じあるじあしょう

ジアルジア症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

ジアルジア(Giardia lamblia)と呼ばれる原虫に感染することから発症する病気です。ジアルジア症を発症すると、下痢を中心とした症状が出ます。ジアルジアは糞便中に含まれており、それが何らかの形で口に入ることで感染が広がります。衛生環境の整っていない発展途上国での生活は、ジアルジア症発症の危険性を高めます。また、同性愛者間においても発症しやすいと考えられます。

ジアルジア症の感染者数は世界中で数億人に達するとされとおり、特に熱帯・亜熱帯における発症例が多くを占めますが、衛生環境が整った現在の日本における発症数は少ないです。ジアルジア症は感染症法において全数把握の5類感染症に指定されており、近年では年間100件弱で推移しています。多くは海外からの持ち込み例であると考えられています。

ジアルジア症は日本おいて多くはない疾患ですが、全世界ではまだまだ感染制御ができていない病気です。発症した場合にはメトロニダゾールなどでの治療が行われますが、予防策を講じることも大切です。感染が流行している地域へ赴く際には、原虫に汚染されている可能性を考慮して水・食物を摂ることが重要です。

原因

ジアルジア症は、原虫の一種であるジアルジア(Giardia lamblia)に感染することを原因として発症します。Giardia lambliaは、ランブル鞭毛(べんもう)虫とも呼ばれています。ジアルジアに汚染された水や食べ物、感染者の糞便に触れ、ジアルジアを口から摂取することで感染します。体内に取り込まれたジアルジアは、消化管内で成熟し再度糞便に排泄され、さらに感染が拡大することとなります。

ジアルジアは、環境中では「嚢子(のうし)」と呼ばれる形態で存在しています。嚢子でのジアルジアは非常に安定性が高く、数か月の間感染性を保持するとの報告もあります。また、10〜25個といった極少量の嚢子を体内に取り込むだけで感染することも知られています。

症状

原因となる病原体を摂取してから1〜2週間の潜伏期間を経た後に下痢を主要症状として発症します。下痢は基本的には水様性もしくは泥状便、脂肪便であり、血液が混じることはありません。下痢の回数は数回から20回以上とさまざまです。下痢以外にも消化器症状として吐き気や腹痛をみることもあります。その他、下痢に伴う脱水、体重減少なども起きることがあります。

病原体を摂取しても必ずしもジアルジア症を発症するとは限りません。むしろ健康な方では症状が出ないこともまれではありません。しかし、無症状であるから大丈夫というわけではなく、病原体を周囲にまき散らし感染源となりうるという観点から、集団衛生的には大きな問題となりえます。

その一方、免疫機能が低下した方が罹患すると症状が重篤になる傾向があります。ジアルジア症は同性愛者において発症しやすく、HIV保持者にみることもまれではありません。エイズ発症時には重篤になりやすいため、注意が必要です。腸管内の免疫状態は、IgAを中心とするガンマグロブリンが重要な役割を担っています。したがって、分泌型IgA低下症や低ガンマグロブリン血症といった病気を有する方がジアルジア症を発症した場合にも、病状が重篤化しやすいため注意が必要です。

検査・診断

ジアルジア症の診断は、顕微鏡下での病原体の証明(ジアルジア症の病原体は大きさの関係から顕微鏡で観察することが可能です)、酵素抗体法やイムノクロマト法による病原体抗原の証明、PCR法による病原体遺伝子の検出、によってなされます。検体として用いるのは糞便が主流になります。ジアルジア症では、脂肪便や腹痛などといった胆嚢炎(たんのうえん)に類似した症状を呈することもあり、精査の一環で胆汁を採取することもありますが、胆汁中にも病原体を確認することができます。

治療

メトロニダゾールやチニダゾールなどニトロイミダゾール系の薬剤が用いられます。エイズ、分泌型IgA低下症や低ガンマグロブリン血症などの患者さんは症状が重篤化する可能性があるため、積極的に病気を疑い治療を行うことが重要です。

ジアルジア症は病原体を口から摂取することで発症します。そのため、ジアルジアに汚染されている環境に赴く際には、予め予防策を講じることが重要であるといえます。具体的にできる予防策としては、徹底した手洗いです。また、発展途上国などでは水や食物がジアルジアで汚染されている可能性もあるため、消毒や調理状況の不明なものについてはむやみに摂取しないよう心がけることも大切です。性交渉を行うときにも、大便に触れるような行為を避けることが重要です。また、ジアルジアは水環境中で長い間感染性を保って生息しています。そのため、汚染が疑われる水辺において、むやみに水泳をすることは避けたほうがよいでしょう。

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