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クリプトスポリジウム症
クリプトスポリジウム症とは、クリプトスポリジウム(代表的にはCryptosporidium parvum)と呼ばれる原虫に感染することで発症する感染症のことです。 クリプトスポリジウム症では潜...
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クリプトスポリジウム症くりぷとすぽりじうむしょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

クリプトスポリジウム症とは、クリプトスポリジウム(代表的にはCryptosporidium parvum)と呼ばれる原虫に感染することで発症する感染症のことです。
クリプトスポリジウム症では潜伏期間を経た後、下痢を中心とした消化器症状が出現します。健康な方では自然治癒が期待できる病気ですが、エイズやがん、移植後、免疫抑制剤の使用など一部の条件下で発症すると、死に至る危険性もあります。

病原体であるクリプトスポリジウム原虫は、一宿主性であり、媒介者や中間宿主を必要としません。クリプトスポリジウムのオーシストは宿主内で成熟が完了しており、糞便とともに排泄された時点で感染能を持っています。腸管内や水等の中で長期間生息可能なため、病原体に汚染された食物や水を摂取することで感染が拡大します。

クリプトスポリジウム症は集団感染を起こすこともあるため、日本では法律上第5類感染症に指定されています。2000年から2015年までの動向を見ると、100例前後の報告例がある年もあれば、数件の発生に留まっている年もあります。これは集団感染による被害が起きる危険性を表す数字であるといえます。集団感染の原因になることがあるクリプトスポリジウム症ですが、特にエイズなどにおいては注意が必要です。

発症した場合、パロモマイシンによる治療、脱水対策に加えて、周囲への感染予防策も重要となります。
 

原因

クリプトスポリジウム原虫には数多くの種類がありますが、なかでもCryptosporidium parvumという種類に感染することで発症します。クリプトスポリジウム原虫は周囲が殻で守られてるため、環境中における安定性は高いです。腸管内で増殖したクリプトスポリジウム原虫のオーシストが糞便に混じって排泄されると、水や食物を汚染することがあり、これらを摂取すると周囲への感染が成立します。

なおクリプトスポリジウム原虫は、血液を介して感染拡大することはありません。日本では水や食べ物を原因として、クリプトスポリジウム症の集団感染を見ることがあります。また、世界に目を向けてみても、どこでも起こりうる感染症であるといえます。
 

症状

クリプトスポリジウム原虫を経口摂取すると、10日程度までの潜伏期間を経て、下痢、腹痛、倦怠感、食欲低下、吐き気などの症状が出るようになります。

病気の経過ですが、健康な方と、エイズや免疫抑制剤の使用中などの特殊状況下の方では異なります。健康な方が発症した場合、1日数回から数十回程度の水様性下痢をするようになります。増悪軽快を繰り返しつつ、数日から2週間ほどの経過で治癒へと向かいます。感染したからといって症状を呈するとは限らず、なかには無症状で経過することもあります。

一方、エイズや免疫抑制剤使用中、がん、移植後など一部の状況下の方では、クリプトスポリジウム原虫に対しての免疫力が充分でないため、重症化することも多いです。たとえば下痢では回数・量ともに多くなり、長期化しやすいため、脱水の程度も強くなる傾向にあります。

また、クリプトスポリジウム原虫は小腸に寄生することが多いですが、何かしらの基礎疾患がある場合には胆のうや肺などへも侵入することもあり、その臓器特有の症状を引き起こすこともあります。
 

検査・診断

クリプトスポリジウム症の検査では、糞便中に原虫がいるか確認します。しかし確認は難しいことも多く、複数回の検便が必要とされることもあります。蛍光抗体法、抗酸染色、ネガティブ染色などの染色方法を行った後に、顕微鏡下で病原体の同定を試みます。

また、クリプトスポリジウム原虫の有無を確認するため、PCR法が用いられることがあります。PCR法は病原体の遺伝子を特定する検査のことです。クリプトスポリジウムではCryptosporidium parvum以外のものも知られており、PCR法を用いることで具体的にどのクリプトスポリジウムが原因となっているのか同定することも可能です。
 

治療

クリプトスポリジウム症は健康な方であれば、経口補液や点滴などで脱水を避けつつ対応することで自然治癒が期待できます。しかし、免疫抑制状態など一部の特殊な状況下では重症のリスクがあるため、パロモマイシンやニタゾキサニドなどの薬剤使用を検討します。

また、クリプトスポリジウム症は周囲への感染拡大も懸念されます。汚染が疑われる環境中の水や食物を安易に取らないことが重要ですし、手洗いうがいを徹底することも求められます。
また糞便に触れる可能性のある性交渉にも注意が必要です。ワクチンが存在しない病気であるため、基本的な衛生対策を取ることが感染の予防へとつながります。

上水道の残留塩素など塩素消毒ではオーシストを不活化させることができないため、先進国においてもしばしば集団感染が報告されています。そのため、膜濾過処理の導入、オゾン、紫外線処理の追加が行われています。オーシストは1分程度の煮沸で感染力を失うため、汚染が疑われる水を飲用する場合などに有効です。