概要
バルサルバ洞動脈瘤とは、「バルサルバ洞」とよばれる部分が大きく拡張してしまった状態です。バルサルバ洞は、心臓につながる大動脈の付け根の部分(大動脈基部)にある大動脈弁の上の膨らんでいる部分を指します。比較的まれな疾患ですが、血管壁が薄くなった動脈瘤は破裂する危険性があり、破裂した場合は手術による治療が必要になってきます。
症状
バルサルバ洞動脈瘤が存在しているだけでは、基本的には症状はなく、心エコー検査などで偶然発見されることがあります。しかし、バルサルバ洞動脈瘤は心室中隔欠損症や大動脈弁閉鎖不全症といった心臓の形態的な異常を合併している場合が多く、これらの疾患により心不全を引き起こし、息苦しさなどの症状が出ることがあります。また、壁が薄くなったバルサルバ洞動脈瘤が破裂してしまった場合は、胸痛や急激な呼吸困難、動悸などの重篤な症状が現れます。
検査・診断
心臓超音波検査
心臓超音波検査により、バルサルバ洞動脈瘤の大きさや形などを把握することができます。また、動脈瘤の破裂の有無も評価することが可能です。前述したような心室中隔欠損症や大動脈弁閉鎖不全症の有無を確認することができます。患者さんへの負担も少なく、診断には非常に有用な検査です。
CT検査・心臓カテーテル検査
心臓超音波と併せてCT検査や心臓カテーテル検査を行い、バルサルバ洞動脈瘤の大きさや形、破裂の有無をより詳細に診断することができます。検査では造影剤を用いる必要があるため、アレルギーの副作用の可能性があります。
治療
バルサルバ洞動脈瘤の治療は、破裂した場合は基本的に手術治療が選択され、薄くなっている血管壁を切除して、破裂した部分をパッチで塞いで修復します。
破裂していない場合の手術適応に関しては、2018年現在、確立された指針はまだありません。しかし、動脈瘤が大きかったり、動脈瘤の拡張ペースが速い場合、合併する心室中隔欠損症や大動脈弁閉鎖不全症により心不全症状が出現している場合には手術治療が選択されることもあります。これらに当てはまらない場合は、心臓超音波などの検査を定期的に行い、経過観察をします。
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関連の医療相談が5件あります
めまいで受診したところ脳動脈瘤が見つかり、経過観察と言われた
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腹部のしこり
2ヶ月ほど前に気づいたのですが、寝転んでおへそ付近を押すと固いしこりのようなものがあります。脈を打っている感じです。左下にもしこりのようなものがあります。 おへその下のものは、5秒ほど圧迫するとじわっと足の付け根あたりにかけてあたたかいものが流れる感じがあります。鎖骨のくぼみを圧迫した時のじわっとした感覚です。 このしこりのようなかたいものはコリコリしています。内蔵の一部なのかしこりなのか正常なのか分からず心配です。
未破裂脳動脈瘤の治療に関して
10年ほど前に脳底動脈に脳動脈瘤を指摘され、高血圧、高脂血症の薬を内服中でございます。頸部の動脈狭窄もあるため、抗凝固剤も内服しております。 ここ数年で動脈瘤の大きさが2倍くらいになり、現在の大きさは5~6mmです。大きさはさほど問題は無いようなのですが、瘤の形が突き出ている角?のようなものが数カ所あり、それも大きくなっているとのことで、何らかの治療を勧められました。 しかし、動脈瘤の位置が開頭では確認しにくい位置にある為クリッピングは難しく、コイリングが最も良いだろうと言われました。コイリングに関しても、これ以上ネックが大きくなったら難しくなるとのことです。 一番問題なのが、ヨード過敏症があると言うことです。 40年以上前の腎結石の際の造影で、全身に湿疹が出来、ヨード過敏を指摘されました。そのため、どこの病院に行っても治療は出来ないと言われてしまいます。 何か良い方法はないものかと悩んでおります。 私の叔母が40歳代でくも膜下出血で、母が脳出血で亡くなっていること、高血圧の持病もあり、時々血圧が220以上まで跳ね上がる事もあるため、何とか治療できたらと願っております。 何か良い方法があればご教授頂きたく、ご相談させて頂きました。 よろしくお願いいたします。
クモ膜下出血はどのような人がなるのでしょうか?
先日、友人のお母さんがクモ膜下出血で亡くなったという話を聞きました。発見が遅く、発見されたときにはすでに亡くなっていたそうです。私には一人暮らしの母が地元にいるのですが、この話を聞いてから母が突然、倒れるのではないかと心配になることがあります。クモ膜下出血って、そもそもどのような人がなるのでしょうか?ならないように気を付けることができるのでしょうか?
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