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コレラ

最終更新日:
2022年05月25日
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2022/05/25
更新しました
2017/04/25
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概要

コレラとは、コレラ菌と呼ばれる細菌を原因菌とした感染症です。経口感染で広がる感染症であり、コレラ菌で汚染された水や食物を口にすることで感染します。主な症状は下痢と嘔吐です。重症時には“米のとぎ汁様”と呼ばれる大量の下痢によって急激にショック状態に陥り、死に至ることもあります。

コレラは世界各地でパンデミックとなっている感染症で、現在でも衛生状態の悪い開発途上国を中心に散発的または定期的な流行がみられます。日本国内での感染報告はまれですが、コレラが流行する地域に旅行した方が現地で感染し、帰国するケースが報告されています。また、まれにコレラ菌に汚染された輸入食品が原因と考えられる感染報告もあります。

下痢で失った水分や電解質を補う脱水に対する治療がもっとも重要で、特に経口補水液(ORS)によって口から水分と電解質を投与することの効果が高く、開発途上国でよく用いられています。医療資源があれば、点滴による脱水の治療も行われます。個人の予防としては、WHOなどはコレラワクチンを推奨していますが、日本では承認されたワクチンはなく、輸入ワクチンとして渡航外来などで接種できます。根本的な予防は、上下水道の整備などの衛生環境の改善が不可欠です。

原因

コレラの原因はコレラ菌と呼ばれる細菌感染です。コレラ菌にはさまざまな種類がありますが、その中でもコレラ毒素を産生する場合に発症して、特にO1コレラ菌またはO139コレラ菌が大規模な流行の原因となります。

感染経路は経口感染で、多くはコレラ菌に汚染された水や食物を口にすることで感染します。口から入ったコレラ菌は通常は胃酸で死滅しますが、死滅しなかったものが小腸に達すると、小腸で増殖してコレラ毒素と呼ばれる毒素を産生するようになります。このコレラ毒素が消化器の細胞内に侵入し、下痢などの消化器症状を引き起こすようになります。

胃酸が感染防御にはたらくため、胃切除手術を受けたことがある方、制酸剤を使用している方、また免疫の落ちる乳幼児や高齢の方などは、重症化への注意が必要です。

症状

コレラの主な症状は下痢と嘔吐で、潜伏期間は感染から1~2日以内です。

軽症で済む場合と重症化する場合があり、軽症の場合は軟便程度で、下痢がみられたとしても1日数回程度で済むことも多いです。

重症化した場合は突然大量の下痢と嘔吐が始まり、水分消失からショック状態、死に至ることもあります。下痢便は、米のとぎ汁様と呼ばれる特徴的なものです。粘液が混じった白色または灰白色の水様便で、生臭い臭いがします。

重症の場合は大量の下痢便によって高度の脱水状態が引き起こされます。これによって血圧の低下、肌の乾燥やしわがれた皮膚、意識低下、尿の減少や無尿などの症状がみられることもあります。また“コレラ顔貌”と呼ばれる特徴的な顔つきになることがあり、目が落ち込み、頬がくぼんだような顔つきになります。発熱はみられないことが多いです。

検査・診断

コレラ流行地への渡航があれば疑います。症状などからコレラが疑われた場合は、患者の便を用いた培養検査が行われます。培養検査の結果、コレラ菌の中でもコレラ毒素を産生する菌が検出されるとコレラと診断されます。

治療

コレラの治療では、大量の下痢や嘔吐によって失われた水分やナトリウムなどの電解質を補う治療が行われます。

水分や電解質を補う方法としては、グルコースや電解質を水に溶かした輸液を経口投与する方法や、静脈内に点滴する方法があります。中でも、1Lの水に塩化ナトリウム、塩化カリウム、グルコース、重炭酸ナトリウムをバランスよく溶かした経口輸液(経口補水液)は通称ORS(Oral Rehydration Solution)とも呼ばれ、開発途上国でも安価で作製が容易で効果が高いため、WHOによって推奨されています。

重症の場合はこれらの輸液治療に加えて抗生物質を使用することで、下痢の期間が短くなったり、菌の排出期間が短くなったりすることがあります。

予防

近年、日本ではコレラの国内感染はほとんどなく、ほぼ全てが流行地域での旅行者の感染です。流行地域では生水や生の食品を口にしないことや、飲食の前には手洗いを欠かさないことが予防につながります。

WHOでは、コレラの予防効果があるとしてコレラワクチンが推奨されていますが、日本では未承認で保険適用もありません。コレラ流行地域に渡航する場合でコレラワクチンの接種を希望する場合は、未承認の輸入ワクチンの取り扱いがある医療機関で相談が必要です。

公衆衛生的に予防するには、上下水道の整備などの衛生環境の改善が欠かせません。

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