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ウェルナー症候群
ウェルナー症候群とは、老化現象が通常よりも早い時間軸のなかで出現する「早老症」のひとつです。思春期までは比較的正常に成長しますが、20代前後を境にして白髪や脱毛、白内障などの加齢に関連した病気が...
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ウェルナー症候群うぇるなーしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

ウェルナー症候群とは、老化現象が通常よりも早い時間軸のなかで出現する「早老症」のひとつです。思春期までは比較的正常に成長しますが、20代前後を境にして白髪や脱毛、白内障などの加齢に関連した病気がみられるようになります。動脈硬化の進行スピードが早く、かつ若くして悪性疾患を発症することもまれではありません。そのため加齢に関連した病気の進行抑制や早期治療が大切です。

国内におよそ2,000〜3,000人の患者さんがいると報告されています。日本で病気になる確率は5〜6万人に1人と推定されていますが、アメリカ合衆国で推定される数字(20万人に1人)よりも高いものになります。こうした報告からもわかるように、ウェルナー症候群は、日本に多い早老症といえます。

原因

ウェルナー症候群は、WRN遺伝子の異常によって発症することが知られています。WRN遺伝子は、正常なDNAを保持するために重要なはたらきを担っていると考えられています。細胞が増殖するにはDNAが正常な形で増殖する必要がありますが、ここでWRN遺伝子は重要なはたらきをしています。

WRN遺伝子に異常が生じると、正常なDNAが保てなくなり、傷が入りやすくなります。DNAが損傷を受けると健康な細胞活動も障害され、ウェルナー症候群でみられるような早い時間軸の中での老化現象が生じるようになります。
ウェルナー症候群は、「常染色体劣性遺伝」と呼ばれる遺伝形式を取ります。

人の細胞の中には2本のWRN遺伝子が存在しますが、1本に異常を認めるだけでは発症せず、病気の保因者となります。しかし両親が保因者である場合には、お子さんがそれぞれから1本ずつ異常な遺伝子を受け取る可能性があります。その結果、遺伝子2本ともに異常を認めた場合に、お子さんは病気を発症します。お子さんが病気を発症する確率は25%です。

症状

ウェルナー症候群では、思春期を迎えるまでは正常な発達をしますが、低身長であることが多いです。20歳を境にした頃から、通常よりも早いスピードで老化現象をみるようになります。具体的には、白髪や脱毛、手足の皮膚・筋肉のやせ、しゃがれ声などの変化が現れます。また、脂肪のつき方にも変化がみられ、体幹周りに多くなります。

若くして白内障や動脈硬化性病変、脂質異常症、糖尿病などの病気にかかることがあります。また、40代で心筋梗塞や骨粗しょう症、悪性疾患(多臓器にみることもまれではありません)をみることもあります。

以前は、動脈硬化性病変や悪性疾患をもとに40代で亡くなる方もたくさんいましたが、近年では60代まで元気に生活されている方も少なくないです。また、皮膚が薄くなることや糖尿病を併発することなどに関連し、手足に難治性の潰瘍が生じる方もいます。

検査・診断

ウェルナー症候群の診断は、早期の加齢現象に伴う症状を基準にして行います。特に、20歳前後までにみられる白髪や脱毛、白内障、皮膚の萎縮、しゃがれ声などは重要な症状と考えられています。その他、糖尿病や脂質異常症、骨粗しょう症、心筋梗塞の既往なども診断には重要な情報です。

ウェルナー症候群を引き起こすWRN遺伝子の異常のタイプは80種類以上知られています(2012年度公開早老Werner症候群の診療ガイドライン)。いずれの施設でも可能というわけではありませんが、PCR法やダイレクトシークエンスと呼ばれる方法を用いた遺伝子検索が行われることもあります。

また、40歳までに白内障が現れた患者さんに、X線撮影によりアキレス腱の石灰化(せっかいか)がみられれば、ウェルナー症候群である可能性を疑います。

治療

ウェルナー症候群に対しての根本的な治療薬は存在しません。そのため、ウェルナー症候群で発症しうる各種合併症に対してアプローチすることが重要です。特に重要な合併症は、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化、悪性疾患、皮膚の難治性潰瘍、骨粗しょう症です。

糖尿病、脂質異常症、動脈硬化

一般的に行われるような内服薬治療が行われます。しかし難治性潰瘍を併発しやすい特徴もあるため、運動療法については慎重な姿勢を取る必要があります。

悪性疾患

ウェルナー症候群では、複数のがんを合併することも少なくありません。また、一般的な方と比べて発症しやすい悪性腫瘍があることも知られています(たとえば甲状腺がんや悪性黒色腫など)。こうした特徴を踏まえて、早期発見・早期治療に努めることが大切です。

皮膚の難治性潰瘍

皮膚潰瘍は難治性であることが多く、生活に多大なる影響を及ぼすことがあります。なかには感染を併発することもあります。潰瘍を生じにくいような生活スタイルを送ったり、場合によっては抗生物質や手術による治療(手足の切除を含めて)を行ったりします。

骨粗しょう症

ウェルナー症候群に特化した治療方法はなく、一般的な骨粗しょう症治療薬が用いられます。

ウェルナー症候群は日本人に頻度が高い疾患であり、正確な情報をもとにした社会的な認知度を高めることが重要です。また、遺伝性疾患であることもあり、出産や病気に関してのカウンセリングを行うことも大切です。

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