さるもねらかんせんしょう

サルモネラ感染症

同義語
サルモネラ症
最終更新日:
2023年04月20日
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2023/04/20
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概要

サルモネラ感染症は、サルモネラ菌と呼ばれる細菌に感染することによって発熱、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの胃腸炎症状を引き起こす病気のことです。多くは3~4日以内に自然に回復していきますが、乳幼児・小児、高齢者、免疫能低下者などではサルモネラ菌が血液中に侵入して全身に広がる“菌血症(きんけつしょう)”を引き起こし、腸管外の臓器に及び、重症化するケースも少なくありません。

サルモネラ菌は家畜や犬、猫、鳥、爬虫類(はちゅうるい)などのペットに広く生息している細菌であり、主な感染経路はサルモネラ菌が含まれる肉や卵を摂取することによるものです。また、ペットとの密な接触で感染するケースもあれば、サルモネラ菌が含まれる感染者の便を介して感染するケースもあります。

重症な場合には抗菌薬の投与や脱水を予防・改善するための点滴治療が必要になりますが、軽症や中等症の場合は特別な治療はせずに自然に回復するのを待つのが一般的です。

原因

サルモネラ感染症は、細菌の一種であるサルモネラ菌によって引き起こされる感染症です。サルモネラ菌は腸チフスパラチフスなどのチフス性疾患と非チフス性疾患を引き起こします。一般的にはサルモネラ感染症は後者を指し、本記事でも非チフス性疾患について説明します。

サルモネラ菌には2,000種類以上のタイプがあり、主にニワトリ、ブタ、ウシ、カモなどの家畜や野生動物、爬虫類、両生類などの腸の中に生存しており、便と共に体外へ排出されます。サルモネラ菌が含まれる肉や卵を十分加熱せずに摂取すること、サルモネラ菌が含まれる堆肥(たいひ)を利用した野菜を生食すること、不衛生な水を飲むことが人への主な感染経路であり、食中毒の原因菌とされています。

そのほか、犬やカメなどのペットとの密な接触が原因となることもあり、アメリカでは1970年代にペットのカメが原因となってサルモネラ感染症が流行し、販売が禁止され、感染は終息したこともありました。

また、サルモネラ菌の感染者の便にはサルモネラ菌が排出されるため、それを介して感染が広がるケースもあります。

症状

サルモネラ感染症では、一般的に8~48時間程度の潜伏期間を経て38℃以上の発熱、お腹の痛み、吐き気、嘔吐、下痢、血便などの症状が現れます。下痢は水様便(すいようべん)、時に緑色便、血便を表し、1日に十数回みられることも少なくありません。そのため、乳幼児・小児や高齢者などは脱水になることもあります。乳幼児や小児はサルモネラ菌に比較的高い感受性があります。

多くは3~4日以内に自然に回復しますが、免疫力が低い場合などにはサルモネラ菌が血液中に入り込み全身に広がる菌血症を引き起こし、肝、腎、関節、肺、骨などに炎症や(のうよう)((うみ)の塊)を起こして肝障害、腎障害、関節炎骨髄炎(こつずいえん)などの腸管外症状を表すこともあります。また、サルモネラ菌は特に動脈硬化を伴う心臓の弁や大動脈に感染しやすく、息切れ、胸痛、動悸などの症状を引き起こすことも報告されています。

検査・診断

サルモネラ感染症が疑われる場合は以下のような検査が行われます。

血液検査

炎症や脱水の程度などを評価する目的で血液検査を行うことが一般的です。

便検査

便の中にサルモネラ菌が含まれているか調べる検査です。サルモネラ感染症の確定診断に必要となりますが、菌血症を起こしているような場合には血液中にサルモネラ菌が含まれていないか調べる検査を行うこともあります。

治療

サルモネラ感染症は頻回な下痢によって脱水が生じるような重症な患者以外は抗菌薬の投与などによる治療は行わず、症状や脱水に対する対症療法のみを行い、水分摂取などを促して症状が自然に改善していくのを待つことが一般的です。止痢薬(下痢止め)は原則使用しません。

一方、乳幼児・小児や高齢者など比較的症状が重い患者、菌血症などを表している患者、免疫力が低下している患者、人工血管や人工弁が入っている患者などには、抗菌薬の投与や脱水を改善するための十分な点滴治療などが必要となります。

予防

サルモネラ感染症の多くはサルモネラ菌に汚染された食品を摂取することで引き起こされます。発症を予防するには、肉などにはしっかり火を通すこと、卵を生で食べる場合は消費期限内かを確認すること、料理をするときや食事をするときには手洗いを徹底すること、料理器具の衛生を保つことなど一般的な食中毒対策が必要です。

また、サルモネラ菌はペットを介して感染することがあるため、ペットの糞便の管理や接触後の手洗いなどに注意しましょう。

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