クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
Noimage s500x350
プラダー・ウィリ症候群
プラダーウィリ症候群とは、複数の遺伝子のはたらきが失われることから発症する先天的な疾患を指します。出生後間もなくから筋力が弱く、哺乳障害や運動面の発達の遅れをみます。年齢と共に過食・肥満が認めら...
Male consulter resolved
クリップに失敗しました

プラダー・ウィリ症候群ぷらだー・うぃりしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
掲載しました。
閉じる

概要

プラダーウィリ症候群とは、複数の遺伝子のはたらきが失われることから発症する先天的な疾患を指します。出生後間もなくから筋力が弱く、哺乳障害や運動面の発達の遅れをみます。年齢と共に過食・肥満が認められるようになり、精神発達面でも多くの症状を生じるようになります。食事に対する欲求はとても強く、2型糖尿病を成人期初期の段階から発症することもまれではありません。
日本における発症率は1万5千人に1人と報告されています。2015年7月からは難病指定を受けており、本疾患に対しての理解が進むことが期待されます。

原因

人の細胞には性別に関係なく1番から22番目まで染色体が存在していますが、両親からそれぞれ1本ずつ遺伝を受けることから、同じ番号の染色体がそれぞれ2本認められます。このうち、15番目染色体の一部の領域に位置する遺伝子については、父親由来の遺伝子群のみが働くように制限されています。このことを「インプリンティング」と呼び、正常な細胞活動で見られる現象です。
しかしプラダーウィリ症候群では、こうした父親由来の複数の遺伝子群が一括に働きを失うことで生じる病気です。70%前後の方においては、父親由来の遺伝子群が「欠失」と呼ばれる形で失われています。25%ほどのかたにおいては、当該遺伝子群が母親のみから遺伝を受けており、その結果、正常な細胞活動に必要な父親由来の遺伝子群が失われています。この現象のことを、「片親性ダイソミー(UPD:Uniparental disomy)」と呼びます。残りは、先のインプリンティングがうまくいかなくなっている状態などが含まれます。先の2つ(欠失とUPD)に関しては遺伝性は認めるものではありませんが、インプリンティングの異常に関連したプラダーウィリ症候群は、遺伝性があると考えられています。
プラダーウィリ症候群で働かなくなる遺伝子は決してひとつではなく、複数の遺伝子が一括して働かなくなっています。複数の遺伝子群(たとえば、OCA2遺伝子など)が機能を失うことから、プラダーウィリ症候群でみられるような、さまざまな症状が出現すると考えられています。

症状

プラダーウィリ症候群では、出生後に筋力が弱いことから気付かれることがあります。プラダーウィリ症候群のお子さんは「フロッピーインファント」と呼ばれ、全体的に筋力がなく、だらんとした姿勢を取ります。筋力が弱いことと関連して呼吸がうまくできず、自力で母乳やミルクを飲むことができません。筋力が弱いことも関連して運動面の発達が遅れることも多く、自立歩行が可能になるのは3歳前後であることが多いです。
同年齢時期になると食欲の抑制が難しくなってきます。食べても食べても食欲が満たされることはなく、周囲の介入がなければひたすら食べ続けます。その結果、肥満、成人期早期における2型糖尿病や睡眠時無呼吸症候群の発生が見られます。食べ続けることに加えて、唾液の分泌量も少ないことから、虫歯になることも多いです。
知的・精神発達にも遅れが見られることがあります。幼児期は人懐っこいのですが、徐々にかんしゃくや頑固さ、完璧を求める性質などが増えてきて、問題行動を生じ集団生活で困難さを覚えることもあります。
そのほか、低身長を認めることも多く、また皮膚をかきむしる、体温調整が苦手などの症状を見ます。性腺機能に異常を認めることも多く、不妊を生じることもあります。痛みに鈍感な傾向もあり、肺炎などの病気が重症化してしまうこともままあります。


そのほか、こちらの記事も参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/170529-001-GW
https://medicalnote.jp/contents/160822-003-NE

検査・診断

プラダーウィリ症候群の診断は、原因の項目で述べたような「欠失」や「UPD」、「インプリンティングの異常」を検索することで同定されますが、血液検査で発見することが可能です。遺伝子の一部領域が欠失している場合ついては、「FISH法」と呼ばれる方法をとることで診断が可能です。そのほかのものについては、「メチル試験」と呼ばれるもので検索をされます。
プラダーウィリ症候群の症状は全身多岐に渡り、例えば糖尿病や高血圧、睡眠時無呼吸症候群を生じることもあります。これらをより特異的に評価するための血液検査や生理学的な検査が行われることもあります。


そのほか、こちらの記事も参照ください。
ttps://medicalnote.jp/contents/170529-001-GW
https://medicalnote.jp/contents/160822-003-NE

治療

新生児期・乳児期プラダーウィリ症候群では、呼吸障害や哺乳障害をみることがあります。一時的にせよ、何かしらの呼吸補助や経管栄養が必要になることもあります。成長と共に哺乳障害はなくなり、逆に過食傾向を認めるようになります。この段階になると本人のみでは食事摂取に関してのコントロールが利かなくなるため、周囲の大人が意識して介入することが必要になります。具体的には、成長に必要なカロリーを満たす分の食事を提供するようにし、家の中では目のつくところに食べ物をおかないような工夫も必要です。肥満を防ぐことで、将来的な糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症候群の発症を予防することにつながります。もしこうした合併症を認めた場合には、それぞれ内服薬や呼吸補助などが適応になることもあります。
幼少期を含めて成長段階で風邪を引くことも多いです。プラダーウィリ症候群のお子さんは症状を我慢する傾向にあるため、肺炎にならないような早期介入が必要です。肺炎になったり重症化した場合には抗生物質が適応になりますし、ワクチン接種での予防も有効です。
運動精神発達面での遅れを見ることもあるため、年齢に合わせて適宜介入することが大切になります。特に学童期以降においてはかんしゃくや頑固さなどが全面に出てきて、集団生活に影響を見ることもあります。親御さんを含めた周囲のサポート体制がさらに重要になります。


そのほか、こちらの記事も参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/170627-007-EK
https://medicalnote.jp/contents/150812-000021-FLINIE
https://medicalnote.jp/contents/160310-009-QV