ユーイング肉腫(ゆーいんぐにくしゅ)

ユーイング⾁腫とは

ユーイング⾁腫とは、⾻(まれに軟部組織)を起源として発生する悪性腫瘍のひとつです。⾻を起源とする悪性⾻腫瘍としては、骨肉腫に次いで多いことが知られています。
10 歳前から20 歳代などの⼩児や若年者に好発します。20 歳までに発⽣することが多く、30 歳以降の発症はまれです。
ユーイング⾁腫は、悪性腫瘍全体からみると頻度は低くまれな病気です。また、⼩児慢性特定疾病の指定を受けている疾患のひとつです。
ユーイング⾁腫では、その種類や病状の進⾏度に応じて、⼿術療法、化学療法、放射線療法を組み合わせた治療が⾏われます。病気の治癒を⽬指した治療であることはもちろんですが、治療に関連した⻑期的な機能障害を残すことがあるため、治療後においても⻑期的なフォローアップが必要となる病気です。

原因

ユーイング⾁腫の発⽣には、遺伝⼦の異常が深く関与していると考えられています。
頻度の⾼い遺伝⼦異常として、EWS 遺伝⼦とFLI1 遺伝⼦に関連したものが知られています。⼈の細胞には1 から22 番⽬までの常染⾊体が2対(44本)と2 本の性染⾊体の計46本が存在していますが、EWS 遺伝⼦とFLI1 遺伝⼦はそれぞれ常染⾊体の22 番⽬と11 番⽬に位置しています。
ユーイング⾁腫の細胞においては、11番染色体と22番染色体が転座(相互に入れ替わること)を起こすことで、それぞれの染色体に乗っているこれらの遺伝⼦の位置が⼊れ替わってしまっており、EWS-FLI1 キメラ遺伝⼦と呼ばれる異常な遺伝⼦が形成されてしまっています。こうしたキメラ遺伝⼦はユーイング⾁腫の異常細胞にのみ認め、正常な細胞には認めません。
EWS-FLI1 などのキメラ遺伝⼦が存在すると、正常な細胞増殖に重要な遺伝⼦が不適切に調整されるようになってしまいます。その結果、細胞が過剰に増えてしまったり、細胞が正常に成熟できなくなったりしてしまい、異常な細胞が⼤量に産⽣されることになります。EWS 遺伝⼦の相⽅として融合する遺伝⼦は、FLI1 遺伝⼦以外にも知られています。これらにより形成されるキメラ遺伝⼦の頻度はEWS-FLI1 遺伝⼦より少なくなりますが、異常な細胞増殖に⾄るという結果は同じであると考えられています。

症状

ユーイング⾁腫の好発部位は、⾻盤、⼤腿⾻、膝からしたの⾻(腓⾻、脛⾻)、胸壁、上肢、脊椎などであり、まれに筋⾁などの軟部組織に発症します。

骨肉腫は⻑管⾻(ちょうかんこつ:四肢を構成する⾻にみられる⻑⼤な⾻)の端の部分(骨幹端部)に発生しやすいのに対し、ユーイング肉腫は長管⾻の幹の部分に当たる⾻幹部に発症することが多いです。脊椎原発で発症するユーイング⾁腫の場合、歩⾏障害や排尿障害を認めることがあります。
腫瘍が発⽣した部位に⼀致して、痛みや腫脹(しゅちょう:はれ)などを認めることになります。さらに、発熱を伴うことや、原因不明の⾻折をきっかけとした症状が出ることもあります。
ユーイング⾁腫では肺や⾻髄などにも転移をすることがあります。転移した部位に応じて、咳や呼吸困難、貧⾎などをみるようになります。

検査

画像検査と病理検査が主体となります。
画像検査としては、レントゲン写真やCT、MRI、PET-CT、⾻シンチなどが⾏われます。
⾻の局所での病変の進⾏度合いの評価に加えて、ユーイング⾁腫で転移を起こしやすい肺の病状を確認することも重要です。また、全⾝臓器への転移や周囲組織(神経や⾎管など)との位置関係を、より正確に評価します。
ユーイング⾁腫では、⾻髄に転移することがあり、⾻髄検査を⾏うことで腫瘍細胞の侵⼊を確認することもあります。
診察・画像検査の結果から、病変がどのような性格のものなのかある程度予想することができます。しかし、診察や画像検査はあくまでも体の奥にある病気をみたり、触れたりすることで推測した診断にすぎません。
最終的な確定診断は、腫瘍の組織を採取して顕微鏡で調べること(病理組織検査)によって⾏われます。病理組織検査のために組織や細胞を採取することを「⽣検」といい、⼤きく分けて、針⽣検と切開⽣検の2 通りの⽅法があります。原因の項⽬で述べたようなEWS-FLI1キメラ遺伝⼦などを、免疫組織学的に確認します。
 

治療

ユーイング⾁腫は、病気が最初に発⽣した部位(原発巣)にのみ病変が存在する「限局性」と、臨床的・画像的に転移を認める「転移性」に分類されます。
最⼤限の治療効果を得つつ、社会復帰後のことも考慮した機能温存の観点も重視して、⼿術や化学療法、放射線療法などを組み合わせて治療することになります。

限局性のユーイング⾁腫では、抗がん剤による原発巣の縮⼩や、微⼩転移の治療を⾏い、その後、⼿術や放射線によって根本的に治していくことになります。
使⽤される薬としては、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、イホスファミド、エトポシド、アクチノマイシンがあり、これらを組み合わせて治療計画が設定されます。
外科治療(⼿術)の⽬標は、(1) 腫瘍の原発巣を完全に切除すること、(2) 腫瘍とともに切除した⾻や関節を再建し患肢の機能を回復することです。
放射線療法は腫瘍に放射線を照射し、腫瘍を死滅させる⽅法です。腫瘍の⼤きさや場所によって、⼿術のみでの完全切除が困難な場合に、補助的な治療法として局所(⼀部の限られた部位)制御を⽬的に使⽤されることがあります。

なお、転移性のユーイング⾁腫については充分な治療成績が達成されているとはいいがたく、ユーイング⾁腫全体の治療成績向上のためにもさらなる治療法の開発が望まれていま
す。

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