わきが

ワキガ

別名
腋臭症
最終更新日
2020年07月02日
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2020/07/02
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

ワキガとは、(わき)の下から独特な悪臭が放たれる病気のことです。腋の下は皮脂を含む汗を分泌する“アポクリン腺”と呼ばれる分泌腺が密生しており、その皮脂を栄養分として皮膚にいる細菌が繁殖することが原因で発症すると考えられています。

日本人の約10%はワキガであるとされており、多くは二次性徴が生じる思春期以降に発症します。“不快な臭い”以外に症状がないため軽く考えられがちな病気です。しかし、重症な場合には臭いが気になるあまり人前に出られない、外出できないなど精神的な不調を引き起こし、日常生活や社会生活に大きな支障をきたすケースも少なくありません。

治療は腋の下の小まめな拭き取りや洗浄などの習慣を身につけることのほか、腋の下の皮膚の細菌に対する抗菌薬が使用されることがあります。ワキガはこれらの生活改善や薬物療法で改善することもありますが、重症な場合には汗を分泌するアポクリン腺を取り除く治療が必要になります。

原因

ワキガは、腋の皮下に密生するアポクリン腺から分泌された汗の中に含まれる皮脂などが、皮膚の常在菌に分解されることによって引き起こされます。汗に含まれる皮脂などは細菌に分解されると幾種類もの臭気物質となり、これが鼻を突く独特な悪臭を放ちます。ワキガの原因となるアポクリン腺は誰にでも存在します。しかし、全ての人がワキガを発症するわけではありません。ワキガは特にアポクリン腺がよく発達している人に発症しやすく、遺伝性も明らかにされています。また、アポクリン腺は性ホルモンの作用によって活性化するため、小児期ではなく性ホルモンの分泌が盛んになる思春期以降に発症するのが普通です。

症状

ワキガは汗をかいたときなどに腋の下から不快な刺激を伴う悪臭が放たれるようになります。世の中には汗の不快な臭いを防ぐためのセルフケア用品が販売されていますが、ワキガではそれらのものを使用しても悪臭を完全に防ぐことは困難です。

一方で、ワキガは“臭い”以外の症状はないため、病院を受診するのをためらうケースも少なくありません。しかし、腋の下から放たれる臭いに神経質になることで、精神的に不安定になる、周囲の目が気になって対人関係がうまくいかなくなるなど、さまざまな支障をきたすことがあります。

検査・診断

ワキガは、一般的な病気のように血液検査や画像検査などで異常が見られるわけではありません。そのため、診察時の訴えや医師の問診内容などを総合して診断が下されます。

しかし、中には自身の腋の下の臭いを過剰に気にするものの、他者は不快な臭いと感じていないケースもあります。そのようなケースを除外するためには、腋の下にガーゼを一定時間挟み、悪臭の程度を医師が判断する“ガーゼ判定”を行うことがあります。

治療

ワキガと診断された場合は、症状の程度や患者の希望に合わせて次のような治療が行われます。

生活指導

軽度なワキガに対しては、小まめに汗を拭き取る、吸水性のよい衣類を選ぶ、適度に脱毛するなど、日常生活上の注意を促す生活指導が行われます。

薬物療法

生活指導を行っても症状が改善しない場合は、アポクリン腺からの汗の分泌を抑える塩化アルミニウムローション、皮膚に潜んでいる細菌の増殖を抑える抗菌薬入りの軟こうなどが使用されます。

また、塗り薬だけでは十分な効果が得られない場合は、アポクリン腺のはたらきを低下させるためにボツリヌス毒素を腋の下に直接注射する治療を行う医療機関も少なくありません。

手術や特殊治療機器による治療

薬物療法が効かない重度なワキガに対しては、アポクリン腺を切除する手術や特殊な機械でアポクリン腺を破壊するような治療が行われることがあります。

このようなワキガの治療法については、健康保険が適用されるものとそうでないものとがあることに注意が必要です。健康保険の適用が認められているのは皮弁法や皮膚有毛部切除術などのいわば通常の手術治療であり、特殊な機器を用いてアポクリン腺を処理する治療は健康保険の対象外となっています。健康保険対象外の治療の場合には自費診療ということになり治療費の公定価格はないので、治療費は各医療機関がそれぞれに設定している額になります。高額な治療費にはなるものの特殊な機器を用いることの利点は、手術を受ければ残る腋の傷あとが特殊な機器を用いれば小さな傷あとで済む、あるいは傷あとなしで済むという点です。特殊な機器にも種類があり、超音波を利用する機器、マイクロ波を利用する機器、ラジオ波を利用する機器などさまざまなものがあります。

なお、健康保険適用の治療法であってもなくても、アポクリン腺の取れ具合や合併症の頻度はそれぞれの治療法の特徴や施術者の技量によって異なります。手術を希望する際には、まずは信頼できる医療施設を選び、その医療施設における治療費用や臭いの取れ具合、合併症の頻度、さらに手術後の経過などについて詳しい説明を受けるようにしましょう。

予防

ワキガは、遺伝的なアポクリン腺の大きさや数によって発症が左右されます。そのため、完全に発症を防ぐことができないケースも少なくありません。

しかし、汗を小まめに拭き取ったり、市販の制汗剤などを使用したりすることで症状を抑えることができます。また、入浴時に腋の下を丁寧に洗ったり、腋の下を剃毛したりするなど清潔な状態をキープするよう心がけることも大切です。

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