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ウエスト症候群
ウエスト症候群は、①「スパズム」と呼ばれる特徴的なてんかん発作、②脳波検査で指摘される「ヒプスアリスミア」と呼ばれる異常脳波、③発達遅滞、の3つの特徴を有する病気を指します。てんかん発作時には首...
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ウエスト症候群うえすとしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
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2017 年 04 月 25 日
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概要

ウエスト症候群は、①「スパズム」と呼ばれる特徴的なてんかん発作、②脳波検査で指摘される「ヒプスアリスミア」と呼ばれる異常脳波、③発達遅滞、の3つの特徴を有する病気を指します。てんかん発作時には首を前方にカクンとさせますが、この動作を「点頭」と呼びます。そのため、ウエスト症候群は「点頭てんかん」と呼ばれることもあります。
生後半年前後までの乳児に発症する病気であり、ほとんどの症例が1歳までに病気を発症します。ACTHを代表とした薬物治療、食事療法や手術療法が適宜検討されます。発作様式は成長と共に変化し、精神発達遅遅滞を引き起こすことも多い疾患です。
ウエスト症候群は、小児慢性特定疾患及び難病指定を受けています。小児難知性てんかんの40%近くを占める疾患であり、日本全国では4,000名の患者さんがいると推定されています。

原因

ウエスト症候群は、てんかん発作の形や脳波上の異常などから特徴付けられており、根本的な原因にはさまざまなものが知られており、70~75%の患者さんで原因を同定できるとの報告もあります。ウエスト症候群を引き起こしうる原因としていくつか例を挙げると、結節性硬化症、染色体異常(たとえばダウン症候群)、周産期の異常(胎内感染症や新生児仮死など)、脳の形成異常、先天性代謝疾患(フェニルケトン尿症やメープルシロップ尿症、ミトコンドリア脳症など)など多岐に渡り、これら以外にも多くのものが知られています。
なかには遺伝するタイプのウエスト症候群も知られており、CDKL5やARXと呼ばれる遺伝子異常を例に挙げることができます。この遺伝子に関連したウエスト症候群は「伴性劣性遺伝」と呼ばれる遺伝形式を取ります。すなわち、遺伝子異常をもつ女性は保因者であり、25%の確率で保因者の女児、25%で病気を発症する男児、50%の確率で保因者でも病気発症者でもないお子さんを出産することになります。遺伝子異常が男性に存在する場合には、その男性は病気を発症することになります。またそのお子さんにおいても、男児であれば同じく病気を発症しますし、女児の場合は病気の保因者になります。

症状

生後半年前後にてんかん発作を認めることから気付かれることが多いです。音にびっくりしたかのように、手を伸ばし体幹を瞬間的に収縮させ、カクンと首を縮めるようなてんかん発作(スパズムと呼びます)が特徴とされています。てんかん発作の持続時間は数秒と短いですが、同様の発作が4、50秒毎に繰り返し続きます。こうしたてんかん発作を繰り返すことを「シリーズ」と呼びますが、1回のシリーズは10〜20分ほど続きます。さらに、1日のあいだに時間をおいてから何回もシリーズを認めるのが特徴です。てんかん発作は起きがけに発生したり、哺乳中にも生じたりすることがあります。年齢を経ると、「Lennox-Gastaut症候群」といった別のタイプのてんかんに移行することもあります。
こうしたてんかん発作を認めるようになるタイミングと前後して、患児は笑わなくなったり、不機嫌になったり、また今までできていた首のすわりやお座りができなくなったりすることが特徴です(退行と呼びます)。運動・精神発達遅滞を残すことも多いです。

検査・診断

ウエスト症候群の診断は、特徴的なけいれん発作の型を確認することに加えて、脳波検査を行います。脳波検査では「ヒプサリスミア」と呼ばれる特徴的なけいれん波が認められます。ヒプサリスミアは特に睡眠時にみられることが多いのですが、一回の検査のみではけいれん波を同定できない場合もあります。そのためビデオで発作の出現状況を確認しながら、より長い時間(場合によっては一晩中)脳波検査を行うこともあります。
そのほかの検査として、ウエスト症候群を引き起こす根本的な原因疾患がないかどうかを確認することがあります。例えば、頭部CTやMRIを用いて、脳の形成異常や石灰化などがないかを確認します。感染症の有無や染色体を検査するために、血液検査が併用されることもあります。ときに遺伝子検査が検討されることもあります。

治療

ウエスト症候群に対する代表的な治療方法はACTH療法です。ACTHの投与方法や最適な投与量は決定的なものはありませんが、ウエスト症候群発症後できるだけ早いタイミングで使用することが推奨されています。また、バルプロ酸、ビタミンB6など様々な抗てんかん薬を組み合わせながら治療していきます。
そのほかの薬物療法として、ビガバトリンを挙げることができます。2016年5月に薬価収載されて以降、日本においても使用が可能となっている薬です。ビガバトリンは結節硬化症に由来するウエスト症候群に特に有効とされていますが、副作用として視野障害、視力障害があります。これらの眼科的な副作用は不可逆的なものになる場合もあるため、使用に際しては眼科医との密な連携体勢をとることが必要とされます。
薬物療法以外にも食事療法や手術療法が取られることもあります。いずれの治療についてもどこの施設で設けることができるという訳ではなく、より専門的な病院への受診が必要になることもあります。

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