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バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症とは、バンコマイシンという薬剤に対するに耐性を示す黄色ブドウ球菌による感染症を指します。バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)は、2002年アメリカ合...
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バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症ばんこまいしんたいせいおうしょくぶどうきゅうきんかんせんしょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症とは、バンコマイシンという薬剤に対するに耐性を示す黄色ブドウ球菌による感染症を指します。バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)は、2002年アメリカ合衆国ミシガン州で初めて同定された細菌です。

このことを受け、日本では2002年から全数把握対象の5類感染症の一つに指定されていますが、2017年段階ではいまだ報告例はありません。国内でバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症の報告例がないにもかかわらずVRSAが取りざたされるのは、バンコマイシンの効き目が悪いことが大きな理由です。

これまでの黄色ブドウ球菌であれば、バンコマイシンを使用することで治療が期待できましたが、VRSAではバンコマイシンによる治療効果が失われているため、黄色ブドウ球菌感染症が重症化する懸念が強くなります。抗生物質の開発と薬剤耐性菌の出現はいたちごっこの側面もありますが、そうした流れの中で登場したVRSAには、今後も注意深く動向を見守ることが重要でしょう。

原因

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症は、VRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)による感染症を指しますが、vanA遺伝子と呼ばれる遺伝子が原因となって薬剤耐性を獲得したものと考えられています。vanA遺伝子は、もともとの黄色ブドウ球菌が有しているものではなく、腸球菌(Enterococcus faecalis)が有するvanA遺伝子が黄色ブドウ球菌に移り込んだものであると考えられています。

黄色ブドウ球菌は細胞壁を有する細菌で、治療薬のバンコマイシンは細胞壁の構成成分と結合して細胞壁の形成を阻害する働きがあります。しかし黄色ブドウ球菌がvanA遺伝子を有するにようになると、細胞壁の構成成分の形状が変化してバンコマイシンが結合できなくなり、細胞壁の形成阻害を受けにくくなります。その結果、バンコマイシンが存在する状態でも細胞壁の形成に支障が生じなくなるため、黄色ブドウ球菌は生存することが可能になります。

外来性にvanA遺伝子を有するようになるVRSAですが、vanA遺伝子を取り込みやすいタイプの黄色ブドウ球菌があることも知られています。黄色ブドウ球菌にはMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)と呼ばれるタイプの黄色ブドウ球菌がありますが、MRSAの中でも内部にpSK41 と呼ばれるプラスミド(染色体以外の細胞質内DNA)をもつ黄色ブドウ球菌がvanA遺伝子を取り込みやすいと考えられています。

黄色ブドウ球菌そのものは、皮膚や髪の毛などに広く常在する菌ですが、pSK41プラスミドを有するMRSAはどの地域でも多く存在するタイプではありません。コミュニティによって汎用性の高い黄色ブドウ球菌のタイプは異なっていることから、VRSAの発生に地域差がうまれることも指摘されています。

症状

バンコマイシ耐性ブドウ球菌感染症は、黄色ブドウ球菌による感染症としての臨床症状を見ることになります。これまでに報告されている症例からは、皮膚軟部感染症や骨髄炎、皮膚壊疽、外科手術後の傷部感染症、壊死性筋膜炎などがあります。これらの病態は一般的な黄色ブドウ球菌としても矛盾のないものです。

バンコマイシン耐性ブドウ球菌感染症は、健康な方よりも、糖尿病などの免疫不全状態がある方のほうが増悪しやすいです。また、MRSAの保菌やバンコマイシン投与歴などでも、感染症が引き起こされやすくなるという指摘もあります。

検査・診断

バンコマイシ耐性ブドウ球菌感染症は、培養検査に関連して行われる薬剤感受性検査をもとにして診断されます。通常の黄色ブドウ球菌は、バンコマイシンに対して薬剤感受性は保たれていますが、VRSAは検査上耐性を示すようになります(MIC(最小発育阻止濃度)と呼ばれる指標を用いて、薬剤濃度が16μg/mlでも細菌は増殖します)。

治療

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症では、バンコマイシンによる治療を行うことができません。他の薬剤耐性との関連もありますが、ミノサイクリンやST合剤、リネゾリドなどの別の薬剤で治療を行います。なおこれら薬剤は通常、黄色ブドウ球菌感染症の第一選択としては使用される薬剤ではありません。そのため、薬剤感受性結果を評価することが必要不可欠になります。

またVRSAが検出された場合、周囲への波及を防ぐことも重要になります。感染者の傷口や膿などには大量のVRSAが存在しているため、これら部位には接触しないことが重要です。医療従事者も手袋、手洗いの徹底といった接触感染予防策を取ることが求められています。

1940年代にペニシリンが開発されて以降、黄色ブドウ球菌の薬剤耐性は進行しています。1997年に世界で初めてMRSAが検出されてからは、MRSAが医療機関だけではなく市中内においても急激な広がりを見せるようになりました。VRSAの波及は現在までのところ強くはありませんが、今後もその動向に注目することが必要であるとされています。