ぺるてすびょう

ペルテス病

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

ペルテス病とは、小児期の大腿骨頭に発生した血行障害により骨頭の壊死が生じ、股関節に痛みを来す病気です。ペルテス病では、股関節の痛みはゆっくりと増悪しますが、早期に治療介入をしなければ永続的な障害を残すこともあります。

就学前後の4〜8歳を好発年齢とする病気で、男児の発症率が女児よりも5倍ほど高い傾向があります。患者さんの特徴として小柄で多動傾向のあることが挙げられますが、すべての患者さんがこの特徴を有するわけではありません。

原因

股関節は、大腿骨の上端にある大腿骨頭と呼ばれる部分が、骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)と呼ばれる部位にはまり込み、形成されています。大腿骨頭には「成長板(せいちょうばん)」と呼ばれる部位が存在しており、その名前から想像される通り骨が成長する基となる軟骨が存在する部位です。

小児の大腿骨頭は成長板を隔てて大腿骨の骨髄とは離れており、大腿骨頭への血液供給が不十分になりやすいことが挙げられています。しかし、大腿骨頭への血液の供給が不足するメカニズムは、未だ不明です。血液供給が不十分な状態が持続すると、大腿骨頭の骨細胞が死んでしまいます(細胞の壊死(えし)と呼びます)。壊死が生じるとと、大腿骨頭が潰れて変形するようになり、正常な股関節の機能を保てなくなります。血液の流れは時間経過とともに改善することもありますが、ひとたび大腿骨頭が変形をきたすと、修復はより困難になります。

症状

患者さんは股関節の痛みを訴えます。しかし、必ずしも股関節痛のみではなく、膝の痛みが初発症状となることも多い点が重要です。痛みの性質は、数日のうちに完成するような急性のものではなく、数か月の時間をかけて徐々に増強することも特徴です。

そのほか、太股の痛みや歩行困難が生じることもあります。ペルテス病が進行すると大腿骨頭や大腿骨頚部に変形が生じることもあり、これを反映して病気が発症している側の足(患肢)が、健康な側の足と比べて短くなることもあります。痛みをかばって歩行することから、患肢が細くなることもあります。

検査・診断

ペルテス病の診断では、まず股関節のレントゲン写真を撮影します。ペルテス病の場合、大腿骨頭の変形が確認されます。しかし病初期においては大腿骨頭の変形がはっきりしないこともあり、注意が必要です。

数か月おきに画像検査を行うことで、徐々に変形が明らかになることもあります。レントゲン写真が正常であっても、病歴からペルテス病が強く疑われる場合においてはMRIと呼ばれる画像検査が用いられます。典型的なペルテス病のMRIでは、大腿骨頭の壊死を疑わせる信号変化が観察されます。MRI検査は確定診断に有用かつ、壊死の範囲を明確に描出することが可能であり、治療方針の決定についても有力な情報になりえます。

同じように股関節の痛みを生じる病気として、単純性股関節炎、化性股関節炎、若年性リウマチ、大腿骨頭すべり症などがあります。これら疾患とペルテス病を鑑別するために、画像検査に加えて血液検査が併用されることもあります。

治療

ペルテス病の治療目標は、大腿骨頭への血流を改善させ大腿骨頭の変形を防ぐことにより将来的な股関節の変形を避けることです。年齢や重症度に応じて、注意深い経過観察、安静、松葉杖、装具、手術などの治療法を選択します。

特に5歳未満のお子さんでは自然治癒傾向があることが知られており、重症度にもよりますが積極的な治療介入をせず経過観察が選択されることがあります。

変形を来す大腿骨頭を骨盤側の受け皿(寛骨臼)に包み込ませるような位置に保つことを目的として、装具を使用します。装具の使用は長期間に渡ることもありますが、必ずしも運動がすべて禁止されるわけではなく、大腿骨頭の位置関係が正常に保てている場合には運動や荷重が許可されることもあります。個々の症例によって異なる部分も大きく、担当医との相談が必要です。

手術の方法・目的はさまざまです。9歳以上の症例や病気の発見が遅れた症例では股関節の位置関係を矯正する手術(骨切り術)を行うこともあります。

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