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伝染性単核症
発熱や、首のリンパ節の腫れを主要症状とするウイルス性疾患のひとつです。主に、ヘルペスウイルスの仲間であるEBウイルス(Epstein-Barr virus)に感染することで発症することが知られて...
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伝染性単核症でんせんせいたんかくしょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
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2017 年 04 月 25 日
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概要

発熱や、首のリンパ節の腫れを主要症状とするウイルス性疾患のひとつです。主に、ヘルペスウイルスの仲間であるEBウイルス(Epstein-Barr virus)に感染することで発症することが知られています。EBウイルスは唾液中に分泌されており、キスを介して感染が成立することから、「キス病」という別名でも知られています。

幼少期のうちにEBウイルスに感染することが多いですが、思春期以降に初めて感染すると、伝染性単核症を発症するリスクが高いといわれています。我が国においては2〜3歳までに70%位が感染を受け、20歳代で90%以上がEBウイルスに対する抗体を保有しています。特別な合併症を来すことなく自然に治ることが多いですが、ときに血球貪食症候群や脾臓破裂などの重篤な合併症をみることもあるため注意が必要な疾患です。

原因

さまざまなウイルスが原因となりえます。なかでも、ヘルペスウイルスの仲間であるEBウイルスは主要原因ウイルスの一つです。その他、同じくヘルペスウイルスの仲間であるサイトメガロウイルスやHHV-6(突発性発疹症の原因ウイルス)なども、伝染性単核症の原因となりえます。EBウイルス はまず咽頭上皮細胞に感染し、そこで増えたウイルスが、主にEBウイルス の標的細胞であるBリンパ球(一部、Tリンパ球やnatural killer (NK)細胞)に感染します。ウイルスDNAはそれら細胞の核内で維持されます。

これら各種ウイルスは、多くの方が、すでに体内に持っていることが多く、特別な症状がない状況においても唾液中に分泌されています。このため、感染者の唾液を摂取することで、原因となるウイルスが広がり感染するといわれています。

伝染性単核症の原因として最も多いEBウイルスは、乳幼児期に感染をしても症状を来すことはあまりありません。一方、学童期以降に初めて感染すると、伝染性単核症に伴う症状を認めるようになります。発症機序はEBウイルス に対する細胞性免疫反応の過剰反応であると考えられており、細胞性免疫が発達した思春期以降のほうが乳幼児期よりも発症頻度が高いのは、このことによるといわれています。EBウイルスはヘルペスウイルスの仲間であることから、ひとたび宿主に感染すると一生その宿主に潜伏感染し、免疫抑制状態下で再活性化する性質を有します。

症状

原因ウイルスに感染してから、およそ4〜6週間の潜伏期間をおいて発症します。発熱、咽頭扁桃(のど)の痛み、首のリンパ節の腫れ、発疹、眼の腫れ、鼻閉(鼻づまり)などを認めるようになります。その他、肝臓や脾臓の腫れを診察にて指摘されることもあります。

発熱を認めることが多く、通常の風邪と比較して長く続く傾向があり、多くの場合1〜2週間持続します。発症初期は「のど風邪」程度の認識であったとしても、熱が長引くことから医療機関を受診する方も多いです。肝機能異常はほとんどの患者さんで認められますが、黄疸を伴うことはまれです。脾腫に関連して、巨大脾腫から脾破裂に至ることがあります。

合併症としては、血球貪食症候群、無菌性髄膜炎、ギランバレー症候群、リンパ腫、再生不良性貧血、心筋炎、心膜炎、肺炎、気道閉塞など、さまざまな疾患があります。遺伝疾患である伴性劣性リンパ球増殖症候群(X‐linked lymphoproliferative syndrome :XLP;Duncan 病)の患者さんでは、先天的にEBウイルス 特異的CTL 活性が誘導されないため、致死性伝染性単核症となります。

なお、伝染性単核症においては、確定診断がされる前に、たとえばA群溶連菌による咽頭炎の診断を受けることがあります。この際に抗生物質(アンピシリンなど)を内服すると、全身に発疹が生じることがあります。

検査・診断

主にヘルペスウイルスの仲間(EBウイルス、サイトメガロウイルスなど)が原因になっているため、これら原因ウイルスの存在を確認します。

EBウイルスの特定のためには、血液検査にて、EBNA、VCA、EAなどEBウイルスに関連した抗体検索を行います。サイトメガロウイルスにおいても、同様に血液検査にて同ウイルスに関連した抗体検査が行われます。その他、各種ウイルスに関連した遺伝子をPCRと呼ばれる方法で確認することもあります。

伝染性単核症においては、リンパ球が増加することも知られています。またリンパ球のなかでも、ある特別なタイプのリンパ球が増加することも知られており、これらを血液検査にて確認することがあります。多くの場合、肝臓は障害を受けるため、肝臓に関連した血液検査(ASTやALTなど)も行われます。

治療

伝染性単核症に特化した治療法は現時点(2017年)では存在しないこと、一般的には自然に治ることが期待できることから、対症療法で経過を観察する場合がほとんどです。

伝染性単核症の確定診断がつく前に、抗生物質の処方を受けることがありますが、発疹が出るリスクが高まるため、抗生物質の使用については慎重になるべきです。アシクロビルなどの抗ウイルス薬は、重症例において使用が検討されますが、確実な効果を期待できるものではありません。重篤な合併症を併発した場合、ときにステロイドの使用が検討されることもあります。また血球貪食症候群を発症した場合には、免疫化学療法や骨髄移植が検討されます。

伝染性単核症の患者さんでは、脾臓の腫れがみられます。お腹に力を入れることや、外からの衝撃により脾臓が破裂することもあります。そのため、伝染性単核症を発症してしばらくの間は、重いものを持つことや、接触の激しいスポーツをすることなどは控えるようにしましょう。