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カサバッハ・メリット症候群
カサバッハ・メリット症候群(カサバッハ・メリット現象)とは、カポジ型血管内皮種および房状血管腫という病気に合併して血小板減少、貧血、凝固異常をきたす病態です。 血管腫を持った小児の0.3%...
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カサバッハ・メリット症候群かさばっはめりっとしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

カサバッハ・メリット症候群(カサバッハ・メリット現象)とは、カポジ型血管内皮種および房状血管腫という病気に合併して血小板減少、貧血、凝固異常をきたす病態です。

血管腫を持った小児の0.3%に合併し、死亡率は10~30%といわれています。死因の多くはコントロール不良の出血によるものです。

この病気は1940年にカサバッハとメリットという2人の医師によって、乳児の広範な毛細血管種とそれに伴う血小板減少性紫斑病を指す病態として報告されました。当初はどのような血管腫にも合併し得るものと考えられていましたが、1997年に出た研究結果では、カサバッハ・メリット症候群は比較的まれな二種類の病気、カポジ型血管内皮腫と房状血管腫にのみ合併する病態であることが明らかになりました。

カポジ型血管内皮腫

誕生時や比較的若年の幼児期に発生することが多く、紫もしくは赤紫色で盛り上がった皮下腫瘤(しゅりゅう)(はれもの)のように見えます。多くの場合は四肢に生じますが、まれに体幹部や頸部(けいぶ)(首)・顔面に生じることもあります。また約10%の症例では皮膚には生じず、肝臓や後腹膜、気道などの内臓、筋肉などに現れます。

約70%の症例でカサバッハ・メリット症候群を伴い、特に先天性で大きな腫瘤を認める場合、後腹膜や縦隔(左右の肺の間に位置する部分)で発生した場合には、合併の危険性が高いことが知られています。

房状血管腫

通常硬く、くすんだような赤~赤紫色の斑または結節(隆起)で大きさは1cm~10cm以上とさまざまです。典型的には四肢や体幹に生じ、顔面を侵すことはまれです。新生児期や幼児期に生じ、病変部は孤立性の場合が多いですが例外もあります。約10%の症例でカサバッハ・メリット症候群を合併します。

原因

カサバッハ・メリット症候群が何故この2つの病気とのみ関連するのかははっきりと分かっていません。

カサバッハ・メリット症候群では、血小板が血管の中で異常に活性化され、それに続いて実際には出血していないにもかかわらず出血が起きているかのように凝固系が活性化されます。この活性化により、止血のために必要な血小板と凝固因子が不必要に消費され、同時に血栓を溶かすためのはたらきも活性化することから、逆に出血がしやすい状態となってしまいます。カポジ型血管内皮腫と房状血管腫の内部での異常な構造はこの一連の流れを引き起こしやすいのではないかと考えられています。

症状

カサバッハ・メリット症候群は、もともと存在している腫瘤の急激な増大として現れます。腫瘤はより膨らんで張りつめ、痛みも伴います。血小板減少と凝固系の異常も同時に生じますが、症状が現れて早期に局所以外での出血を起こすことは比較的まれです。しかし外傷や潰瘍(かいよう)、感染、診断の遅れなどによって、より全身的な症状を呈する播種性血管内凝固症候群につながる場合もあります。

巨大血管腫が、肝臓、後腹膜、咽頭などに発生した場合、巨大血管腫が気道を圧迫して呼吸困難や大量の血流シャントのために心不全を来すこともあり、注意が必要です。

検査・診断

体に見られる大きな血管腫があった場合、血小板数や凝固因子の検査が必要です。

重篤な血小板減少と凝固系の異常、凝固因子量の低下がみられます。また顕微鏡下で血液細胞を観察した場合、破砕(はさい)赤血球(くだけた赤血球)が認められる場合もあります。カポジ型血管内皮腫、房状血管腫をその他の血管異常と区別するためには、生検検査(組織切片などを採って行う検査)や、超音波検査、MRI検査などが有用です。

造影CTでは、血管腫は強く持続的に造影され、MRIではTl強調画像で中等度、T2強調画像で強く描出されます。摘出術や塞栓療法を考慮する際には、MRI検査が有用です。診困難例についてはMRA(magnetic resonance angiography)はさらにすぐれた方法となります。

なお生検検査は、罹患組織が血流の豊富なところであるため大量出血の危険もあることから必須ではありません。その場合、血流などを描出できる画像検査で判断します。

治療

カサバッハ・メリット症候群は症例数が少ないこともあり、強い根拠に基づいた定まった治療法は確立されていません。

2018年現在、治療は大きく分けて、支持療法と血管腫に対する治療法に分けられます。

支持療法

輸血を行い、抗DIC治療、呼吸管理、心不全治療、感染予防などを行います。

血液検査での血小板数は減少していますが、実際に出血が認められていたり、外科的な腫瘍の手術を控えていたりする場合以外では血小板輸血は行いません。それは、実際に全身性に出血を起こすことがまれであること、血小板輸血を行っても血小板消費の亢進によって輸血された血小板の寿命が短縮していること、また輸血された血小板自体が病状の更なる悪化を引き起こし得ること、などの理由によります。

凝固因子の補充も全例には行わず、出血がある、手術を控えている、高度の血小板減少・凝固因子の低下がある、多臓器不全を呈しているなどの場合に慎重に投与するか否かを考慮します。

通常カサバッハ・メリット症候群を起こしている段階では、腫瘍が増大しているため外科的な切除は困難です。しかし腫瘍が小さい場合やその他の治療で切除可能な程度まで縮小している場合は手術が治療選択肢として考慮されます。

血管腫に対する治療

  • ステロイド治療
  • 放射線治療
  • インターフェロンα治療
  • 化学療法(ビンクリスチンなど)
  • 血管腫除去手術
  • 血管塞栓術    があります。

側副血管が限られた症例では、カテーテルによる輸入動脈のコイル塞栓術、種々の薬物療法で効果がない場合、放射線治療も検討されます。

明らかな出血がない場合では、アスピリンをはじめとする複数の抗血小板薬を組み合わせて血小板の活性化を抑える治療も組みこまれることもあります。

カサバッハ・メリット症候群はは約10~30%の致死率が記録されていた病気であり、最初の治療に反応しない場合にはその他の抗がん剤を用いる、放射線治療を行う、など複数の選択肢から治療が続けられます。