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サイトメガロウイルス感染症
サイトメガロウイルス(CMV)とは、どこにでも存在するありふれたウイルスです。唾液、尿、血液などの体液を介して感染します。正常な免疫機能を持っている人がサイトメガロウイルスに感染すると、ときに肝...
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サイトメガロウイルス感染症(さいとめがろういるすびょう)

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
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2017 年 04 月 25 日
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概要

サイトメガロウイルス(CMV)とは、どこにでも存在するありふれたウイルスです。唾液、尿、血液などの体液を介して感染します。正常な免疫機能を持っている人がサイトメガロウイルスに感染すると、ときに肝炎などを生じることもありますが、風邪をひいた程度の症状でおさまってしまうことが多いです。

妊婦になってからサイトメガロウイルスに初めて感染すると、おなかの中の赤ちゃんに影響が及ぶことがあります。現在日本では、すでに抗体を持っている方が7割を占めるとされていますが、社会環境の変化に伴いその抗体保有率が徐々に低下していることが問題となっています。その結果、胎児に影響が及ぶことも増えてきています。

サイトメガロウイルスはヘルペスウイルスの仲間であり、ヘルペスウイルスの特徴をいくつか持っております。病気に関連して重要な性格は、一度感染すると症状を引き起こさない状態で体内に潜んでいる、という点です。普段は悪影響を及ぼすことはないのですが、ひとたび免疫機能が落ちてしまうとサイトメガロウイルスによる症状が明らかになってきます。そのため、ステロイドを長期間使用しているとき、骨髄移植をおこなったときなど、特殊な状況においてサイトメガロウイルスは注意すべき病原体です。

原因

サイトメガロウイルスはどこにでもいるウイルスであり、感染経路としては水平感染、母児感染の2つに大きく分けることができます。

水平感染

水平感染としては、唾液や尿を介した経気道・経口にて成立し、現在の日本において代表的な感染経路です。唾液や尿中には数年に渡ってウイルスが排泄されることから、集団生活が開始される年齢層(保育園児や幼稚園児)で感染します。

母児感染

母親がサイトメガロウイルスを保持していると、胎児や乳児にも感染することが知られています。血液を介して胎盤経由で赤ちゃんに感染する可能性や、出生時に産道を介して感染する可能性もあります。また、母乳中にもサイトメガロウイルスは分泌されており、母乳を介した感染様式もあります。

症状

サイトウイルス感染症の症状は、発症様式・時期に応じて大きく異なります。

先天性サイトメガロウイルス感染症

サイトメガロウイルに対して胎児が先天感染を起こしてしまうと、さまざまな神経障害(難聴・精神発達遅滞・運動障害・視力障害)や、発育障害・肝臓、脾臓の腫大を生じます。生まれる前から超音波検査で症状が確認できるケースもありますが、出生前や出生時には症状が現れず、感染していることに気付かれないことが多いです。

生後半年~数年以上経過したのち、耳が聞こえないなどの症状が出て初めて先天性サイトメガロウイルス感染症と診断されています。難聴は代表的な症状のひとつであり、先天性の難聴のうち、4分の1はサイトメガロウイルス感染症によるものともいわれています。なお、先天性の聴力障害は1000人に1人とされており、そのうち20%程度はサイトメガロウイルス感染症によるものであるという推定があります。

周産期以降の初感染に伴うサイトメガロウイルス感染症

幼児期を中心として、サイトメガロウイルスに感染することがあります。多くの場合は風邪のような軽度の症状であり、全く症状を呈さない(不顕性感染)こともあります。そのため、サイトメガロウイルスに感染したと気付かないことも多々あります。しかし、一部の症例において数週間持続する発熱・首のリンパ節腫脹・倦怠感・発疹などの症状を呈することもあります。また、黄疸(おうだん)が強くなることもあります。これらは、伝染性単核球症様の症状と呼ばれています。

再活性化に伴うサイトメガロウイルス感染症

臓器移植患者や、免疫抑制剤を使用している方、エイズを発症している場合には、サイトメガロウイルスの再活性化に伴う症状を呈することもあります。持続する発熱、インフルエンザ様の倦怠感や関節痛、筋肉痛が出現します。さらに、下痢や腹痛などの消化管症状・出血傾向・呼吸困難など全身のあらゆる臓器に関連した症状が生じます。

検査・診断

検査方法には大きく分けて(1)ウイルスの存在を同定する方法(ウイルス分離やウイルス抗原の確認など)、(2)ウイルスに対する抗体を確認する方法、の2つに分けることができます。これら検査を組み合わせながら、発症様式に応じてサイトメガロウイルス感染症は診断されます。

たとえば、先天性サイトメガロウイルス感染症の診断では、妊婦さんの血液検査にて、サイトメガロウイルスに対しての初感染が疑われる検査所見を認めた場合(サイトメガロウイルスに対するIgM抗体が検出された時)、新生児にもサイトメガロウイルスが感染していることが懸念されます。新生児の検査において、出生後2~3週間以内の尿からウイルスが分離されたり、ウイルス抗原が検出されたりした場合に確定されます。

それ以外の時期におけるサイトメガロウイルス感染症の診断は、必ずしも容易ではありません。先に挙げたウイルス分離、ウイルス抗原の確認、抗体検査を適宜組み合わせつつ、臨床症状や臨床経過を加味しつつ診断されます。

治療

サイトメガロウイルスの治療薬には点滴静脈注射と経口薬があります。妊娠中に感染が確認された際、有効性が確立された治療法はありません。一方生まれた赤ちゃんがサイトメガロウイルスに感染していることが判明した場合は、抗ウイルス薬で治療する方法があります。ただし、新生児に対する治療薬としては、いくつか問題点もあるため使用するかについては医師と相談し慎重に判断することが必要です。

先天性サイトメガロウイルス感染症の治療効果は限定的なこともあるため、感染予防策を講じることも大切です。サイトメガロウイルスは感染した幼児の唾液や尿に出てきます。妊婦がサイトメガロウイルスの初感染を生じる主な経路は、長子(上の子ども)を含む周囲の幼児や赤ちゃんだといわれています。上の子の育児に際して、おむつ交換、食事、鼻水・よだれを拭いたとき、おもちゃを触った後などは手洗いを心がけるようにしましょう。食事の際、同じ箸やスプーンを使用することは避け、口移しは行わないなどいくつかの注意点を守ることで、サイトメガロウイルス感染の危険性を大きく減らすことができます。

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