じょうちょうかんまくどうみゃくしょうこうぐん

上腸間膜動脈症候群

最終更新日:
2024年04月05日
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2024/04/05
更新しました
2017/04/25
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概要

上腸間膜動脈症候群(じょうちょうかんまくどうみゃくしょうこうぐん)とは十二指腸の一部が、周囲にある上腸間膜動脈や腹部大動脈などによって圧迫され、胃から流れてきた消化物が通りにくくなる病気です。10~30歳代にかけての若い世代に発症しやすく、上腸間膜動脈周囲の脂肪が少なくなると発症するリスクが高まると考えられています。

上腸間膜動脈症候群を発症すると、食後の吐き気・嘔吐、腹痛などの症状が現れます。これらの症状は胃から流れた消化物が十二指腸で詰まることで引き起こされるため、嘔吐すると症状が改善する特徴があります。

上腸間膜動脈症候群の基本的な治療としては、飲食を控えて胃を休ませるほか、食事を小分けにするといった食事指導などが行われます。また、胃に管を通して胃・十二指腸の圧を下げる治療も検討されます。

原因

上腸間膜動脈症候群は、十二指腸の一部(水平部と呼ばれる部位)が上腸間膜動脈や大動脈、脊椎(せきつい)に圧迫されることにより起こる病気です。十二指腸は胃で消化された食べ物を小腸へ送る臓器であり、物理的な圧迫を受けることで消化物が小腸へ正常に送られなくなります。その結果、十二指腸に消化物がたまり、さまざまな症状を引き起こします。

十二指腸が圧迫される原因は解明されていない部分もあるものの、急激なダイエットや神経性食欲不振症などによる上腸間膜動脈周囲の脂肪減少が主な原因と考えられています。そのほか、外傷や手術の影響などによって生じる場合もあります。

症状

上腸間膜動脈症候群を発症すると、食後を中心に吐き気・嘔吐、腹痛などの症状が現れますが、嘔吐することで症状は改善します。また、仰向けになると十二指腸の圧迫が強くなるため症状が悪化し、反対に四つん這いの姿勢になると圧迫が弱まって症状が軽くなる傾向にあります。

検査・診断

上腸間膜動脈症候群が疑われる場合は、以下のような検査が行われます。

画像検査

上腸間膜動脈症候群が疑われる場合は、画像検査や超音波検査を行います。

上腸間膜動脈症候群は、十二指腸の一部に通過障害が生じるため、食後を中心に十二指腸や胃の圧が高くなります。そのため、腹部X線検査では十二指腸の一部と胃が膨らんだ状態となる“double bubble sign”という所見があるか確認します。そのほか、造影剤によって十二指腸の通り具合を調べる上部消化管造影検査を行うこともあります。

また、腹部CT検査や腹部超音波検査で、大動脈と上腸間膜動脈の角度が狭くなっていないか確認することがあるほか、ほかの病気の可能性を除外するために上部消化管内視鏡検査を行うこともあります。

血液検査

上腸間膜動脈症候群と似た症状を引き起こすほかの病気との鑑別のために血液検査を行う場合もあります。

治療

上腸間膜動脈症候群の治療は、保存的治療と手術治療の2つに大きく分けられます。

保存的治療

上腸間膜動脈症候群では、薬剤の投与や手術などをせずに回復を目指す保存的治療が第一選択とされます。急性期には、飲食を控えた状態で胃に管を入れて胃・十二指腸を減圧する治療を行い、脱水状態の場合は点滴治療を行います。

また、食事を小分けにして取る、食後に四つん這いの姿勢になるなど十二指腸への圧迫を和らげる体勢を促すといった生活指導も行われます。さらに、この病気は上腸間膜動脈周囲の脂肪減少が主な原因と考えられているため、脂肪を増加させるために鼻などから十二指腸の先の小腸に管を通して栄養を補給する治療が行われることもあります。

手術治療

症状が強く、保存的治療を行っても症状が改善しない場合は十二指腸への圧迫を和らげるための手術や、十二指腸と小腸にバイパス(迂回(うかい)できる道)を作る手術などを行うことがあります。

予防

上腸間膜動脈症候群の主な原因は上腸間膜動脈周囲の脂肪減少と考えられているため、適度に栄養を取ってやせ型になることを避ける必要があります。特に、短期間で脂肪が減った際に起こりやすいといわれているため、急激なダイエットには注意が必要です。

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