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レット症候群
レット症候群とは、遺伝子異常にともなう神経疾患のひとつを指します。出生後およそ半年は他の健康なお子さんと変わらぬ正常な成長発達を遂げますが、このころから運動面の遅れがみられるようになります。その...
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レット症候群れっとしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

レット症候群とは、遺伝子異常にともなう神経疾患のひとつを指します。出生後およそ半年は他の健康なお子さんと変わらぬ正常な成長発達を遂げますが、このころから運動面の遅れがみられるようになります。そのほか、おもちゃに対しての興味が失われるなど、それまでにできていたことが出来なくなるといった「退行」と呼ばれる症状が出現します。
典型的には女児に認める疾患ですが、ごくまれに男児にもみられるといわれています。自閉症と類似の症状や運動発達の遅れをみることから、自閉症や脳性麻痺と誤診を受けることもあります。1万人に1人の女児に生じると推定されており、日本においては1,000人前後のお子さんが本疾患に罹患していると報告されています。

原因

レット症候群は、MECP2遺伝子、CDKL5遺伝子、FOXG1遺伝子に異常があることから発症します。脳神経の発達には、脳細胞同士がしっかりと連携を取りつつ情報交換をすることが重要です。こうした情報交換網のことを「シナプス」と呼びますが、MECP2遺伝子は正常なシナプス形成に重要な役割を果たしていることが推定されています。また同時に、脳神経が正常に機能するために重要なタンパク質を制御するはたらきを有することも考えられています。
レット症候群の発症には家族歴はないことがほとんどであり、遺伝性については多くの症例はありません。MECP2遺伝子に突然変異が生じることからレット症候群は発症します。

症状

レット症候群にともなう症状は、年齢によって変化します。出生後から生後6〜18か月頃までは、正常発達様式を示し、ほかの健康な赤ちゃんと何ら変わりありません。しかし、徐々に運動発達の遅れがみられるようになります。具体的には、はいはいができない、自立歩行をしないなどです。また身体の柔らかさを見ることもあります。こうした運動発達の遅れに続き、発語の遅れも認めるようになります。
レット症候群で特徴的なことのひとつとして「退行」を挙げることができます。すなわち、生後しばらくはおもちゃに手を伸ばすなどの行動があった場合でも、おもちゃに対する興味を失うようになり、目的に沿った運動ができなくなります。そのほか、目的もなく手をもんだり、手を口に持っていくなど常同行動が出ますが、こうした症状もレット症候群のお子さんでよく見られる典型的な症状です。小頭症の症状も出現するようになります。
幼児期から学童期以降は、てんかんを認めるようになります。自立歩行は出来ないことが多いため、車いすでの移動が必要になります。筋力の使用も乏しいため、側彎が生じることもまれではありません。最重度の知的障害を呈することも多いです。誤嚥性肺炎や不整脈を認めることもあり、生命予後を規定する症状になりえます。
歩行ができないことや筋緊張が強くなること、目が合いにくい、周囲に対しての興味が乏しいなどの症状を見ることから、脳性麻痺や自閉症の誤診を受けることもありえます。

検査・診断

レット症候群の診断は、その特徴的な症状からなされます。特に重要な項目としては、①目的のある手の運動機能を習得した後に、その機能を部分的、あるいは完全に喪失すること(おもちゃを握らなくなるなど)、②音声言語を習得後に、その機能を部分的、あるいは完全に喪失すること(それまで発していた喃語がなくなるなど)、③歩行異常(歩かない、歩けていても徐々に歩けなくなるなど)、④手の常同運動(手をねじる、口に手を入れる、などの運動)、の4項目です。レット症候群は脳の変性疾患ではなく、脳の損傷を引き起こしうる明らかな原因(例えば出産期の低酸素など)は除外する必要があります。またこれら症状は、生後6か月以降に認めることが診断には重要です。
レット症候群では、MECP2遺伝子、CDKL5遺伝子、FOXG1遺伝子に異常があります。これら遺伝子に対しての遺伝子検査が行われることもあります。これらのうちMECP2遺伝子異常によるレット症候群が最も頻度が高いです。

治療

レット症候群に対しては、確立された根本治療方法はありません。神経学的な予後を改善する薬物療法も試みられていますが、効果がみられる方法はありません。
レット症候群では姿勢をうまく保つことができず、自力で座ることができなかったり、歩いたりすることができません。また手を無目的に動かしてしまうことから、手先の運動についても障害をされます。これらを改善するため理学療法が重要になります。発語を見ないことも多いため、意思疎通を図るための訓練を積むことも重要になります。また、音楽療法も効果的です。
また、2歳以降になるとけいれん発作を見るようにもなり、症状に合わせての抗てんかん薬が適応になります。嚥下機能の問題から誤嚥性肺炎を起こすこともあるため、食事形態を工夫したり、肺炎を発症した時には抗生物質が使用されることもあります。側わんが強くなる時には、手術的な介入が必要になることもあります。
レット症候群の発症は、99%が孤発例(すなわち家族歴がない)です。この場合には、患者さんのお子さんがレット症候群を発症するリスクは上がりません。しかしごくまれに遺伝するタイプのレット症候群もあるため、遺伝カウンセリングが必要とされる場合もあります。