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ペスト
ペストとは、Yersinia pestisという細菌(通称:ペスト菌)により引き起こされる感染症のひとつです。 ペスト菌はネズミやノミの体内に生息しており、ペスト菌を持つネズミやノミに咬ま...
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ペストぺすと

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

ペストとは、Yersinia pestisという細菌(通称:ペスト菌)により引き起こされる感染症のひとつです。

ペスト菌はネズミやノミの体内に生息しており、ペスト菌を持つネズミやノミに咬まれることでヒトにも感染します。また、空気中に漂うペスト菌を吸い込むことでも感染が成立します。

歴史的には、記録の残る限り3回の世界的大流行が発生し、多くの死亡者が出たことが知られています。

エジプト(西暦541年)、ヨーロッパ(西暦1346年:14世紀には「黒死病」として知られ、推定で5000万人が死亡する原因になったとされています)、インド・中国(西暦1855年)

現在は治療薬の普及や環境整備などが進み、上記のような規模での大流行は発生していません。しかし、世界では散発的な発生例が報告されており、死亡者も決して少なくはありません。現在は、コンゴ民主共和国、マダカスカル、ペルーからの患者発生報告が多いです。

日本では、19世紀末から20世紀初頭にペストが流行しましたが、ペスト菌の発見者のひとりである北里柴三郎の指導もあり、1926年以降の発生例はないとされています。

しかし、国際化が進み、ペスト菌に感染した動物との接触機会も残されているため、引き続き注意する必要があります。

原因

原因となるペスト菌(Yersinia pestis)は、以下の感染経路を辿り感染します。

  • ペスト菌に感染したネズミやノミなどに咬まれることによる感染
  • 空気中に漂うペスト菌を含んだ飛沫を吸い込むことによる飛沫感染

ペスト菌は肺にも感染することが知られており、咳や唾液などを通して空気中に散布されることがあります。また、飛沫感染により近くにいる人から人へとうつることもあり得ます。また、ペスト菌は犬や猫などにも感染することがあり、飛沫感染により人に感染することもありえます。

この他にも、感染者や動物の屍骸、感染組織に接触することで感染した例が報告されています。

症状

ペストの形態は、腺ペスト、肺ペスト、敗血症ペストの3つに分類されます。症状はそれぞれの形態に応じて異なります。

腺ペスト

主にノミに咬まれることで発症するペストです。歴史的な大流行とも深く関連する形態です。体内に入り込んだペスト菌は、リンパの流れにのりリンパ節内で増殖します。1~7日ほどの潜伏期間の後に、突然の高熱、悪寒、頭痛、痛みを伴うリンパ節の腫れ(鼠径部が腫れることが典型的です)が発生します。

腺ペストの治療がうまくいかないと、ペスト菌はさらに全身へ広がり、各種臓器に関連した症状を生じるようになります。ペスト菌が肺に到達すると肺ペストとなります。

肺ペスト

肺ペストは、腺ペストから移行することもあります。また、肺ペスト患者の唾液や咳などを介した飛沫感染により発症することもあります。肺ペストの潜伏期間は1~4日程度とされます。発熱や悪寒に加え、咳、痰、胸痛など、呼吸器に関連した症状が現れます。

敗血症ペスト

敗血症ペストは、腺ペストや肺ペストに続いて起こることがあります。全身にペスト菌が広がっている状態であり、発熱、悪寒、腹痛、出血傾向などをきたし、死に至ることもあります。出血傾向に関連し、足先や指先、鼻などの皮膚に出血斑という黒っぽいあざが生じることもあります。

検査・診断

ペストの診断は、血液、痰、リンパ節から膿などを採取し、原因となっているペスト菌を確認する検査を経てなされます。その他、ペスト菌が有する特別な遺伝子を検出するPCR法、患者さんの血液中に存在する抗体を検出する方法がとられることがあります。

WHOのサポートにより、15分前後でペスト菌を検出できる迅速キットが普及している地域もあります。

治療

ペストに対しては抗生物質を使った治療の効果が高いことが知られており、後遺症を残すことなく治療することが可能です。

主に以下の抗生物質が使用されます。

  • アミノグリコシド系
  • テトラサイクリン系
  • クロラムフェニコール
  • ニューキノロン系

など

ただし、これらの抗生物質は、小児においては安全性が確立されていません。そのため、使用には慎重な姿勢が必要であるといわれています。

予防

ペスト菌は、患者のリンパ節から排出された膿、痰のなかにも生息しています。ペスト菌を含んだ膿や痰と接触しないよう、治療にあたる医療者は手袋やマスクを着用することが重要です。

また、ネズミの死骸などにもペスト菌が残っていることがあるため、死骸の取り扱い時には手袋をするなどの感染対策を講じる必要があります。

ペスト発生国への滞在時には、小動物の屍骸をみつけても接触を避け、ノミに刺されないようスプレー型の殺虫剤を使用するなど、予防対策を取ることなどが大切です。

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