がすえそ

ガス壊疽

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

ガス壊疽(えそ)とは、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)や連鎖球菌、大腸菌などによって引き起こされる感染症をさします。交通外傷褥瘡(じょくそう)床ずれ)などで皮膚が損傷した際に感染し、低酸素環境下において細菌が増殖、ガスを産生する疾患です。症状は重篤であり、感染が広がった組織(おもに筋肉や筋膜)の壊死に加えて、死に至ることもある感染症です。糖尿病など免疫機能が衰えている方の場合、重篤になりやすいです 。

致死率の高い疾患であるため、早期に病気を疑い、迅速に治療介入することが必要です。具体的な治療としては、抗生物質に加えて 、壊死組織の除去、高圧酸素療法などが適応です。初期には皮膚の変化がさほど強くないこともあります。しかし病気の進行は非常に早いため、早期に病気を察知し適切な治療介入を行うことが重要です。

原因

ガス壊疽の原因は、クロストリジウム属に含まれる細菌(ウェルシュ菌など)と、それ以外の菌(連鎖球菌や大腸菌など)に大別できます。

これらの細菌が筋肉や筋膜(粘膜の下層にある筋肉層)などに侵入し、病気が進行します。皮膚のバリアが損傷を受けると細菌が奥深くまで侵入するため、交通事故での皮膚損傷や糖尿病患者における皮膚障害、寝たきりで生じる床ずれ、火傷などがきっかけとなります。

原因となる菌は、酸素が少ない状況でも増殖できます。損傷を受けた筋肉などの組織では血流障害を起こり、低酸素環境にさらされています。したがって、低酸素環境に強い細菌が増殖、感染症状を引き起こします。細菌増殖の過程でガスが産生され、ガス壊疽を発症します。

症状

外傷床ずれ、火傷などの皮膚の損傷部位から原因菌が侵入し、感染が成立します。感染成立からの潜伏期間は短く、数時間のうちに症状が出現し始めます。

炎症が生じていることを反映し、感染部位での激痛、腫脹、発赤が生じます。感染部位は皮膚表面ではなく筋肉に生じるため、見た目には赤々とした鮮明な変化を呈するわけではなく、むしろ色の変化は淡いため軽症に見間違えることもあります。

組織壊死の進行に伴って、皮膚表面の赤さは徐々に褐色調に変化します。紫斑や水疱を伴うこともあります。ガスの産生を反映して、皮膚を触れると「握雪感」と呼ばれる雪を握ったような感触がする状態になることもあります。また、局所の臭いは強く腐敗臭を呈します。

ガス壊疽では局所病変に留まることなく、全身症状を続発します。病気の進行と共に高熱や血圧低下、呼吸困難といったショック状態を発症し、最終的に多臓器不全から死に至ることもあります。

検査・診断

ガス壊疽の診断は、早期の段階で行うことが重要です。ガス壊疽はガスが産生する病気であるため、超音波やレントゲン写真、CT、MRIなどの画像検査を行い病変部の波及状況を確認します。

また感染症を反映して血液検査を行うと、白血球数やCRPの著明な上昇を認めます。筋肉の破壊を反映して、CKも上昇します。多臓器不全を呈するため、肝機能障害(ASTやALTの上昇、ビリルビン上昇など)、貧血の進行、腎機能障害(クレアチニンの上昇など)を血液検査で確認できます。

ガス壊疽が疑わしいときには、画像検査で必ずしも変化が明らかでない場合でも試験切開を行うことがあります。切開することで、筋肉や筋膜の壊死性変化を直接的に観察できます。

また、ガス壊疽の原因菌となっている菌を確認するために、病変局所からの検体を用いた培養検査を行います。培養検査は、原因菌を同定できるのみならず、抗生物質に対しての感受性も評価でき、その後の治療に対して有益な情報を得られます。

治療

ガス壊疽の進行はとても早く、かつ重症化する懸念も高いです。したがって、より早期の段階で病気を察知して治療介入を行うことが重要です。

具体的には、抗生物質による治療介入が行われます。また、病変部位を早急に切開しデブリードマンという処置を行い損傷した組織を切除します。デブリードマンによって病変の量を減らしつつ、組織修復を促します。さらに病原菌によっては、高圧酸素療法と呼ばれる治療介入を行うこともあります。以上の治療が奏功しない場合には、手足の切断を余儀なくされることもあります。

ショック状態から多臓器不全に陥った場合は、集学的なサポート治療も適応となります。具体的には、輸液、昇圧剤、人工呼吸器などです。しかしこうした積極的な治療介入を行っても、最悪の転記をたどることもあります。

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