クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
Brain
クッシング症候群
クッシング症候群とは、副腎皮質ステロイドホルモンのひとつであるコルチゾールというホルモンが過剰に分泌され、全身にさまざまな症状が生じる病気の一群のことです。 脳にある下垂体という小さな臓器...
Male consulter resolved
クリップに失敗しました
脳

クッシング症候群くっしんぐしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
掲載しました。
閉じる

概要

クッシング症候群とは、副腎皮質ステロイドホルモンのひとつであるコルチゾールというホルモンが過剰に分泌され、全身にさまざまな症状が生じる病気の一群のことです。

脳にある下垂体という小さな臓器から分泌されるACTHというホルモンは、副腎を刺激してコルチゾールなどのホルモンの産生を増加させます。さらに、下垂体でつくられるACTHは、脳の視床下部がつくりだすCRHというホルモンによってその分泌が増加します。このどこかに異常が起きてコルチゾールが過剰に分泌されてしまった場合、クッシング症候群の症状が現れます。

コルチゾールは、いわゆるストレスホルモンと呼ばれ、大きなストレスがかかったときにからだやこころを守るためにつくられます。また、ストレスがかかった状態で血糖値が下がらないように血糖を上昇させる方向に働いたり、血圧が下がらないように血圧を上昇させる方向に働いたりと、さまざまな役割をもっています。しかし、コルチゾールが多すぎることによって逆にからだに負担となってしまう面もあります。たとえば血糖値が上がりすぎて糖尿病のリスクが高まったり、血圧が上がりすぎて高血圧を悪化させる要因になったりします。このコルチゾールの値が常に高い状態をクッシング症候群といいます。

原因

コルチゾールが増える原因はいくつかあります。クッシング症候群の中でも、下垂体からACTHが過剰に分泌されることで副腎が刺激されコルチゾールが過剰に分泌されたものをクッシング病(下垂体腺腫)、副腎腫瘍などによって副腎からコルチゾールが過剰に分泌されたものを副腎性クッシング症候群といいます。また、ACTHは肺がんのように全身のどこかで生じた腫瘍からもつくられることがあり、下垂体以外からACTHが過剰につくられることで発症するものを異所性ACTH産生腫瘍によるクッシング症候群といいます。

クッシング症候群は、副腎癌の一つの症状として出ることもあります。副腎癌では、副腎由来のさまざまなホルモンが過剰に分泌されることがあり、コルチゾールの分泌が過剰であった場合が、それに該当します。いずれも、細胞レベルでの遺伝子異常がその原因で、別の病気の治療薬としてステロイドが長期的に投与されていると、クッシング症候群と同じような状態となりえます。これを医原性クッシング症候群といいます。

症状

コルチゾールが過剰になると皮膚が薄くなったり血管の壁が弱くなったりするので、前腕や下肢(かし)の皮膚が薄くなり、皮下の毛細血管が透けてみえてピンクのまだら模様になったり、皮下出血しやすくなり、むくんだ赤ら顔になったりします。また、体幹部の脂肪細胞が増えておなかが出ている割に、手足はやせて大腿部が細くなってきたり(中心性肥満)、両肩にこぶのような脂肪(野牛のこぶ)がついたりします。

そのほかにも、多毛でニキビができやすくなったり、顔にむくみが生じて丸くなったりします。さらに、精神的な影響も生じてうつ傾向もでてきます。ACTHが多くなると、皮膚のこすれるところや関節部の皮膚が黒っぽくなります。

病原菌と戦う白血球の機能がコルチゾールの作用によって低下するため、感染をおこしやすくなります。さらに、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、胃十二指腸潰瘍、骨粗しょう症などの引き金にもなります。

検査・診断

全身の症状からクッシング症候群、またはそれに類似した病気が考えられる場合、血液検査で血液中のコルチゾールだけでなく、他の副腎ホルモンであるアルドステロンや性ホルモンの値を測定します。また、下垂体から分泌されて副腎からのコルチゾール分泌を刺激するACTHの値を測定します。

尿検査を行ってコルチゾールの値を測定することもあります。クッシング症候群を疑う場合には、全身のどこかに何らかの腫瘍ができていることが考えられるため、頭から胸部、腹部、骨盤に至るまで全身のCT検査を行うことが一般的です。

CT検査で腫瘍が発見できても、どこに最終的な原因があるのかを確定する必要があります。それには、デキサメタゾン抑制試験という検査を行います。クッシング症候群では、その原因を問わず、デキサメタゾンというコルチゾールよりも強力なステロイドの薬を少量(1mg)投与しても、副腎からの過剰なコルチゾール分泌を抑えることはできません。しかし、デキサメタゾンを大量(8mg)に投与すると、「下垂体から出たACTHによって副腎からコルチゾールが分泌される」というシステムが正常ならば、コルチゾールの分泌を抑えることができます。

しかし、癌や腫瘍などで副腎自体に異常があったり、異所性にACTHが産生される腫瘍があったりする場合には、デキサメタゾンを大量に投与してもコルチゾール分泌を抑えることはできません。ホルモンの異常が体のどこで起きているかを確定することは、その後の治療方針を決めるうえで重要です。

治療

副腎皮質でも下垂体でも、腫瘍がみつかってコルチゾールの分泌が過剰になって症状が出ている場合には、外科的手術が原則となります。クッシング症候群の原因が、副腎腫瘍や副腎癌であった場合、治療としてまず副腎摘出術が考えられます。副腎摘出は腹部または脇腹に傷をつけて腎臓の頭側にある副腎の腫瘍のみ、または腫瘍を副腎ごと摘出します。現在(2017年時点)では後腹膜鏡という内視鏡を使うことで傷をできるだけ小さくする手術を行うこともあります。

下垂体腫瘍の場合には、鼻の奥の骨を削っていって脳の下側にある下垂体に到達したうえで腫瘍を摘出します。異所性ACTH産生腫瘍の場合も、外科的手術で腫瘍を取り除くことが必要ですが、原因となる腫瘍の発見は困難なことが少なくなく、その場合は、副腎でのコルチゾール産生を抑える薬を使用します。それでもコルチゾールの過剰分泌がコントロールできない場合は、両側副腎摘出術を行って、術後に必要なホルモン補充を生涯続けることもあります。

手術で腫瘍を摘出した後、一時的または長期的にコルチゾールや副腎ホルモンのコントロールが不十分となることがあります。コルチゾールは多すぎることも問題ですが、少なすぎることはもっと危険な状態(副腎不全)になりえるため、外来でホルモンの値を測定したり症状の経過をみたりして、ステロイド剤の内服治療を行います。