りすてりあしょう

リステリア症

同義語
リステリア食中毒
最終更新日:
2023年07月25日
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2023/07/25
更新しました
2017/04/25
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概要

リステリア症とは、リステリア・モノサイトゲネス(以下、リステリア)と呼ばれる細菌による感染症です。

リステリアは河川の水や動物の腸管内などに広く存在しており、主に食品を介してヒトに感染します。特に、低温で長期間保存され、加熱しないまま食べる食品が原因となることが多く、生ハムなどの食肉加工品や未加熱の乳製品、スモークサーモンなどの魚介類加工品が主な原因食品とされています。

軽症の場合は下痢や発熱などの症状で治りますが、重篤な場合は敗血症髄膜炎(ずいまくえん)などに発展し、20〜30%の割合で死に至ることがあります。

日本国内での推定患者数は年間200人程度で、頻度が高い病気ではありません。健康な人であれば一度に大量のリステリアを摂取しなければ発症することはなく、発症しても軽症で済むことが多いといわれています。しかし、妊婦や高齢者、乳児などの免疫力が低い人では、少量の菌でも重篤なリステリア症を発症することがあります。このため、発症のリスクが高い人は、原因となりやすい食品を避ける、もしくは十分に加熱するなどの予防対策が大切になります。

原因

リステリア症の原因は、リステリア・モノサイトゲネス(リステリア)の感染です。

リステリアは自然界の土や水、動物の消化管の中などいたる所でみられ、製造、配給、貯蔵の過程で菌が増殖した食品を摂取することで発症することがあります。

食中毒の原因となるほかの細菌に比べて、低い温度や塩分濃度の高い環境でも生存、増殖できる点が特徴です。そのため、冷蔵庫の中で長時間貯蔵された後、加熱されることなくそのまま食べられるような食品で発症のリスクが高くなります。このような食品にはソーセージや生ハムなどの食肉加工品、加熱処理の不十分なミルクやチーズなどの乳製品、調理済みのサラダ、スモークサーモンなどの魚介加工品などがあります。

健康な人は一度に大量の菌を摂取しない限り症状を引き起こすことはありませんが、妊婦や高齢者、乳児、抗がん治療を受けている人、エイズ患者、臓器移植を受けた人のような免疫力が低下している人では少量の菌でも発症することがあります。

症状

リステリア症の症状には、非侵襲性リステリア症と侵襲性リステリア症の2つがあります。

非侵襲性リステリア症

主に健康な人が発症するリステリア症です。

症状は軽く、数日程度の短い潜伏期間の後、下痢、発熱、頭痛筋肉痛などの発熱性の胃腸炎症状がみられます。

侵襲性リステリア症

妊婦や高齢者などのリスクが高い人が発症する重篤なリステリア症です。

潜伏期間は1〜2週間程度のことが多いですが、それより短い期間で発症したり、1〜3か月単位の長い期間ののちに発症したりすることもあります。発熱や筋肉痛のほか、敗血症髄膜炎といった重篤な症状が現れ、死に至ることもあります。

検査・診断

リステリア症の診断は、症状と培養した検体からリステリアを直接確認することで行われます。

菌を確認するために用いられる検体には、血液、脳脊髄液、糞便、嘔吐物、食品、動物の餌などがあります。

妊娠中の女性でリステリア症が疑われる場合には、妊娠中に血液や胎盤の検体を採取したり、出生後の新生児(または流産児)の便を用いて検査を行ったりすることもあります。

治療

リステリア症の治療では、主に抗菌薬が用いられます。ペニシリン系抗菌薬が効果的ですが、症状に応じて用いられる薬の種類が決められます。

発症リスクが高い人は早期に診断し、治療を始めることが大切です。妊娠中の女性がリステリア症にかかった場合は、胎児や新生児に感染する危険性があるため、速やかに抗菌薬による治療がすすめられます。

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