血管

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)

下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤とは、脚および足の表面近くに通っている静脈がこぶのように盛り上がる、あるいはクモの巣状、網目状に浮き上がる疾患です。基本的に自然に治ることはなく、時間の経過とともにゆっくりと進行します。
下肢静脈瘤は5種類あり、大伏在(だいふくざい)静脈瘤、小伏在(しょうふくざい)静脈瘤、側枝(そくし)静脈瘤、または分枝(ぶんし)静脈瘤、陰部静脈瘤、網目状静脈瘤・クモの巣状静脈瘤にわけられます。
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原因

下肢静脈瘤は静脈の逆流防止弁が壊れてしまい、血液が逆流して脚の下の方にたまり、血管が拡張することが原因で生じます。
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症状

下肢静脈瘤の主な症状は次のとおりです。
 血管がこぶのように盛り上がる・浮き出る
 重だるい疲労感・ほてり感・痛み
 むくみ(浮腫)
 足がつる(こむら返り)
 かゆみ・湿疹・皮膚炎
 色素沈着・潰瘍
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検査・診断

・ドプラー血流計
ドプラー血流計は、赤血球に超音波をあてて、血液の流速の変化を音としてあらわし、その音の変化によって、血管内で逆流が起きているかどうかを調べるものです。探触子(プローブ)という器具を皮膚の上からあて、ふくらはぎを手でつかむように圧迫すると、血液が上に押し上げられてザッという短い音がします。次に手を離して圧迫を解いたとき、血液が逆流していなければ音はしませんが、逆流があったときはザーッという長い音がします。
・カラードプラー検査
エコー(超音波検査)と同様に超音波を利用して血液の流れをカラー画像で表示するもので、異常が視覚的にわかります。探触子(プローブ)と呼ばれる器具を皮膚の上からあて、画面に映し出された映像で判断します。
画像で血管の短軸像(輪切りの状態)と長軸像(血管の走っている方向に切った状態)を観察します。血液の流れを色分けして表示するだけでなく、音や波形でも逆流の有無を確認できます。他にも、血管の内径を測ったり、血流の流速を測定することもできます。画像で記録に残すことができ、ほぼすべての下肢静脈瘤の診断はこの検査のみで可能です。
容積脈波検査
ドプラー血流計やカラードプラー検査が血液の逆流を調べるのに対し、容積脈波検査は、静脈の機能をくわしく調べる検査です。脚にマンシェットという空気で膨らませるカバーを巻いてつま先立ち運動をします。運動による静脈の容積変化を調べることで、筋肉のポンプ機能や血液の逆流の有無がわかります。短時間でできる簡易な検査ですが、下肢静脈瘤が発生している部位などを詳しく調べる目的には向いていません。
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治療

・保存的治療(圧迫療法)
弾性包帯や弾性ストッキングなど、医療用の弾性着衣で脚全体を圧迫することで静脈の還流を助け、血液の循環をスムーズにします。ただし根本的な原因である血管の治療ではなく、弾性ストッキングの着用によって下肢静脈瘤が完治することはありません。あくまでも予防や進行の防止、術後の再発防止を目的として使用します。
・硬化療法
静脈の中に硬化剤を注射した後、皮膚の上から圧迫して血管の内側の壁をくっつけます。閉塞して固くなった血管はやがて組織に吸収されて消えてしまいます。注射による施術のため治療時間も短時間で済み、手術のような傷を残さず身体への負担が少ないというメリットがあります。ただし、治療後も硬化するまで圧迫を続ける必要があります。
・高位結紮(けっさつ)術
鼠径部(そけいぶ・脚のつけ根)にある深部静脈と表在静脈の合流部分を縛り、血管を部分的に切除して断端を結紮(けっさつ・縛ること)、血液の逆流を止める治療方法です。
・ストリッピング手術
脚のつけ根と足首の2か所を切開し、血管の中に通した手術用ワイヤーを用いて、弁不全を起こした静脈を引き抜く手術です。
ストリッピング手術は伏在型静脈瘤に対する根治治療と定義され、血管内レーザー治療で対応できない大きな静脈瘤にも対応できる有効な治療方法です。しかし、術後の痛みや出血、神経障害などの合併症が起きるリスクがかなりあります。最近では手術でできた傷の修復反応で血管新生(血管が新しく作られること)が起き、そこに静脈瘤が新たに発生するという形での再発が注目されています。
・ラジオ波(高周波RF)治療
血管の中にカテーテルを挿入し、高周波によって発する高熱で血管の内腔を閉鎖して逆流を止める治療法です。2014年7月から保険適用になりました。
・血管内レーザー焼灼術
血管内レーザー焼灼術は主に伏在静脈瘤のような、血管が足の表面に浮き出てボコボコしているタイプのものに適用されます。
弁不全を起こした静脈にごく細いレーザーファイバーを挿入し、静脈の内側を焼灼(しょうしゃく・熱で焼くこと)して患部の血管を閉鎖させます。血管はふさがれた部分に血液が流れなくなり、そのあと数カ月かけて繊維化し、体組織に吸収されて消滅します。
ストリッピング手術と同等の効果がありながら、小さな針穴のみで出血や身体の負担が少ない治療です。
・体外照射レーザー治療
網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤の治療には、体外照射タイプ(ロングパルスYAGレーザー)が用いられます。ロングパルスYAGレーザーは、血管の壁を変性・収縮させる性質を持っています。これを一定間隔で断続的にパルス照射することで、治療部位の温度を高温にすることなく血管を収縮させ、閉鎖することができます。治療時間は30分~1時間程度で日帰り治療が可能です。合併症を最低限に抑えるために複数回の照射に分けて行います。
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