いぬしじょうちゅうしょう

イヌ糸状虫症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

イヌ糸状虫症とは、イヌ糸状虫という寄生虫によって引き起こされる病気です。イヌ糸状虫は、フィラリアの一種で、蚊(蚊は中間宿主)の吸血によって媒介されイヌを終宿主とする寄生性線虫です。ネコ、イタチなどに、またまれにヒトにも感染します。

イヌに感染した場合には肺等の臓器で成虫になり、幼虫を産出しますが、ヒトへの感染では成虫まで成育することは少ないです。ヒトを終宿主とする糸状虫としては、バンクロフト糸状虫、マレー糸状虫があり、フィラリア症として知られています。

ヒトがイヌ糸状虫症を発症すると、咳や痰などの症状を呈するようになります。また肺に腫瘤を呈するようになることから、肺がんなどほかの肺の病気との鑑別が必要となります。
 

原因

イヌ・ネコの場合、イヌ糸状虫を保有する蚊に刺されることで感染が成立します。イヌ糸条虫は皮膚の吸血部位で脱皮して幼虫になり、その後、筋肉内で成虫へと成長後、血流に乗り心臓および肺動脈に到達して寄生します。そこで雌は幼虫(ミクロフィラリア)を産出し血管内へ放出します。心臓に寄生すると肺など各臓器への血流が大きく障害を受け、宿主となるイヌ・ネコは心不全を発症します。

ヒトの体内はイヌ糸状虫にとって活動に適した環境でないため、ヒトが感染しても幼虫が成長することは少ないです。しかし、ごくまれにイヌ糸状虫の幼虫が血液の流れに乗じ、肺動脈へと入り込むことがあります。ヒトの身体にとってイヌ糸状虫は異物のため、異物を排除しようとして肉芽腫を形成するようになります。また肺動脈の細い部分にイヌ糸状虫が詰まることで、肺梗塞を起こすこともあります。

ヒトにとっては、イヌをはじめ多くの感染動物と接触する機会があるほど、イヌ糸状虫への感染リスクが高まるとされています。
 

症状

ヒトにおいてはイヌ糸状虫に寄生を受けても症状を呈さないことが多いです。そのため、別の理由で撮影された胸部単純レントゲン写真や検診などによって、たまたま発見されることもあります。

イヌ糸状虫症では、発熱や全身倦怠感などのほか、痰、血痰、胸痛、胸水、呼吸困難など肺に関連した症状を呈することが多いです。また肺以外にもイヌ糸状虫が侵入した場合、脳や、目、皮下、精巣など寄生部位に応じた症状が現れます。
 

検査・診断

イヌ糸状虫症は、病変胸部単純レントゲン写真やCTなどの画像所見のみでは判断がつかないこともあります。そのためCTガイド下での病変部位へのアプローチや気管支鏡検査にて得られた検体や、手術標本をもとにして評価します。

これら顕微鏡的な検査に加えて、イヌ糸状虫の病原体に特徴的な遺伝子を対象にしたPCRと呼ばれる検査方法が選択されることもあります。
 

治療

イヌ糸状虫症の治療は、手術による病変切除が基本となります。しかしイヌ糸状虫の寄生部位は自然に縮小することもあるため、検査結果や患者さんの病状・希望などによってはメベンダゾールなどの内服薬による治療が選択されることもあります。

予防には、虫除けスプレーを使用する、蚊に刺されないようにできるだけ肌の露出を少なくするために長袖・長ズボンを履く、蚊の発生しにくい環境を整備するなどの対策が重要です。
特にイヌやネコなどと接触機会が多い方は発症リスクが高いため、注意が必要とされています。また、イヌの予防を徹底させることが、ヒトの感染予防につながります。
 

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