうつ病もまれではなく、抑うつ気分になるのがうつ病である、といった固定観念を持たないことが、病気の早期発見には重要な観点であるといえます。

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検査

うつ病では、基本的には症状を詳細に評価することから診断します。
うつ病ではさまざまな心理面での変化や身体症状が出現しますが、なかでも重要視されているのは(1)抑うつ気分、(2)興味・楽しみの喪失、の二点です。この二つの症状を代表としたうつ病に関連する症状が2週間以上の間持続することで診断されます。
ただし、うつ病と類似の症状を呈する疾患として、甲状腺機能低下症などの身体疾患や薬物の影響などがあります。これらとうつ病の鑑別を行うことも、うつ病診療においては重要です。

治療

うつ病の治療では、抗うつ薬や抗精神病薬などの薬物が使用されることも多いですが、注意すべき点は薬だけで治そうとしてはいけないということです。むしろ大切なのは薬物以外の治療方法です。この観点からうつ病の治療において重要なのは、休息を取ることです。何かしらのストレス要因からうつ病を発症していることもあるため、ストレスから離れて休息をとり心身ともにリラックスを図ることが重要です。

また、うつ病の治療を考える上では、患者さんの背景を深く理解することが重要です。まず、どのような生活を送っているか、どのような生い立ちだったか、学校でどうたったか、年齢によって対人関係はどう変わったのか、などということをしっかりと聞きます。その上で、その方の考え方、頑張る方法、周りの方が患者さんをどのように解釈しているのか、周りの方のことをどう考えているのか、などということを総合的に判断して、患者さん治療に関する認識を合わせると治療の目標が見えます。また、目標や生き方の修正を行うことで患者さんもよい方向に回復します。
うつ病治療において一番よいのは、自分らしく生きていけるところに落ち着くことです。そのために、病気のパターンや、その方の状況にあわせて治療を行うということが重要です。

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