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フェニルケトン尿症
フェニルケトン尿症とは、先天性代謝疾患のひとつであり、アミノ酸の一種類であるフェニルアラニンをうまく代謝できないことから発症する病気を指します。現在の日本におけるシステムでは、赤ちゃんが出生して...
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フェニルケトン尿症ふぇにるけとんにょうしょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

フェニルケトン尿症とは、先天性代謝疾患のひとつであり、アミノ酸の一種類であるフェニルアラニンをうまく代謝できないことから発症する病気を指します。現在の日本におけるシステムでは、赤ちゃんが出生してから数日経ったのちに、産院に入院の間に血液検査を行います。この検査を通して先天的な病気を持っていないかどうかを確認するのですが(新生児マススクリーニングと呼びます)、フェニルケトン尿症もこの対象疾患のひとつに含まれています。
マススクリーニングを通して症状が出現する前にフェニルケトン尿症を診断されることも多く、日本全国で500人ほどの患者さんがいると推定されています。なお国内における発生率は8万人に1人と言われています。
治療介入がうまくいかないと、フェニルケトン尿症にともなう、さまざまな合併症が生じます。こうした合併症を未然に防ぐためにも、過剰なフェニルアラニンを摂取しないような食事療法が必要になります。適切な食事療法を行うことで、健康な人と遜色のない生活を送ることは十分期待できる疾患です。

そのほか、こちらの記事も参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/170626-004-HV

原因

人が体外から摂取するたんぱく質は、さまざまな種類のアミノ酸が含まれています。そのひとつに「フェニルアラニン」と呼ばれるアミノ酸を挙げることができますが、フェニルアラニンを適切に体内で利用するためには、「フェニルアラニン水酸化酵素」と呼ばれる酵素が必須です。この酵素を産生するのに深く関わる遺伝子として「PAH遺伝子」がありますが、この遺伝子に異常が生じることでフェニルケトン尿症は発症します。
PAH遺伝子異常があると、フェニルアラニン水酸化酵素の働きが障害を受け、その結果フェニルアラニンの代謝が適切に行われなくなってしまいます。フェニルアラニンが過剰に体内で蓄積すると、脳細胞に障害を引き起こすようになり、けいれんを始めとした重篤な症状が出現します。
フェニルケトン尿症の遺伝形式は、「常染色体劣性遺伝」と呼ばれます。この遺伝形式は、典型的には両親が病気の保因者となります。すなわち人の細胞にはPAH遺伝子が2本ありますが、1本が異常、もう片方が正常遺伝子といった状態です。もしお子さんが両親から一本ずつ異常な遺伝子を受け継ぐと、結果として二本ともが異常な遺伝子を有することになり、フェニルケトン尿症を発症することになります。


そのほか、こちらの記事も参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/170626-004-HV

症状

フェニルケトン尿症は、現在の日本においては新生児マススクリーニング対象疾患となっていることから、病状が進行した重篤な症状で発見されることは少ないです。また、フェニルケトン尿症が発症するにはたんぱく質に含まれるフェニルアラニンが蓄積するまでの時間が必要なこともあり、新生児期にはほとんど症状はなく生後数か月間は健康な乳児と遜色はありません。
脳細胞はフェニルアラニンに対して感受性が高く、神経組織はフェニルアラニンによる障害を受けやすい臓器になります。そのため、血液中のフェニルアラニン値の高値が持続すると、哺乳障害やけいれん、発達遅滞などの神経症状を発症することになります。長期的には知的面や行動面にも影響を及ぼすようになります。
血液中に蓄積したフェニルアラニンはネズミ尿臭のあるフェニルケトン体として尿に排泄され、そのため「フェニルケトン尿症」と呼ばれます。また赤毛や色白などの色素欠乏症を引き起こします。
なお、お母さんがフェニルケトン尿症を抱えている場合、食事療法がうまくいっていないと、赤ちゃんがお母さんのお腹の中で過剰なフェニルアラニンに暴露されることになります。その結果、赤ちゃんそのものはフェニルケトン尿症を抱えていないにもかかわらず、成長障害や発達障害、小頭症や心疾患などといった症状が赤ちゃんに出現することもあります。


そのほか、こちらの記事も参照ください
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検査・診断

フェニルケトン尿症は、新生児マススクリーニングの対象疾患になっています。フェニルケトン尿症は1977年からスクリーニングの対象疾患でありましたが、現在は県にもよりますが30種類弱もの先天性疾患が対象として検査されています。検査自体は簡便であり、母乳もしくはミルク摂取が開始された生後数日、産院で入院している赤ちゃんが対象に行われ、足の裏から血液を採取して一括に検査が行われます。この検査では、血液中に過剰なフェニルアラニンが存在しないかどうかを検索します。その他PAH遺伝子異常の検索や負荷試験を行うこともあります。


そのほか、こちらの記事も参照ください。
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治療

フェニルケトン尿症の神経障害が発生すると、不可逆的な障害を残してしまいます。そのため治療の主眼は合併症を予防することであり、食事からのフェニルアラニンの摂取量を抑えることが重要です。全年齢層を通じて、フェニルアラニンを除去した特殊ミルクが活用されています。 また、野菜や芋、果物を中心とし低タンパク食を導入することも有効です。その一方でフェニルアラニンは成長には必要不可欠なアミノ酸でもあるため、完全に除去するのではなく適正量を摂取することも必要です。
食事療法は生涯を通じて行う必要があります。妊娠を含むライフイベントに際して、適切なコントロールや周囲の理解も必要になる場面も多いです。
一部のタイプのフェニルアラニンの患者さんでは、テトラヒドロビオプテリンと呼ばれる薬が適応になることもあります。


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