クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
Noimage s500x350
アルコール依存症
アルコール依存症(アルコール使用障害)とは、アルコールに対して身体的および精神的な薬理学的依存性を獲得した状態のことをいいます。依存に伴う障害を発症すると、お酒を飲む量がコントロールできなくなり...
Male consulter resolved
クリップに失敗しました

アルコール依存症あるこーるいぞんしょう

その他の関連する疾患はこちら

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
掲載しました。
閉じる

概要

アルコール依存症(アルコール使用障害)とは、アルコールに対して身体的および精神的な薬理学的依存性を獲得した状態のことをいいます。依存に伴う障害を発症すると、お酒を飲む量がコントロールできなくなり、家族を含めた周囲の方にも大きな迷惑をかけ社会生活が破綻することになります。しかし、お酒に頼らざるを得なくなり、ついつい手が出てしまいます。また、お酒が切れることでイライラする、手が震える、夜眠れなくなるなどの離脱症状が生じることもあります。

依存症とは、「精神に作用する化学物質の摂取や、それらの刺激を求める耐えがたい欲求が生じ、その刺激を追い求める行為が優勢となり、その刺激がないと不快な精神的・身体的症状を生じる、精神的・身体的・行動的状態」と定義されています。

アルコール依存症は、アルコールに対して依存症に陥っている状態を指します。ある種の快感や高揚感(こうようかん)を伴う行為、たとえばギャンブルなどを繰り返し行う行動嗜癖(こうどうしへき)によっても同様の状況に陥ることがありますが、化学物質の薬理学的特性に基づく依存症とは区別するべき状態と考えられています。

アルコール依存症の患者さんは日本では80万人ほどいるとの報告もありますが、実際に専門的な治療を受けている方は少ないと考えられています。アルコール依存症の治療は短期間で完了するものではなく、本人の治療はもちろん周囲の方の支援体制も重要になってきます。そのため、早期発見に努め、早期に治療を開始することが大切です。

原因

アルコールを長期間摂取することがアルコール依存症の原因となりますが、同じ量・同じ期間摂取していても、アルコール依存症を発症する方としない方がいます。こうした差が生じる理由は、遺伝学的な要因、社会環境要因、心理的要因などが複雑に関与していると考えられています。

アルコール依存症を発症すると、快楽を感じるのに重要な脳の領域に変化が生じます。たとえば、アルコールを摂取することだけでなく、居酒屋のちょうちんを目にすることでも刺激となって容易に快楽を得るような状況に脳が変化しています。また、物事の判断や自分の行動を律する判断能力が低下するように脳が変化します。具体的には、アルコール依存症の方の一部では、こうした判断の際に重要な役割を担う前頭葉のはたらきが弱まっていると推測されています。

症状

アルコール依存症の方は、飲酒してはいけない状況であっても飲酒行動を抑制することができません。また予定よりも長い時間飲み続けてしまったり、多くの量を飲酒してしまったりすることもあり、自身で飲酒量をコントロールすることが困難になります。

さらに、離脱症状と呼ばれる症状も起こります。離脱症状とは、アルコールの血中濃度が低下する状況で生じるさまざまな症状を指します。具体的には自律神経症状として手の震えや動悸(どうき)、発汗などが生じたり、落ち着きのなさやいらいら感、不安感、睡眠障害などの精神症状が生じたりします。重篤(非常に重い状態)になると、けいれんを起こしたり、幻聴やせん妄(頭が混乱した状態)がみられたりすることもあります。

アルコール依存症では、続発的にアルコールによる身体障害(肝障害など)が生じたり、社会生活への悪影響が及んだりします。アルコール依存症に関連した家庭崩壊、職場欠勤、借金などは決してまれな現象ではなく、ご本人を含めて周囲の方の人生を大きく乱すものとなります。原因がアルコール摂取にあるとわかっていながら、飲酒をやめることができないのも特徴です。

検査・診断

アルコール依存症の方と、通常のお酒を飲む方との間の線引きは簡単ではありません。実際、飲酒という行為自体は多くの方が行っています。それでも、そのなかで治療が必要なほど飲酒がやめられなくなる方は限られており、そのような状態に陥った方がアルコール依存症と診断されます。

アルコール依存症の診断では、アルコール依存症に関連した症状を詳細に評価することが重要であり、ICD-10診断などのガイドラインに従って診断がなされます。ガイドラインにて挙げられている具体的な項目としては 、以下のようなものがあります。

  • 飲酒したいという強い欲望あるいは脅迫感
  • 飲酒の開始、終了、あるいは飲酒量に関して行動をコントロールすることが困難
  • 禁酒あるいは減酒したときの離脱症状
  • 耐性(少量のアルコールでは効果が得られない状態)の証拠
  • 飲酒にかわる楽しみや興味を無視し、飲酒せざるをえない時間やその効果からの回復に要する時間の延長
  • 明らかに有害な結果が起きているのにもかかわらず繰り返される飲酒

そのほか、肝機能障害を含めて身体障害を発症することがあるため、肝機能などの検査を行うことも重要です。

治療

アルコール依存症の治療では、断酒をすることが重要であり、生涯にわたって行うことが求められます。ただし、断酒に際しては離脱症状が生じたり、再飲酒を行ったりすることがあるため、タイミングを見計らいながら治療を行うことになります。

断酒をおこなった急性期には、離脱症状が誘発されることがあります。不安感や睡眠障害などを生じることがあるため、必要に応じて抗不安薬や睡眠薬を併用し症状に対処します。

急性期の状態を乗り切った後は、飲酒によって引き起こされている問題の把握、アルコール依存症に関しての理解をしっかりおこなったうえで、断酒に向き合うことが重要です。このとき、同じ問題を抱えた当事者同士が集まる自助グループ(断酒会)での治療も有効で、長期的な再発防止につながります。

アルコール依存症では抗酒薬といった薬物を使用することもありますが、アルコール依存症を脱した方、まだ脱することができていない方が集まるミーティングの場を持つことも大切です。

アルコール依存症の記事を読む

アルコール依存症の記事にご協力いただいている医師