げーむきーぱーぼし

ゲームキーパー母指

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

ゲームキーパー母指(ぼし)とは、手の親指の中手指節(MP)関節を支えている尺側側副靭帯(しゃくそくそくふくじんたい)に損傷が生じ、痛みや腫れなどが現れる外傷(けが)です。医学の世界では、親指を母指といいます。また、前腕部の小指側を尺側(しゃくそく)、親指側を橈側(とうそく)と呼びます。MP関節とは指の付け根にある関節のことです。これらをまとめると、ゲームキーパー母指とは、親指の付け根の関節にある靭帯のうち、小指側(人差し指に近いほう)の側副靭帯に緩みや断裂が生じる外傷であると説明することができます。

ゲームキーパー母指という名前は一般的に使用されている呼称であり、正式名称「母指MP関節尺側側副靭帯損傷(ぼしえむぴーかんせつしゃくそくそくふくじんたいそんしょう)」といいます。ゲームキーパーとはイギリスの猟場管理人のことで、かつて狩猟時に素手でウサギの首をひねる動作をすることで、親指付け根の尺側側副靭帯を傷めやすかったことから、ゲームキーパー母指という呼称が生まれました。

現代では、スポーツ活動中などに起こる外傷として知られています。靭帯の損傷程度が比較的軽い場合には、早期に適切な治療を行うことことで良好な経過を辿る予後のよい病気といわれています。
 

原因

スポーツ活動中に、母指MP関節の尺側側副靭帯を損傷するきっかけとしては、次のような例が挙げられます。

  • スキー:ストックを握ったまま転倒し、親指が過度に反ってしまったとき
  • 野球:捕球時に、親指を外に反らせすぎたとき など

上述のように、スキーの最中に受傷する方が多いことから、スキーヤー母指と呼ばれることもあります。
 

症状

ゲームキーパー母指の主な症状は以下のとおりです。

  • 親指付け根の関節のぐらつき(母指MP関節の不安定性)
  • 腫れ:親指付け根にある関節の小指側に腫れが生じます。
  • 痛み
  • 圧痛:患部を押すと痛みが生じます。
  • 内出血 など

受傷から日が浅い場合(新鮮例)は、上記のような痛みや腫れが主な症状となります。ゲームキーパー母指を生じてから時間が経過している場合(陳旧例)は、物を掴んだときや、親指と人差し指でつまむ操作を行うときに、親指が抜けるような感覚を自覚することがあります。
 

検査・診断

ゲームキーパー母指は、発症後の期間により治療方法が変わることがある外傷です。ゲームキーパー母指を発症している可能性がある場合は、早期に医療機関を受診することが大切です。
医療機関では、問診や圧痛の有無の確認のほか、以下のような検査が行われます。

母指を外転させるストレステスト:親指を橈側へ外転させるように圧力をかけるテストです。MP関節の動揺性などを評価することができます。ストレスX線(レントゲン)検査:医師の手や器具を用い、親指に圧力をかけた状態でレントゲン写真を撮影します。ゲームキーパー母指の場合、関節裂隙(かんせつれつげき)(関節の開き、隙間)の拡大がみられます。超音波検査にて靱帯損傷や関節不安定性を診断できます。

治療

保存療法

受傷後比較的日が浅く、靭帯が完全に断裂していない不全断裂の場合、一般的に保存療法が選択されます。具体的にはギプスやテーピングにより患部を数週間固定します。靭帯が緩んでいる症例や、不全断裂をきたしている軽度の症例の場合、早期に適切な治療を行うことにより、良好な経過を辿る(予後がよい)ことが多いといわれています。

手術

靭帯の緩みが高度で関節のぐらつきが大きい場合や、靭帯が完全に断裂している場合には、将来力が入らなくなったり、変形性関節症を発症したりするリスクがあるため、手術が選択されることもあります。

受傷後まもない新鮮例には、靭帯を縫い合わせる靭帯修復手術などが行われます。発症後、ある程度の時間が経過している陳旧例の場合、一般的に長掌筋腱(ちょうしょうきんけん)(手首の腱)を使った靭帯再建術が行われます。

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